光回線の代わりにStarlinkってアリ?実際にやってみた

GIZMODO

どこにいても、インターネット。

Starlink(スターリンク)は、イーロン・マスク率いる宇宙開発企業SpaceX(スペースエックス)社が提供する、衛星インターネットサービス

光ファイバーなどの物理的な回線を引かなくても、アンテナで上空の衛星と通信できさえすれば、誰でもどこでもインターネット環境がゲットできてしまう。そんな革命的な通信インフラサービスなんです。

このサービスを使えば、離島や、大自然の中の一軒家、日本中どんな場所でもテレワークができる。

そこで、編集部員4人でStarlinkを使って、Wi-Fiがないコテージで実際に3日間仕事をしてみることにしました


先にお伝えしておくと、家に帰ってきてから、マジで私物のStarlinkを購入しようと検討中です。

簡単すぎるセットアップ

滞在先は山梨県の河口湖、プライベートコテージ グリーンゲイブル

星がとてもよく見えます。奥にあるのは富士山

このコテージ、Wi-Fiがありません。地理的な問題で光回線を通せないそうです。スマホをアンテナマークが1〜2ピン程度で不安定でした。到着したので、さっそくスターリンクを設置します。

SpaceX社から届くのはこの箱。中身は至ってシンプルで、アンテナと、ルーターと、コード類が入っています。

日本では個人で注文した場合、今回紹介するものと同じ、標準モデルセットなるものが届きます。

アンテナをおいて、コードでルーターにつなげます。

ここは開けた土地で障害物が少ないので、適当な場所においても特に問題なく衛星との通信ができそうです。

ルーターに電源につなげたら、専用アプリを起動。

アプリに導かれるまま設定して…。

インターネット、GET!

しばらくアンテナが衛星を探して適切な角度に自動調整する時間があるので、安定するまで十数分はみた方がいいです。

セッテング開始から実際にネットが使用可能になるまで、約30分といったところでしょうか。

さあ、使ってみよう

セッティングが完了した後、ルーターを仕事場であるリビングに持っていきました。アンテナとルーター間のケーブルは1本で、長さは22.9m。移動も結構余裕がありました。

対して電源コードは1.8m。長くないので、延長ケーブルがあるといいと思います。電源プラグは3ピンのものなので、コンセントの形状は事前に確認すべきですね。

Starlinkアプリを確認してみると、編集部員4名で、合計11のデバイスがStarlinkの回線を使用していました。

アクティブなのは、各々の仕事道具のPCとスマホ。8台が稼働している状態です。この瞬間はダウンロード速度176Mbpsでした。

ちなみに、自宅の光回線がダウンロード速度400〜500mbpsで超快適、モバイル回線で快適と言えるのが100Mbpsあたり。30Mbpsあれば4K動画視聴などの日常使いには十分です。

アップロード速度は13Mbps。ビデオ会議などは問題なさそうな数値ですね。

なので、体感は光回線ほどではないけどモバイル回線よりは出る、みたいな感じ。移動可能なことを考えると十分ではないかと思います。データ通信量の上限はありません

キャンプなど、外で使いたい場合は、ポータブル電源があれば問題なく動きます。

今回持って行ったポータブル電源はAnker 535 Portable Power Station、Starlinkの標準モデルはアクティブな時で平均50〜75wが必要なので、計算上は大体5〜6時間くらいは持つことになります。

日中はソーラーチャージャーをつなげておけば、長持ちしますね。

3日間過ごした。過ごせてしまった

僕らの仕事はインターネット環境が必須ですが、日常的に大きなデータは扱いませんし、遅延を気にするタイミングもビデオ会議くらい。

4人それぞれの端末でYouTubeの4K動画を流しても普通に観れちゃいましたし、爆速ネット回線が必要なことをしない限り、びくともしなさそうでした。

強欲なことをいえば、アンテナの位置を1、2m動かしただけで衛星との接続が切断されるのは、完全に途切れずに、ギリギリで耐えて欲しい。

まだ試してないのですが、イーサネット接続のアダプターも公式で注文できるので、より安定して高速な環境が欲しければ、選択肢はある感じ。

そうして3日間、思っていたよりも“快適に過ごせてしまいました”。

ぶっちゃけると「Starlinkが全くつながらなくなって、仕事ができない!これじゃだめだよイーロン!」なんて展開になればおいしいな、なんて邪な期待をしていたところがありました。

