私が幼いころ(30数年前)、特にお年寄りのいる家庭では高確率でトイレに「チリ紙」があった。それが水洗トイレの普及とともに「トイレットペーパー」に置き換わっていった……ハズなのだが、どうも地域によって差があるようだ。
と、ここで私の脳裏にふと、幼いころ見た「おじいちゃんのチリ紙の使い方」の記憶が鮮明に蘇ってきた。あの独特な尻の拭き方、一体何だったんだろう?
そういえばチリ紙って、今でも売っているんだろうか?
・売ってた
ご存知ない方のために説明しておくと、チリ紙とは “ザラザラした長方形のティッシュ” のようなもの。もちろん尻を拭く以外の用途にも使用でき、トイレットペーパーやティッシュペーパー登場以前はメジャーな存在だった。ためしに近くのドラッグストアをのぞいてみると……
あった!!!! むしろ山積みである!!!!!
しかし私の幼い記憶と照らし合わせると、どうもパッケージが現代的だ。昔のチリ紙はもっとこう、レトロで味わい深いビジュアルをしていたはず。そこから探し回ること1カ月……地元・鳥取のスーパーで、私はついに納得のいく商品を見つけたのである。
『ソフト坊っちゃん』を!!!
・おじいちゃんの流儀
まるで思い出の中から飛び出してきたかのような、情緒ある風情のソフト坊っちゃん。製造元は愛媛県にある企業だ。さすが日本一の紙どころ。
それでは、さっそくソフト坊っちゃんでウチのおじいちゃんの尻の拭き方を再現してみたい。
かつて祖父宅ではチリ紙の横に必ず「古紙」が置かれていた。週刊誌や電話帳に使用される “ザラザラの再生紙” を切り取ったもの。祖父が尻を拭くシーンを直接見たわけではないが、「これ、どうやって使うの?」と尋ねたことがある。
まず古紙を1枚手に取り、思いっきりクシャクシャにする。
それをチリ紙でサンドイッチしたら、あとは尻を拭くだけ。幼い私は「大人になったら、こんなに硬い紙で拭かなきゃウンチが取れないのだろうか?」と恐怖を感じた。
が……今になって思うと、祖父が単に「チリ紙を節約していた」可能性もあるかもしれない。ちなみに古紙を使っていたのは祖父だけで、祖母は普通にチリ紙を使っていた。祖父母はとっくに亡くなっているため、これ以上の詳細は不明だ。
男性と女性では尻のつくりが異なる。今回は祖父と同じ男性である中澤記者にモニターをお願いしてみたぞ。
待つこと5分…………
・優しかったらしい
意外なことに、中澤記者は「チリ紙だけで拭くより尻ざわりがソフトだった」と証言した。チリ紙だけでは尻の穴に食い込んでしまうところ、古紙を敷くことで硬さが軽減され「逆にちゃんと拭けているか心配になるほど優しかった」というのだ。意外である。
みんなもぜひ一度試してみてくれ……と言いたいところだが、水洗トイレが当たり前になった今では使用後の紙の処理に苦労するのが悩ましいところ(祖父宅は汲み取り式だった)。興味のある人は下準備をしたうえでトライしてみてほしい。
なお冒頭で「昔は普通にチリ紙を使っていた」と書いたが、編集部内で全く共感を得られなかったことから、もしかすると田舎限定の思い出なのかもしれないことをお断りしておく。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.