21世紀のはじめごろ、「カスピ海ヨーグルト」を作るのが流行った。
「なんだかとてもいいヨーグルトらしい」とか「妙にねばり気があるらしい」などのうわさと一緒に、当時大学生だった私のもとにもカスピ海ヨーグルトの種菌がやってきた。
友人がひとり「種菌を手に入れた」と話した途端、興味のある者たちがわき、こぞって種菌をもらって帰り、自宅でせっせとヨーグルト作りに励んだ。そんな時期があったのだ。
それからずいぶんと時が経っていま、カスピ海ヨーグルトはスーパーで買える定番商品になっている。
彼らはフジッコの商品になった
あれから20年経ったいま「そのようなヨーグルトは知らない」っていう人もそこそこいるのではないか。
カスピ海ヨーグルトとは、家森幸男博士がヨーロッパ東部のコーカサス地方から日本に持ち帰り、日本にも広まったヨーグルトである。
その流行り方は、いま思うとかなり妙だった。人から人へ、直接ヨーグルトの種菌が手渡しされ、徐々に徐々に広がっていく……というスタイルだったのだ。
当時「種菌」と呼ばれていたのはヨーグルト本体である。もらったヨーグルトを牛乳に入れ、しばらくの間置いておくと、菌が培養され、牛乳がヨーグルトに変化するのだ。
「その広まり方、大丈夫なのか?」と、いまだったら速攻で言われそうな気がする。
むろん家森博士も、ヨーグルトに雑菌が増えることを懸念したそうで、まわりにまわっていま、カスピ海ヨーグルトは商品としてフジッコから販売されている。
特徴は「とにかくねばり気がある」
カスピ海ヨーグルトがほかのヨーグルトと大きく違うのは、ねばり気だ。どろっとしている。
価格はブルガリアやビヒダスなどのヨーグルトと比べると、ちょっと高めの設定である。メーカーの小売価格だと300円(スーパーではよく200円台で売っているのを見かける)。
でも、たまに無性に食べたくなるので買う。
そこまで粘着質ではない、さわやかなねばりだ。
1000円返してくれなかった人にちゃんと「1000円返して!」って言えるけど、冷蔵庫に入れておいたプリンを食べられてしまっても、翌週には忘れていそうな感じである。
正直、おなかにどんな作用があるのかには興味がない。食感が好きだから食べているのだ。
さらなるねばりの高みへと
カスピ海ヨーグルトがさらにねばるという、「ねばるパウダー」なるものを発見したので、さらなる高みを知るために、購入してみることにした。
残ったパウダーをどう使おうか、真剣に考えています。