CNET Japanの編集記者が気になる話題などを紹介していく連載「編集記者のアンテナ」。主にゲームなどのエンターテインメント領域を取材している佐藤が担当。今回は4月22日と23日に、さいたまスーパーアリーナ(SSA)にて行われた、「アイドルマスター ミリオンライブ!」(ミリオンライブ!)をテーマとしたライブイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-1 H@PPY 4 YOU!」の模様をお届けする。
ミリオンライブ!は、「アイドルマスター」シリーズのひとつとしてモバイルゲームを基点に多方面で展開している。本公演は、ミリオンライブ!から登場しているアイドル(キャラクター)の声を担当しているキャスト陣「ミリオンスターズ」によるライブイベント。2023年2月に10周年を迎えたこともあり、この10thライブでは4都市でのツアーを展開。今回は「Act-1」と題した、ツアーの幕開けを飾る公演となっていた。
新型コロナウイルスの流行以降、アイドルマスターシリーズにおけるライブイベントは声援を控える形となっていたが、バンダイナムコエンターテインメントの主催イベントにおいて、2月からは不織布マスク着用の上で声出しを解禁。ミリオンライブ!単独のナンバリングライブとしては、2019年9月の「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE UNI-ON@IR!!!! SPECIAL」以来、およそ3年半ぶりに大型ライブでの歓声が聞こえるステージに。会場には多くの“プロデューサーさん”(※アイドルマスターシリーズのファンのこと)が集まり、パフォーマンスに対してコールや声援を送っていた。また国内外に向けたオンラインでの中継配信も実施。コメントでも盛り上がりを見せていた。
このAct-1では、1stから4thライブの振り返り公演をコンセプトとしたもの。ライブタイトルの「H@PPY 4 YOU!」もそれにちなんだもの(※1stライブが「HAPPY☆PERFORM@NCE!!」、4thライブが「TH@NK YOU for SMILE!!」)となっていたのをはじめ、ステージには1stから4thライブの思い出を示すような、各ライブにおけるモノクロのロゴマークがフィルムとなってあしらわれたセットが設けられ、さらに「765PRO LIVE THE@TER」の看板に赤い緞帳と、765プロライブ劇場(シアター)をほうふつとさせるステージとなっていた。
出演したのは、DAY1は山崎はるかさん(春日未来役)、小笠原早紀さん(野々原 茜役)、角元明日香さん(島原エレナ役)、郁原ゆうさん(エミリー スチュアート役)、斉藤佑圭さん(永吉 昴役)、末柄里恵さん(豊川風花役)、種田梨沙さん(田中琴葉役)、中村温姫さん(ロコ役)、夏川椎菜さん(望月杏奈役)、野村香菜子さん(二階堂千鶴役)、浜崎奈々さん(福田のり子役)、平山笑美さん(北上麗花役)、藤井ゆきよさん(所 恵美役)、渡部恵子さん(周防桃子役)、渡部優衣さん(横山奈緒役)。DAY2はMachicoさん(伊吹 翼役)、愛美さん(ジュリア役)、麻倉ももさん(箱崎星梨花役)、阿部里果さん(真壁瑞希役)、稲川英里さん(大神 環役)、大関英里さん(佐竹美奈子役)、木戸衣吹さん(矢吹可奈役)、桐谷蝶々さん(宮尾美也役)、小岩井ことりさん(天空橋朋花役)、駒形友梨さん(高山紗代子役)、近藤 唯さん(篠宮可憐役)、諏訪彩花さん(徳川まつり役)、髙橋ミナミさん(馬場このみ役)、原嶋あかりさん(中谷 育役)、山口立花子さん(百瀬莉緒役)。両日ともにのべ30曲ずつ、3時間半を超えるステージが展開された。
DAY1では、765プロの高木順二朗社長と事務などをしている音無小鳥による前説や注意事項、開演を告げるブザー音にオーバーチュアが流れてライブがスタート。その1曲目は、ミリオンライブ!始まりの曲である「Thank You!」。横一列に並んで登場したキャスト陣がまとっていた衣装は、1stから4thライブまでの各衣装を組み合わせたオリジナル衣装。懐かしくも新しい衣装で、場内にコールが響き渡るなかで歌っていた。
