TikTokトレンドで人気急上昇、魚の缶詰ブランド「スカウト」がホールフーズでの全国販売にこぎ着けた経緯

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

TikTokで「魚の缶詰のデートナイト」というトレンドが確立して以来、シーフード缶詰の会社であるスカウト(Scout)の商品は飛ぶように売れている。

同社は昨年の業績のおかげで、2020年に開始されたホールフーズ(Whole Foods)との北東地域における契約を全国的な小売パートナーシップに拡大し、北米全体の2000店舗以上で自社商品を販売できるようになった。新興企業である同社の昨年の第4四半期の小売売上高は、第3四半期に比べて200%増加した。同期間に、同社のeコマース売上も208%増加した。

「当社の商品は、これまでもっとも売上が低かったムール貝も含めて、店舗ですっかり売り切れになった」と、スカウトの共同創設者でCEOを務めるアダム・ベント氏は語る。同社は天然カラフトマスの燻製(Smoked Wild Pink Salmon)や天然ビンチョウマグロ(Wild Albacore Tuna)を含む12種類の魚の缶詰を商品として販売している。「これらは、一般的な消費者にとってややなじみがない海産物だが、今では在庫を維持するのに苦労するほどの商品になっている」。

SNSトレンドの恩恵

スカウトの創設は2014年で、長期間保存できる魚の缶詰を初めて商業用に売り出したのは2020年のことだ。同社の創設者は、高品質の魚の缶詰が、スペインや、ポルトガル、フランスなどの欧州諸国で人気があることから、北米でも可能性があると考えた。同社の今日までの総収益は400万ドル(約5億4000万円)で、400万ドルの資金を調達した。

魚の缶詰のトレンドは、コンテンツクリエイターのアリ・フック氏が、夫と2人で、「魚の缶詰のデートナイト」と呼ぶ習慣をどのように作り上げたかを一連の動画で紹介したことで、TikTokにおいて確固たる地位を確立した。フック氏は通常、シーフードの缶を開けてシャルキュトリーボードに加えている。動画のひとつは450万回再生された。アプリでは「#tinnedfish」というタグの動画が2870万回以上再生されている。スカウトはこのトレンドの恩恵を受けた企業のひとつで、動画のおかげで売上が増加し、さらに多くの小売業者が同ブランドを自社の店舗で販売することに関心を持つようになった。

ホールフーズに加えて、同社は今年中にH-E-Bとマイヤー(Meijer)でも販売を開始する。ベント氏は、同社の商品が約4000店舗で販売されることを期待していると語る。この60日間だけでも、スカウトは3月に発売する新商品ラインが2000店舗の新しい小売店で販売されることを確認したと述べている。

ホールフーズでは、スカウトのカナダ大西洋岸ロブスター(Atlantic Canadian Lobster)、プリンスエドワードアイランドのムール貝(PEI Mussels)、ニジマス(Rainbow Trout)が全国の店舗で販売される。北東部のホールフーズ店舗におけるスカウトの商品の売上が好調だったため、同社はほかの地域でもスカウトの商品を販売することに興味を持ったと、ベント氏は述べている。スカウトの商品はenjoyscout.com、ファームトゥピープル(Farm to People)、フレッシュダイレクト(Fresh Direct)、スライブマーケット(Thrive Market)などでも販売されている。

スカウトは、同社のD2Cチャネルよりも小売を重視し続けていくと述べている。2020年の時点で、同社の売上の40%はD2Cチャネルからのものだったが、2023年にはD2Cチャネルが売上に占める割合は10%を下回っている。

極めて強力なブランディングツール

Covidが蔓延したとき、スカウトの1缶7.49ドル(約1010円)のシーフードが売れはじめた。

ベント氏は次のように述べている。「魚の缶詰に対する多くの人々の認識が、パントリーに入れておいてツナサンドを作るまでは存在を忘れている、安価だが満足できる商品から、もう少し料理の中心として使え、いろいろな食事で何回も食べるものに変わってきた。魚の缶詰への関心を中心として文化資本が作り上げられている。ソーシャルメディアで爆発的な人気となり、従来は魚の缶詰に関心を持たなかったような若い層の消費者にまで波及したのは、それが理由のひとつだと考えている」。

スカウトは、「魚の缶詰のデートナイト」のトレンドに飛び乗り、アリ・フック氏自身のようなインフルエンサーと接触した。フック氏は毎月、TikTokでのアフィリエイト販売によって約500の取引を促進していると、同社は述べている。いくつかの動画ではフック氏が同社のさまざまな商品をテストし、その味を視聴者に説明している。

スカウトと同様、ほかのシーフード缶詰の企業もTikTokのトレンドの恩恵を受けてきた。ユーロモニターインターナショナル(Euromonitor International)のデータによれば、米国におけるシーフード缶詰の2020年の売上は前年比10%増の27億ドル(約3650億円)に達した。たとえば、ザ・ティンド・フィッシュ・マーケット(The Tinned Fish Market)は自社の売上が過去1年間で倍増したと、ガーディアン(The Guardian)に語った。

コマースソフトウェア企業のプロダクトサップ(Productsup)で最高イノベーション責任者を務めるマーセル・ホラーバッハ氏は、TikTokについて次のように述べている。「これは、極めて強力なブランディングツールにほかならない。アルゴリズムによって、利用者が特定のトピックに関心を抱いていると認識されると、そのトピックが繰り返し表示される」。

同氏は、TikTokには購入を促す能力があるため、物理的な売上に影響を及ぼすと語る。これらのブランドの多くが抱える課題は、このトレンドが過ぎ去ったあとでどのように人気を維持するかだと、同氏は述べている。

従来型販路への参入

スカウトにとって、ソーシャルメディアへの注力の85%はTikTokで占められている。数カ月前には同社の主な関心がインスタグラムとFacebookに注がれていたのとは対照的だ。ほんの数カ月前、同社はTikTokにいっさい投資していなかったが、「今は増えるばかりだ」と、ベント氏は述べている。

スカウトはTikTokで有料パートナーシップを組み合わせて使用していくと同氏は述べている。

また同氏は、次のように述べている。「我々は大手ブランドに成長することを望んでいる。そのために、アーリーアダプターの消費者を育てることを強く意識している。当社は2年間の成功によって成長してきたが、今後は従来型の食料品店や、クラブ、食品サービスチャネルへの参入を続けていく」。

[原文:How the tinned fish TikTok trend led to Scout’s first national retail partnership at Whole Foods]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Scout

Source