今から遡(さかのぼ)ること、約1年前。私(耕平)は、他とは一線を画す面白い駄菓子屋があると聞きつけ、千葉県八千代市にある「まぼろし堂」を訪れた。当時はまだコロナ禍だったこともあり、駄菓子屋には珍しい「非接触式」という営業形態を取っていた。
その「まぼろし堂」が、なんと『イナゴクレープ』という昆虫食スイーツの販売を始めたという。それを見た瞬間「これは絶対食べねば!」と再び千葉県八千代市に足を運んだ。そこで目にした光景は前回訪問時より、さらに進化した異空間のような店内だった……。
・オススメの来店方法
あの「まぼろし堂」が手掛ける『イナゴクレープ』とは……マジで期待しかない! テンション上がりっぱなしの私は、さっそく最寄駅の東葉高速鉄道「八千代緑が丘駅」に向かう。
場所は駅から徒歩で30分以上かかる。なので今回はバスで行こうと思ったが、次のバスまで時間が余っていたので、駅の周りをうろついていたら……
「えっ? シェアサイクルあるじゃん」
バスで向かっても最寄りのバス停から10分ほど歩くことになるので、電動自転車が使えるならありがたい。すでにアプリはインストールしていたので、即決で利用することにした。
そして「まぼろし堂」に向かうべく、のどかな農道で雰囲気を味わいながら、電動自転車を走らせる。
駅から向かうこと約20分。1年ぶりに「まぼろし堂」の入口にたどり着いた。
・実食!イナゴクレープ
敷地内に入ると、駄菓子屋とは思えない空間が広がる。
そしてさっそく、『イナゴクレープ』を実食すべく、敷地内に設置しているキッチンカーに向かった。
『イナゴクレープ』のメニューに目を向けると……
正式名称は「そうのはし いにしえクレープ」と言うらしい。「可愛いと、可愛くはない物の融合」という、ただならぬキャッチコピーが逆に興味をそそる。ちなみに「そうのはし」とは、このお店がある地名らしい。
中身は黒糖に生クリーム、ここまでは普通だが、これにイナゴがトッピングされる。たしかに素材だけ見ると「いにしえ」だ。それでは、さっそく注文してみよう。もちろんトッピングは「イナゴ増し」だ。
注文すると、フードコートでよく利用される「ある物」が渡される。
駄菓子屋なのに呼び出しブザー??
先ほどの異空間といい、だんだん頭がバグってきた。そして待つこと5分。ブザーが鳴り、カウンターに向かう。
ついに『イナゴクレープ』が姿を現した。さあ、その全貌をご覧いただこう!
えっ? メッチャ映えてない??
思ったより見た目にエグさはなく、たっぷりの生クリームに黒糖と抹茶に金粉、そこにイナゴがいい感じに散りばめられている。これ自体、一つの作品に見えてきた。
それでは、さっそくひとくち。
なんだこれ、メチャメチャ美味いやんけ。
使われている素材は、クリームとクレープの皮以外は「和」の素材だ。それがちゃんとクレープの「洋」にマッチしている。また、食べる前に気になっていたのは、やはり「イナゴの佃煮」だった。
私が想像していたのは、以前食レポした「いなごらー油」だった。あちらは調味料だったので、いろんな食材に乗せて試してみたものの、どうしても甲殻の硬さが気になっていた。
ところが、こちらのクレープで使っているイナゴはサクサクした食感。見た目はイナゴだが、フレークみたいな役割を担っているようだ。口の中であっという間に溶けてしまう。
食べ進めると、中にもイナゴが数匹入っている。
そして、あっという間に完食。
いや〜これはぜひ、たくさんの人に食べてもらいたい! と心から思えた逸品だ。見た目で苦手意識を持つ人もいると思うが、実際食べてみればわかる。また、村山さんの娘さん “あつ姉” が淹れる本格的なコーヒーとの相性もバッチリだ。
・お店もメチャクチャ進化してた
『イナゴクレープ』を堪能したあと、改めて敷地内を見渡してみる。1年前からいくつか変化があったのであらためてご紹介したい。
例えば、こちらの「うどん・そば」の手動販売機とか……
「どこでもドア」みたいなものが設置されている。
ドアを開けて中に入ると……
なんじゃ、こりゃ〜!!!!!
色とりどりの電飾に、壁にいろんな玩具などが施されている異空間に飛ばされた。えっ? ここ駄菓子屋だよね??
そして、さらに奥に進んでいくと……
急に昭和にタイムスリップ??
ダメだ、もう情報が追いつかない……と思っていながら先に進むと、コロナ禍では営業できず使われていなかった、昔ながらの雰囲気の駄菓子屋の店内が姿を現した。
その奥には、前回訪れた際に「河童のヤッペ君」を使って非接触でユニークな接客をしていた、“やっちゃん” こと店主の村山保子(やすこ)さんが、元気に対面で接客をしていた。
コロナが緩和され、対面営業が可能となった「まぼろし堂」は……
・手動販売機がある
・キッチンカーがある
・フードコートにある呼び出しブザーがある
・10台ほど停められる駐車場がある
・異空間がある
など、もはや駄菓子屋の域を超えたエンターテイメント空間と言っても差し支えなかった。場所的にたどり着くのに一苦労だが、駅からレンタルされている電気自転車などを上手く使って、ぜひ多くの人にこの感動を味わってほしい! ハッキリ言って、この空間を味わうだけでも足を運ぶ価値アリだ!