それぞれが自己紹介やライブのコンセプト、衣装について説明するなかで、思わずかんでしまったり、説明がうまく進まずわちゃわちゃして、見ているこちらが思わず笑ってしまうような“これがミリオンライブ!”というアットホーム感のある光景も展開されたが、杏奈のコール&レスポンスである「応援ください!」「応援するよ!」が、久々にプロデューサーの声として返ってきたことに夏川さんが感激したのをはじめ、歓声のある状況に喜びをあらわにするキャストの姿も。
ここからはソロ曲やユニット曲を次々と披露していく。その皮切りとなったのは、山崎さんによる「素敵なキセキ(Long Intro Ver.)」。長めのイントロから飛び出すように姿を見せた山崎さんが、これまで幾多の場面で盛り上げてきた未来最初のソロ曲を歌う。プロデューサーさんをあおったりウェーブを行ったり、さらに今回はダンサーにマイクを向けてかけ声となる部分を歌ってもらったりと、会場全体で一体感を生み出していた。続いての渡部優衣さんによる「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」では、誰よりも大きいと感じさせる手の振りや上げる足の高さなど、ダイナミックなパフォーマンスをもって、プロデューサーさんへのさらなるあおりも入れつつ軽快に歌い、冒頭のセリフにあったような“横山奈緒のショータイム”なステージを展開。さらなる盛り上げに一役買っていた。
ステージ上段で、左右に緞帳で覆われていた場所の片側が開き、小笠原さんが登場。「Heart (ハート)・デイズ・Night☆」では、アップテンポで紡がれる茜の元気さとかわいらしさ全開の曲を表現。今回、全編通してコールとなるポイントはモニターに映し出されていたこともあり、初めて知る曲であってもコールがしやすい配慮がなされていた。そのコールを受けながら全力感のあるステージを見せていた。さらに反対側の緞帳が開き、中村さんが登場。「IMPRESSION→LOCOMOTION!」では、終始早口で紡がれる楽曲であるなかでも常に笑顔で歌い、楽しそうな気持ちにさせてくれるものに。
渡部恵子さんは「MY STYLE! OUR STYLE!!!!」を歌う。桃子の前に進む強い気持ちを、高々と腕を掲げたり拳を前に突き出したりしながら、圧を感じさせるぐらいの歌声をもって伝えていく。浜崎さんによる「求ム VS マイ・フューチャー」では、後のトークで“プロレスミュージカル”を表現したような、ゴングの効果音やダンサーによるプロレスパフォーマンス、そして会場一体となったのり子コールもあり、プロレス好きなのり子の魅力が詰まったステージとなった。
そして「Eternal Harmony」(山崎さん、角元さん、小笠原さん、夏川さん、郁原さん、末柄さん、平山さん)に。ユニット「エターナルハーモニー」の人気曲であり、いろんな場面で歌われてきたなか、今回はオリジナルメンバーの郁原さんと末柄さんを中心に、にぎやかな雰囲気でハーモニーを響かせていた。
MCパートでは、出演キャストが分かれて、4thライブまでの思い出を振り返りトークを展開。ここで歌ったソロ曲が久々の披露ということ、当時の思い出に触れつつ話ていたほか、2ndライブでのハプニング(※「Sentimental Venus」歌唱中に突然伴奏が止まってしまい、プロデューサーさんたちが続きを歌いはじめ、合唱するように歌い続けた出来事)や、お互いに敬語で話していた時期だったことなども語られていた。
続いてのパートは「Blue Symphony(Long Intro Ver.)」(種田さん、藤井さん、郁原さん、野村さん、斉藤さん、平山さん)から。数多く披露されているなかで、長いイントロから楽曲を察したところで青のコンサートライトが広がり、疾走感かつクールな魅力にあふれた楽曲を披露していた。
