Samsungが「AIが描画した偽の月の写真」はどのように撮影されているのかをブログで公開

GIGAZINE



Samsungのハイエンドスマートフォンには、最大100倍のズーム写真が撮影可能な「スペースズーム」機能が搭載されています。このスペースズーム機能を使って撮影した月の写真が「ほとんどはAI処理によって描画されたものだ」と指摘された件について、Samsungが英語版ブログに技術的詳細を投稿しました。

How Samsung Galaxy Cameras Combine Super Resolution Technologies With AI Technology to Produce High-Quality Images of the Moon – Samsung Mobile Press
https://www.samsungmobilepress.com/feature-stories/how-samsung-galaxy-cameras-combine-super-resolution-technologies-with-ai-technology-to-produce-high-quality-images-of-the-moon/


Samsung responds to fake Moon controversy – The Verge
https://www.theverge.com/2023/3/15/23641069/samsung-fake-moon-controversy-english-language-blog-post

「スペースズーム機能で撮影した月の写真はほとんどAIで描画されたものではないか」という疑惑について、インターネット掲示板・Redditのユーザーが「あらかじめぼかしをかけた月の画像をスペースズーム機能で撮影する」ことで検証しました。その結果、もともとぼやけている月の画像を撮影したはずが、ディテールが精細に表現された月の写真が撮れてしまったため、「スペースズーム機能で撮影された写真はほとんどAIによって描画されたものではないか」と指摘されています。

Galaxyのカメラの100倍ズーム機能「スペースズーム」で撮影した月の写真は「AIによる偽造」という指摘 – GIGAZINE


これに対して、Samsungは英語版ブログに「How Samsung Galaxy Cameras Combine Super Resolution Technologies With AI Technology to Produce High-Quality Images of the Moon(Samsung Galaxyカメラが超解像技術とAI技術を組み合わせて高品質の月の画像を生成する方法)」という記事を投稿しました。

記事によれば、スペースズーム機能で月の写真を撮る場合、Samsungのスマートフォンは超解像を利用して、25倍以上のズームで撮影した10枚以上の画像を合成し、ノイズ除去と鮮明さの強調を行います。さらに、シーンオプティマイザーがオンになっている状態で月が撮影対象になっている場合、シーンオプティマイザーの「ディテール強調エンジン」によって月が明るく鮮明になるとのこと。


スペースズーム機能で使われるAIは「満月から三日月までのさまざまな月の形と詳細」について学習済みのモデルであり、写真の中に月が映っている場合、写真内で月が占める領域を検出するそうです。


そして、シーンオプティマイザーのディテール強調エンジンは、AI処理によって残留ノイズを効果的に除去し、画像のディテールをさらに強化します。Samsungの主張によれば、Redditユーザーによる検証でシーンオプティマイザーをオフにすると月の写真がぼけたままになったのは、まさにシーンオプティマイザー機能がAI処理でディテールアップしていたためだというわけです


この記事は2022年に韓国版ブログに投稿されていたものとほぼ同じ内容だとのこと。つまりSamsungは、スペースズーム機能で撮影した月の写真がAI処理でディテールアップされることを以前から明らかにしていたということになります。ただし、一部ユーザーからは「AIによって鮮明になっていることを明かさずにこの月の写真をマーケティングに使うと、スマートフォンの光学的性能が優れていると誤解するケースも起こり得る」という指摘もあります。

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