ブランドが コーチェラ2023 をプロモーションに活用する理由

DIGIDAY

コーチェラが4月14日から始まり、ブランドも戻ってきた。この「インフルエンサーのオリンピック」では、多くのファッション・美容ブランドが参加し、フェスティバルでのポップアップの後援や、サイドイベントの主催、日中のパーティやアフターパーティとの提携を行っている。リボルブ(Revolve)のような常連からクリニーク(Clinique)のような初参加ブランドまで、今年のファッション・美容ブランドのアクティベーションをまとめた。

リボルブ・フェスティバル:「親密なイベントに」

エイリアンコアとトリッピーマッシュルームという今年のトレンドを参考にした「ベストトリップ(Best Trip)」という未来的なテーマで、リボルブは毎年恒例の看板インフルエンサーイベント、リボルブ・フェスティバル(Revolve Festival)を開催するが、これまでと比べると控えめになりそうだ。このイベントでのファッション・美容ブランドのアクティベーションには、キー(Quay)、スーパーグープ(Supergoop)、ベイス X ワンダーラスト(Beis X Wanderlust)、エイト・アザー・リーズンズ(8 Other Reasons)、タッチランド(Touchland)などが予定されている。

リボルブの最高ブランド責任者であるライサ・ゲロナ氏は「リボルブ・フェスティバルのルーツに立ち返って、くつろいで親密なものにする」と述べている。コーチェラの最初の週末の4月15日と16日に開催されるこの招待者限定のイベントは午後2時から4時間開催されるが、これは昨年よりも3時間短縮されている。参加するセレブやパフォーマー、カリフォルニア州サーマルの新しい会場でさえもすべて秘密裏にされている。それは、昨年、このイベントが定員に達して参加できなかったインフルエンサーらがTikTokで怒りの声を上げるという事態が起こったためである。今年の出演するアーティストについて、ゲロナ氏からは「最近TikTokでトレンドになっている」人というヒントだけだった。

「当社は今年20周年を迎える。共に歩んでくれたパートナーやインフルエンサー、人材や顧客を讃える機会としてこのイベントを利用したかった」とゲロナ氏は語っている。同氏は、Glossyポッドキャストの最近のエピソードで、リボルブ・フェスティバルは「社歴を振り返るとその年の最大のイベントになっている」と述べていた。また、同社のインフルエンサー旅行やイベントに関しては、2010年代頃の過去のインフィルエンサーコンテンツは「時代遅れに感じられる」と言い、リボルブはインフルエンサーマーケティングのスタイルを進化させ続けていると付け加えた。

リボルブはマーケティング活動のいくつかでフェスティバルを前面に押し出している。インスタグラムとTikTokのアカウントでは、ロサンゼルスで開催されたリボルブ・フェスティバルをテーマにしたスカベンジャーハントを後援した。フェスティバル会場に向かう砂漠のハイウェイ沿いにあるAI生成のビルボードのスポンサーにもなっている。このキャンペーンは、今春シーズンにサイトで販売されている限定版カプセルコレクションを宣伝するもので、AIスタジオのメゾン.メタ(Maison.meta)が手がけた。

ゾーオアシス:セフォラとオーラ

ボヘミアンの女王、レイチェル・ゾーイ氏が設立したゾーイ・レポート(The Zoe Report)の定番ウェルネスイベントが今年も砂漠に戻ってきた。セフォラ(Sephora)、ヨーロピアン・ワックス・センター(European Wax Center)、コットン(Cotton)などのファッション・美容スポンサーが関与する。今年は、アリックス・アール氏メレディス・デュクスベリー氏エマ・チェンバレン氏などのインフルエンサーが参加予定である。

セフォラのアクティベーションは南カリフォルニアの砂漠のウェルネスカルチャーを取り入れたものになる。参加者はオーラリーディングを受けて、「エネルギーにインスパイアされたブレスレット」をもらい自分のオーラに合わせたフレグランスをそれにスプレーできる。また、会場に控えている詩人にブレスレットを見せて自分だけの詩を作ってもらうこともできる。

