男性の精子数が過去40年で半減したのは生活習慣や化学物質によるものという研究結果

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男性の精子は生殖活動に必要不可欠ですが、近年では男性の精液に含まれる精子数が減少していることが数多く報告されています。新たな研究で、精子数の減少のリスクを高める可能性のある要因について生活習慣や化学物質の摂取などが挙げられています。

Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis | Human Reproduction Update | Oxford Academic
https://doi.org/10.1093/humupd/dmx022

OP-HURU220035 1..20 – dmac035+corrected
https://static.primary.prod.gcms.the-infra.com/static/site/humrep/document/dmac035+corrected

Sperm counts worldwide are plummeting faster than we thought
https://www.nationalgeographic.com/magazine/article/sperm-counts-worldwide-plummeting-fast-infertility-lifestyle

2022年にエルサレム・ヘブライ大学の公衆衛生医であるHagai Levine氏らの研究チームは2014年から2019年に発表された論文についてメタ分析を行うことで、約40年で精液1ミリリットルに含まれる男性の精子数が半数以上減少しており、精子数の減少ペースが21世紀に入って加速していることを明らかにしました。

男性の「精子の数」が過去40年間で全世界的に半減しており減少ペースは21世紀に入り加速していることが判明 – GIGAZINE


精子数が減少することにより直面する問題として、不妊症の増加が挙げられています。デンマークのロスキレ大学コペンハーゲン大学の分子毒性学者のDavid M. Kristensen氏は「イタリアや日本など、人口減少に苦しんでいる多くの国では、精子の数が少なく、パートナーと受精する能力が低い男性の割合がかなり増えています」と述べています。

生殖に関すること以外にも、精子数の減少が男性のさまざまな健康問題に関連していることも懸念されており、スタンフォード大学Michael Eisenberg氏は、「精液の質と健康との間には関連性があり、精液の質の低下は精巣がんや心血管疾患などのリスクの上昇と関連することが示されています」と指摘しています。

たとえば、妊娠初期に母親が接触した有害化学物質は、生まれてきた子どもの生殖機能の発達に永久的な影響を及ぼす可能性が指摘されています。一方で、男性が喫煙や農薬などに暴露されることで受けた精子へのダメージは、有害化学物質への暴露を止めることで元に戻る可能性があるとのこと。


精子数の減少について、環境要因や生活習慣が原因であることが指摘されており、農薬などの内分泌かく乱物質や喫煙、肥満が要因として挙げられています。2019年の研究によれば、太り気味の男性は精子濃度の低下や総精子数の減少、活動する精子が少なくなる傾向にあるとのこと。

精子数の減少の詳細は明らかになっていませんが、さまざまな化学物質が環境の中で混合し、互いの悪影響が拡大され、より有害な影響を与える可能性があることや、化学物質に何世代にもわたって累積的に暴露されることが考えられています。

精子数の減少を抑えるために必要なこととして、Eisenberg氏は、健康的な食事や定期的な運動、健康的な体重の維持、禁煙などの生活習慣を求めています。また、マウントサイナイ医科大学Shanna Swan氏は内分泌かく乱物質にさらされることを減らすために、プラスチックやマニキュア、シャンプーなどに含まれるフタル酸エステルや硬質プラスチックや接着剤などに含まれるビスフェノールAや殺虫剤に気を遣うことを勧めています。

Swan氏らは、「化学物質を削減または除去するためには、地域的・世界的な取り組みが必要です」と述べています。

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