末柄さんは「bitter sweet」を披露。風花として歌う末柄さんの優しさがあふれた歌声とバラードソングも相まって、穏やかな気持ちにさせてくれるものに。斉藤さんによる「Day After “Yesterday”」は、後のトークで4thライブぶりと語るなかで、清涼感のある歌声と青春を感じさせる楽曲、そしてコールも相まってさわやかな雰囲気に包み込む。平山さんは「サマ☆トリ ~Summer trip~」を歌う。後のトークでナンバリングライブ初出演となった3rdライブツアー福岡公演以来の披露となるなかで、麗花として歌う平山さん特有ともいえる会場の隅々まで行き渡るような歌声で、一足早い夏の空気感を作り出していた。
「HOME, SWEET FRIENDSHIP」(渡部優衣さん、浜崎さん、渡部恵子さん)では、ユニット「リコッタ」メンバーのうち3人によるステージに。冒頭で「ただいま!」と呼びかけたり、ステージ上で写真を撮るかのようにポーズを決めたりと“家族感”のあふれるステージに。
このパートの最後で、熱量が一段上がったと感じられるのが「リフレインキス」(種田さん、角元さん、藤井さん)。ユニット「スコーピオ」の楽曲で、オリジナルメンバーのひとりである種田さんのライブ初歌唱がついに実現。さらに角元さんと藤井さんが加わるという、ユニット「トライスタービジョン」によるステージとなり、楽曲もセクシーさ全開で魅惑するような楽曲ということで、このあとのMCパートに登場するキャストも一様に興奮するぐらいの、熱気あふれるステージとなっていた。
MCでの振り返りトークでは、このとき登壇したキャスト陣がそれぞれが初めてナンバリングライブに出演した話題を中心に、藤井さんが1stライブ直前に負傷した状態ながらも出演したエピソードをはじめ、3rdライブが全国ツアーだったこともあり、各地での食べ物にまつわる話題で盛り上がっていた。
引き続き、ソロ曲を中心にしたステージが続く。野村さんによる「恋の音色ライン」は、切なさを感じさせる曲調のなかで、千鶴をほうふつとさせる優雅な雰囲気を醸し出しつつ、豊かな表現をもって披露。角元さんは「想いはCarnaval」を歌う。エレナが明るく陽気なアイドルで、ソロ曲もアップテンポがものが多いなか、最初のソロ曲であるこの曲は、大人っぽさや秘めた想いを表すような楽曲で、これまで培った表現力を持ってパフォーマンスをしていた。
郁原さんは「君だけの欠片」を披露。正座した状態で歌い始め、そして締めくくりにも正座をするという、大和撫子に憧れる雅なアイドルであるエミリーをほうふつとさせる光景も。そして、落ち着いた雰囲気のなかで歌声を響かせていた。種田さんは「ホントウノワタシ」で、壮大なバラードソングであるなか、凜とした雰囲気を醸し出しつつ、時折穏やかな表情を見せながら、まっすぐに情感を込めて歌っていた。
バラードソングが続き、「ココロがかえる場所」(中村さん、野村さん、渡部恵子)に。「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 12」収録のユニット曲で、オリジナルで歌唱しているのは萩原雪歩(浅倉杏美さん)も含めた4人なのだが、ミリオンライブ!からのアイドル(キャスト)が3人そろっての披露が初めて実現。穏やかな曲調のなか、繊細で儚さを感じさせる歌声で歌っただけではなく、最後は雪歩のスペースを空けた状態でジャケットイラストのポーズを再現し、大きな歓声に包まれていた。
「Dreamscape」(浜崎さん、斉藤さん)は、デュエットソングシリーズと展開していたもののひとつ「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 06」で、2人で進んでいくことを示す楽曲で、歌い進めるなかでは2人が近寄って階段に座ったりハイタッチをしたりと、2人の絆を感じさせるようなステージとなっていた。