ヨーロピアン・ワックス・センターでは、アバンギャルドな「パール」や「ギャラクティック・ブロウ」などのブロウスタイリングがその場で提供される。メタリックな背景の前でセルフィーを撮ったり、スケッチアーティストからイラストを描いてもらうこともできる。ファッション分野では、ゾーイ・レポートのコットンが後援するオンラインのフェスティバルショップからの、フリーピープル(Free People)、MSGM、アニー・ビング(Anine Bing)といったブランドを含む厳選アイテムのコレクションが展示される。

ナイロンハウス:ディプロの出演

ナイロンハウス(Nylon House)は、親会社のバッスル・デジタルグループ(Bustle Digital Group)(ゾーイ・レポートの親会社でもある)が主催するコーチェライベントの1つだ。今年のアクティベーションのファッション・美容のスポンサーは、ミュグレー(Mugler)、ゴットゥービー(Got2b)、シーグラム(Sheglam)である。DJのラインアップには、パトロン(Patrón)後援でパフォーマンスを行うアレッソ氏、そしてカルリータ氏とディプロ氏が名を連ねる。

クリニークのハイドレーションハウス

コーチェラの週末プロモーションを初めて後援するクリニークは、最初の週末にインフルエンサーの「ハイドレーションハウス」プールパーティを主催する。ココ&ブリージー(4月14日金曜日)、テイ・ジェームズ氏(4月15日土曜日)、ブリタニー・スカイ氏 (4月16日曜日) らDJが登場する。

また、一般向けには、クリニークは両週末の土日に開催されるデイクラブ・パームスプリングスプールパーティの公式スキンケアスポンサーを務める。参加者は「モイスチャー・バー」やギフトステーション、インスタ映えする風景をバックにクリニークと交流することができる。

このプロモーションは、Z世代を対象としたクリニークの夏の「プロテクト・ユア・グロウ(Protect your Glow)」キャンペーンのキックオフだ。後日、フロリダ大学とアリゾナ大学でIRLのアクティベーションが行われ、ニューヨークシティ、ロサンゼルス、マイアミ、シカゴではポップアップのモバイルトラックのポップアップが実施される予定である。

クリニーク北米のシニアバイスプレジデント・ゼネラルマネージャーであるベス・グアステラ氏は「このキャンペーンは、若い消費者にクリニークを紹介したりもっと知ってもらったりして、最終的にはこのような関連性の高い文化的イベントに関与する消費者にリーチすることを目指している」と述べている。

カーダシアン一家、コーチェラを占領:818アウトポストとキャンプ・プーシュ

ケンダル・ジェンナー氏のテキーラブランド、818テキーラ(818 Tequila)によるポップアップは、リボルブ、タワー28(Tower28)、エミー・ジェイ(Emi Jay)、バケーション(Vacation)、そしてもちろんレミー(Lemme)とカイリーコスメティクス(Kylie Cosmetics)などのファッション・美容・ウェルネスレーベルが関与するショッピングイベントである。

一方、姉のコートニー・カーダシアン氏のライフスタイルプラットフォームであるプーシュ(Poosh)は、ウェルネスをテーマにした2回目の年次キャンプ・プーシュを開催する。この招待者限定イベントと週末のインフルエンサーハウスには、スリップ(Slip)、シャークビューティ(Shark Beauty)、ユーセリン(Eucerin)、アヴェダ(Aveda)が参加予定だ。インフルエンサーハウスは「キャンプ活動やウェルネスアクティベーション、スパトリートメント、音楽パフォーマンス、フェスティバルの準備」を提供するという。

リキッドI.V.のスターディ.オアシスパーティ

ウェルネスカテゴリーでは、今年もリキッドI.V.(Liquid I.V.)が積極的に関与し、最初の週末に招待者限定のスターディ.オアシスパーティを後援する。これらは金曜日と土曜日のイブニングパーティ2つと日曜日のブランチである。金曜夜のパーティのテーマは、コーチェラ初のラテン系ヘッドライナーであるバッド・バニー氏を讃える「ケ・カロール(Que Calor)」だ。バッド・バニー氏が出席するかどうかは明らかではないが、「サプライズパフォーマンス」が約束されている。

