AIによってでっちあげられた「ミハエル・シューマッハのインタビュー」を掲載した雑誌に対し家族が法的措置へ

GIGAZINE
2023年04月21日 20時00分
メモ


by Ryosuke Yagi

ドイツの女性向け週刊誌であるDie Aktuelleが2023年4月15日の号で、ドイツの元F1ドライバーであるミハエル・シューマッハ氏の「AIが生成したインタビュー」を掲載しました。シューマッハ氏は2013年にスキー事故で脳損傷を負ってから公の場に姿を現しておらず、シューマッハ氏の家族はDie Aktuelleに対して法的措置を検討しているとのことです。

Schumacher family planning legal action over AI ‘interview’ | Reuters
https://www.reuters.com/sports/motor-sports/schumacher-family-planning-legal-action-over-ai-interview-2023-04-19/


‘World-first’ interview with Michael Schumacher written by AI chatbot | Tech News | Metro News
https://metro.co.uk/2023/04/19/world-first-interview-with-michael-schumacher-written-by-ai-chatbot-18637316/

Michael Schumacher’s family plans legal action over fake AI interview – The Verge
https://www.theverge.com/2023/4/20/23691415/michael-schumacher-fake-ai-generated-interview-racing-f1-lawsuit

F1: Michael Schumacher family to take legal action over AI interview
https://www.usatoday.com/story/sports/motor/formula1/2023/04/20/michael-schumacher-family-take-legal-action-artificial-intelligence-interview/11703882002/

シューマッハ氏はドイツ人として初めてF1世界選手権でチャンピオンを獲得した人物であり、現役時代に合計7度もチャンピオンに輝いた伝説的なF1ドライバーです。ところが、現役引退後の2013年12月にスキーをしていたところ、転倒して岩に頭を打ち付ける事故に遭ってしまいました。

この事故はヘルメットを着用していなかったら死んでいた可能性が高いほど激しいもので、シューマッハ氏は深刻な頭部外傷を負い、一時は人工的な昏睡(こんすい)状態となりました。2014年6月にはシューマッハ氏の意識が戻ったことが報じられ、9月にはさらなるリハビリを行うため自宅へと移りましたが、この事故以来シューマッハ氏は公の場に姿を現していません。

by Martin Lee

そんな中、ドイツの週刊誌・Die Aktuelleが4月15日に発売した号の表紙で、笑顔のシューマッハ氏の写真と共に「ミハエル・シューマッハ、初のインタビュー」という見出しを掲げ、シューマッハ氏の独占インタビューを掲載しました。

インタビュー内でシューマッハ氏は、「私は深刻なケガを負い、人工的な昏睡状態で数カ月間横たわっていました。そうしなければ、私の体は処置に耐えられなかったからです」「大変な思いをしましたが、病院のチームがなんとか家族のもとに戻してくれました」と述べています。ところが、このインタビューは実際のシューマッハ氏ではなく、AIチャットボットが生成したものであることが記事内で明かされています。

This week German magazine Die Aktuelle is getting lots of pushback for running what they billed to be: “Michael Schumacher: the first interview!”

The tabloid used the AI-generated conversation platform https://t.co/b7OU3bmE6E to mimic the former World Champion pic.twitter.com/ghq8qnQ91U

— Sportico (@Sportico)


なお、表紙の小見出しには「まるで本物のように聞こえる」と記されており、インタビューが本物でないことが示唆されていますが、読者は記事を読まないとAIによる偽物だと気づけなかったと海外紙のMetroは指摘しています。

Die Aktuelleが掲載した偽のインタビューは、他のドイツメディアやスポーツジャーナリストから非難されています。シューマッハ氏の家族の広報担当者はロイターに対し、Die Aktuelleに対する法的措置を検討していることを認めています。

妻のコリーナ氏をはじめとするシューマッハ氏の家族は、プライバシーのためにシューマッハ氏の状態を明かすことを避けており、面会を許された外部の人々も沈黙を守ってきました。2021年に制作されたNetflixのドキュメンタリー「シューマッハ」の中でコリーナ氏は、「ミハエルはここにいます。以前とは違いますが、彼はここにいて、私たちに力を与えてくれます」「私たちは家で一緒に暮らしており、治療も行っています。ミハエルが良くなるように、快適に過ごせるように、私たちはできる限りのことをします」「『プライベートはプライベートだ』とミハエルはいつも言っていました。彼ができるだけプライベートを楽しみ続けられることが、私にとってとても重要なのです。ミハエルはいつも私たちを守ってくれたし、今は私たちが彼を守っています」と述べていました。

by BacardiLimited

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2023年04月21日 20時00分00秒 in メモ, Posted by log1h_ik

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