1974年、プエルトリコのアレシボ天文台から宇宙に向けて発信されたメッセージ、それが「アレシボ・メッセージ」だ。この電波メッセージには地球や人類についての簡潔な情報が込められていて、もし地球外に知的生命体がいれば、これをキャッチして解読することも可能かもしれないというもの。
ところでこのアレシボ・メッセージ、マフラーの柄にちょうどいいのだ。
もうマフラーとか言ってる時期でもないので、急いで編んでしまいたい。そして宇宙人にそなえよう。
※2008年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
色つきの2進数ではありません
そのアレシボ・メッセージとは、こういうものだ(下写真)。ご覧になったことのある方も多いだろう。
詳しい説明はウィキペディアに譲るが、1から10までの数字やDNAの2重螺旋、人類のかたち、地球の位置・・・それらがこの73行×23列のメッセージに込められ、25000光年先の球状星団M13へ向けて発信されたのだ。
本当にこれを見て宇宙人はすべてを理解できるのだろうか、と以前から不思議でしょうがない(そのつもりで計算されて作られたということは承知の上での話である)。2進法とか、数字の概念とか、化学物質の組成とか、同じ文明水準に達していればやがて共通の理解に到達する領域なんだろうか。
例えば私のようなものがまず拾ってしまったとしたら、まさかメッセージとは思わずにそこらのコンビニのゴミ箱に捨ててしまうんじゃないだろうか。25000年が、パアである。パア。
しかし天文学好きだった私には、なんとも興味をそそる話ではある。ボイジャーのゴールデンレコードしかり、パイオニア探査機の金属板しかり。
などとわーわー言っておりますが、さておき。マフラーの制作にとりかかることにしよう。今日は春一番が吹いたし、冬も終わりに近づいている。急いで材料と編み図を用意する。
マフラーの長さをかせぐ都合上、メッセージを左右1つづつとした。
そして、毛糸の色チョイス。実はメッセージ自体には、もともと色はついていない。そりゃそうだ、2進数の電波メッセージに、色はつけられない。なぜ引用した画像には色がついているかというと、メッセージの各部をわかりやすく色分けしただけなのだ。よって、とりあえずそのポピュラーなカラー画像を参考にして、編んでみることにする。
着てはもらえぬマフラーを
実はアレシボ・メッセージの「73×23=1,679個のドット」には意味がある。1,679は、その2つの数でのみ素因数分解されるのだ。つまり、1×1,679か、73×23でしかありえないわけですね。
受け取った宇宙人は、まずそのメッセージを単に「2進数がずらーっと1,679個」として受け取り、「もしかすると・・・これは73×23の四角形になるのでは」と想像するにいたり、めでたくこのメッセージを目にすることとなる。
と、書いてる時点でもうかなり意識が遠のいてきた。つかみどころのないことを想像して、さっきから眠い。25000年かかって届いた末に、そんな周到な暗号を読み取ってもらわねばならないとは!
と、とにかく。 その「73×23」を元にすると、マフラーにするには中途半端な大きさなのだ。そのままでは短いし、2倍の面積でドットを表すとなるとキッチンマットみたいになってしまう。大きさを決めるのに、小1時間ほどかかってしまった。
編み始めたはいいが、ここからは家のホットカーペットで1日中横座りして、手先だけ一心不乱に運針するのみだ。絵的には特に変化のないページになるだろう。
なので、天気のいい日には、外でニットアウトしてみることにした。宇宙人に想いを馳せながら・・・。