ラブ・ビューティ・アンド・プラネットのオアシス

人気の「オアシス」という表現を使っているブランドには、ラブ・ビューティ・アンド・プラネット(Love Beauty and Planet)がある。同ブランドは最初の週末にパームスプリングスのリゾートホテルのザ・サグアロ(celebration)、ルネッサンス・エスメラルダ(Renaissance Esmeralda)、マルガリータビル(Margaritaville)で「感覚的なミストステーション」を開催する。このポップアップでは、カラフルなシュシュや同ブランドの透明ファニーパック、リキッドI.V.のパック、手持ち扇風機、シャンプーとコンディショナーのサンプルなどの景品が配られる。

このアクティベーションはヘアケアブランドのラブ・ビューティ・アンド・プラネットのブランド戦略の転換の始まりを意味する。同社はマーケティングにおいて長期間持続可能性を重視してきたが、製品の有効性にフォーカスするようになっている。

米国ユニリーバのヘアケア部門CMOであり、ラブ・ビューティ・アンド・プラネットの共同創業者、ソニカ・マルホトラ氏はこのマーケティングの新しい方向性について次のように述べている。「当社がローンチしたとき、そして現在も消費者には行動意図のギャップがあることに気づいている。消費者はもっと良い環境を望んでいる。…だが、状態の良い髪や肌を願うほどその気持ちは強くない。この洞察が意味するのは、当社には持続可能で効果のある製品を作る必要があるということだ。少なくとも、地球に優しいというミッションを掲げていない(他社ブランドの製品と)同じほどの効果がある製品を」。マルホトラ氏はミレニアル世代とZ世代がこのアクティベーションの主な対象だと述べている。

ジオジャム:オールナイターに備えるカールスミス

ジオジャム(Geojam)は、昨年、DJのディプロが出演し朝の7時30分まで続いたパーティを開催したが、今年はこのパーティにヘアケアブランドのカールスミス(Curlsmith)が後援する昼間のプールパーティが加わる。カールスミスは新しいエフォートレスウェーブ(Effortless Waves)製品のローンチを祝い、会場ではプロのヘアスタイリングを試すことができる。

メインフェスティバルでのニュートロジーナとアディダス

前述したアクティベーションはどれもコーチェラ自体とは提携していない一方、ニュートロジーナ(Neutrogena)とアディダス(Adidas)はコーチェラの公式スポンサーである。ニュートロジーナは「日焼け止めステーション」を開催して、砂漠の太陽から保護するための無料サンプルを参加者に配布する。アディダスはヘッドライナーのバッド・バニー氏と組んで、特別な「アディダス・キャンパス」ポップアップを会場内に設置する。製品ドロップ用のコンファームド(Confirmed)と呼ばれるアプリをダウンロードするとこのポップアップにアクセスできる。「サプライズ」を約束するこのポップアップについての詳細は現時点では少ないが、ファンは製品プレゼントの可能性についてオンラインで推測している。

また、アメリカン・エキスプレス(Amex)は、ヘッドライナーのブラックピンクの限定商品を会場内のポップアップで販売する。また、コーチェラに先立ち、アメックスは再販プラットフォームのデポップ(Depop)とコーチェラのパフォーマー、フロー・ミリ氏と提携して、デポップの品揃えから選ばれたフェスティバルのルックコレクションをキュレーションした。フロー・ミリ氏は、このコレクションは「Y2Kとグランジに影響を受けた大胆で魅力的な作品」と述べている。

ネオンカーニバル、インタースコープ、タオパーティのスポンサー

最初の土曜日に開催されるコーチェラの元祖アフターパーティであるネオンカーニバルのスポンサーは5年連続でリーバイス(Levi’s)だ。ラネージュ(Laneige)は最初の土曜日に開催されるインタースコープパーティに参加する美容ブランドである。このKビューティブランドは、Kポップのヘッドライナーのブラックピンクを含む今年の参加アーティストのレコードレーベルの式典でサンプルを配布する。また、アーバン・アウトフィッターズ(Urban Outfitters)は、両週末の金曜日に催される恒例のタオデザートナイトパーティで豪華なバーと写真ブースを提供することになっている。

[原文:Coachella 2023’s Brand Promos: Revolve, Clinique and Neutrogena head to the desert

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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