遠くに行ってもチャーハンを食べる理由~取手「中華飯店」~

デイリーポータルZ

チャーハン。

デイリーポータルZには「チャーハン部」というグループがあって、その日食べたチャーハンの写真をシェアしたり、たまに集まってチャーハンを食べに行ったりしている。それ以外に特に会話はない。

このチャーハン部だが、旅に出ても現地でチャーハンを食べているのだ。なぜなのか、チャーハンを食べながら考えてみた。

取手に行った

先日、取材で茨城の取手に行った。

取手。

僕は以前茨城県に住んでいたことがあるのだけれど、取手には来た記憶がなかった。かろうじて夏に大きな花火大会がある、くらいのイメージ。

集合時間が12時だったので、1時間前に着いてチャーハンを食べることにした。知らない街である。スマホで検索してもいいのだけれど、運命みたいなものを感じたくてまずは無計画に歩いてみた。

茨城は車社会である。整備された道路をビュンビュンとたくさんの車が通り過ぎていく。それら車列の切れ間に、チャーハンが食べられそうなお店を見つけた。

あのお店、チャーハン食べられそうである。
「中華飯店」が名前だった。それは名前を聞かれて「人間」と答えるようなものではないのか。自信の表れともとれるし、あまりに正直ともいえる。

遠くの歩道橋を渡って対岸を引き返してきた。中華飯店はカラオケ喫茶の二階だった。

胸が高まる階段である。

手動のドアを右にスライドさせて店に入る。

静かだ。

11時すぎなので営業時間の前だったのだろうか。でもセンサーが反応して来店を告げるベルが店内に鳴っている。

物が多いが雑然としていない。完全に最適化されたレイアウトである。うまいチャーハンを作りそうだ。

ほどなくしてお店の人が入ってきて(それまで無人だった)一人だと告げたらカウンター席を勧められた。

テーマカラーは落ち着きのある赤。
カウンター席から見える景色は道だった。カウンターが店内を向いておらず、道路を向いているのも茨城の車社会を象徴しているようである。

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