MCパートは、ここで登壇した種田さん、角元さん、郁原さん、野村さんがそれぞれ披露したソロ曲に関するエピソードを語る一方、まだソロ曲を披露していない夏川さんが“(「Eternal Harmony」から)12曲待った”と、出番が空いている状況を説明しつつ、終盤に向けた意気込みも語っていた。
最終ブロックの最初は、夏川さんがステージに残っての「VIVID イマジネーション」。ゲーム少女でオンラインゲーム好きな杏奈をイメージするようなデジタルサウンドにのせて、うさぎの耳をイメージするような手の振りなども織り交ぜつつ、キュート感全開のステージに。そして、藤井さんの「アフタースクールパーリータイム」に。冒頭の呼びかけにより序盤は一緒に歌ったり、曲中も随所に盛り込まれたコールを受けて、ライブ終盤に向けてのさらなる盛り上げを図るように、軽快に歌っていた。
ここからはデュオ、ユニット曲が続いていく。「fruity love」(小笠原さん、中村さん)では、デュオ楽曲でオリジナルを歌う2人がそろい、トロピカルな雰囲気を出しつつ明るくキュートに歌う。「PRETTY DREAMER」(山崎さん、夏川さん、渡部優衣さん、末柄さん)も、ミリオンライブ!からの歌唱メンバー4人がそろった形となり(※オリジナルの歌唱メンバーは、我那覇響役の沼倉愛美さんも含めた5人)、コールの楽しさが存分にあふれたステージに。「Shooting Stars」(藤井さん、小笠原さん、斉藤さん、平山さん)では、ユニット「クレシェンドブルー」のオリジナルメンバーである小笠原さんと平山さんを中心に、力強い歌声を持って魅了。特に小笠原さんのライブ歌唱は初めてということもあって、いっそう気合いが入っていると感じさせるものとなっていた。「STANDING ALIVE」(種田さん、角元さん、中村さん、末柄さん、浜崎さん)では、ユニット「ARRIVE」のオリジナルメンバーである角元さんと中村さんがライブ歌唱となるなかで、軽快な曲調のなかでも涙腺を刺激するようなメッセージ性のある楽曲を披露していた。
そして、大歓声となったのは「U・N・M・E・I ライブ」(山崎さん、夏川さん、郁原さん、渡部優衣さん、野村さん、渡部恵子さん)。ミリオンライブ!の展開にあわせて開始され、今なお続くウェブラジオ「アイドルマスター ミリオンラジオ!」(ミリラジ)のテーマソングとなっており、1stライブで歌われて以降、ナンバリングライブでは披露されていなかった。歌唱メンバーで番組パーソナリティでもある山崎さんが中心となって、ラジオをイメージするような間奏での掛け合いも交えながら、楽しい雰囲気を伝えるように歌っていた。
興奮気味となっている場内にキャスト陣がそろって登場し、全体曲である「Dreaming!」を披露。間奏ではステージ上に集って円陣を行ったり、「Thank You!」や「Welcome!!」といったコールも行われるなど、終盤でもさらにボルテージが高まるものとなっていた。
本編は一区切りとなり、アンコールと業務連絡と題した告知映像の上映を経て、キャスト陣が再登場。ここで歌ったのは、ミリオンライブ!10周年記念曲である「Crossing!」。このとき着ていたのは新衣装である「リ・プロローグ・X(クロス)」で、基調のなるカラーリングはそろっていても、衣装の形はひとりひとり違うものという。それぞれの個性を表すような衣装をまとい、さらなる飛躍を誓う歌を熱唱していた。
キャスト陣がそれぞれこのライブを振り返る形で、プロデューサーさんへの感謝や感想を語りつつ、Act-2をはじめこの先のツアーに向けた意気込みを語る。そして最後に山崎さんが挨拶するなかで、“どうしてもやりたい伝説がある”と切り出す。話を進めるなかで察したプロデューサーさんも多いと思えるほどざわつくなか、3rdライブツアーファイナルの、最後の最後で起きたハプニングを再現するかのように、そのときから定着した言葉“ありがサンキュー”をコールしつつ、再度の「Thank You!」に。思わず笑ってしまう明るい雰囲気も再現するようなラストナンバーで締めくくり、DAY2へとつなげていった。