そんな考えは当然のように裏切られ、最終的には自分がStarlinkの回線を使っていることすら忘れる始末でした。

良いサービスってなんだろう

僕が思うにStarlinkは、「たくさんの人に長い間使ってもらうこと」を、とことん突き詰めたサービスです。アンテナをたてて、ルーターと電源につなげば、アプリひとつでインターネットに接続できちゃう。

…簡単すぎる。Starlinkセットが届きさえすれば、ちょっとビビるくらい簡単にインターネットに接続できるんです。

サービスを実現させているのは、想像を絶するコストとテクノロジーなはずのに、最終的に僕らの手元に届くものはこんなにもシンプル。そして、シンプルであることの価値は、とても高いと思います。

そうして今回、Starlinkがインフラ革命を起こそうとしているのは「本気」だってことを、自分の肌で感じることができました。

日本は95%の地域で光回線が通っているし、モバイル通信のインフラが充実しています。そのためStarlinkは話題になりにくいかもしれませんが、理論上は電源とアンテナとスマホさえあれば、世界中のデジタルデバイド(情報格差)を解消できてしまうポテンシャルを持ったサービスなんです(国がStarlink衛星を許可さえすれば)。

使い始めるまでの最大のハードルはここ

Starlinkいいじゃん、と思った方にお伝えしたいのは、ハードウェアもアプリも超シンプルなんだけど、通信プランの内容は超ややこしいから気をつけて!ってことです。欲しい情報が、ホームページに見やすくまとまってないんですよね。

Starlinkを使い始めるには、初期費用のハードウェア代(期間限定3万6500円)と、月額の通信料がかかります。現在、個人で利用できる通信プランは、レジデンシャルRVの2つです。

簡単に、この2つのプランの説明をします。

RV

Starlinkを必要な時だけ持ち運んで使いたい方はRVプラン(月額9,900円)がいいと思います。例えば、旅行やキャンプにいく方、別荘を持っている方、もしくは災害用に持っておきたい方などです。

理由は明確で、自分のアカウント上のボタンひとつでサービス利用の一時停止・再開ができるようになっているから。停止している間、当然料金はタダになります。

Starlinkアカウント上の表示

回線の速度は、後述するレジデンシャルプランよりも優先度が低い、SpaceX社がいうベスト エフォートのサービスで、規定の速度や中断のない利用は保証されないものになっています(今回の企画ではRVプランを契約しており、十分な速度でした)。

レジデンシャル

レジデンシャルプラン(月額6,600円)は、ベスト エフォートより優先的なサービスを、設定した住所でのみ利用できる仕組みになっています。

さらに、Portability機能(月額2,800円)を追加できます。これはユーザーが設定した場所以外でもベスト エフォートで通信ができる機能です。

つまり、レジデンシャル+Portability(合計の月額9,700円)にすれば、特定の場所で優先サービスを受けられ、持ち運んだ先でも使うことができるんです。

ん?これ、RV(月額9,900円)意味なくない?となってしまうところですが、あるんです。

おすすめはRVプラン

今回、Starlinkでの生活を始めるにあたって、停止していたレジデンシャルプランを再開させたあと、RVに変更する手続きを行いました。

レジデンシャルの場合は、RVと違って、利用の再開をサポートにメッセージで問い合わせる必要があるんです。こちら側でタイミングをコントロールできません。

実際に編集部のレジデンシャルプランを再開させるために、サポートに連絡しました。今回は約1日後に返信がきましたが、メッセージのやりとりも正直手間ですし、すぐに対応してくれる確証は全くないです。

普段使わない方は、RVプランを契約し、すぐに利用・一時停止できる状態にしておくのがいいと思います。

ちなみに、レジデンシャル→RVのプラン変更はボタンひとつで可能ですが、RV→レジデンシャルへのプラン変更はできない仕様になっていますので要注意です(なぜなんだ)。


外国では海上プランがあったり、航空プランが導入予定だったりと、サービスは拡大の一途を辿っているStarlink。通信のクオリティも、これからどんどん良くなっていくはずです。

Starlinkでのテレワーク生活は快適そのものでした。

通信インフラがない!まあStarlink出せばいっか、みたいな「一家に1台Starlink」の世界も夢物語ではなさそうです。

Source: Starlink