首にかけたストラップで装着する禁煙用のウェアラブルデバイスが、アメリカ・ノースウェスタン大学の研究チームによって発表されました。使用者の胸元からタバコの熱を感知して喫煙習慣を分析する目立ちにくいデバイスが実用化されることで、これまで禁煙に挫折してきた人でも無理なくタバコを減らせるようになると期待されています。
SmokeMon: Unobtrusive Extraction of Smoking Topography Using Wearable Energy-Efficient Thermal: Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies: Vol 6, No 4
https://doi.org/10.1145/3569460
Smart necklace to help you stop smoking: For Journalists – Northwestern University
https://news.northwestern.edu/stories/2023/02/smart-necklace-to-help-you-stop-smoking/
This New ‘Smart Necklace’ Can Help Smokers Quit Cigarettes. Here’s How. : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/this-new-smart-necklace-can-help-smokers-quit-cigarettes-heres-how
Heat-sensing SmokeMon necklace could help smokers quit the habit
https://newatlas.com/health-wellbeing/smokemon-necklace-quit-smokin/
以下の写真に写っているのが、ノースウェスタン大学が発表した発表した禁煙用スマートネックレス「SmokeMon」です。まだプロトタイプなので少し目立つデザインをしていますが、SmokeMonを取り上げた科学系ニュースサイト・ScienceAlertは「将来的にはどんなファッションにもなじむ小型ペンダントになるかもしれません」と期待を寄せています。
by Northwestern University
以下のムービーを再生すると、実際にSmokeMonが機能しているところを見ることができます。
Demo of smart necklace that can help you stop smoking – YouTube
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火が付いたタバコを持っている男性の首には、サーマルカメラやバッテリーを内蔵したSmokeMonの青いケースがぶら下がっています。
男性がタバコをくわえると、モニターに赤い熱源が表示されました。
タバコを口から離すと、熱源も消えます。このように、タバコの火の熱をたよりに装着者がタバコを吸った回数、吸った煙の量、喫煙していた時間などのデータを記録し、禁煙プログラムに役立てるのがSmokeMonの主な目的です。
ノースウェスタン大学の研究者であるNabil Alshurafa氏は「禁煙に挑戦する人の多くは、ついタバコを1本か2本吸ってしまう『スリップ(再喫煙)』を経験しますが、スリップはタバコの常習者に戻ってしまう『リラプス(再発)』とは別です。自分が禁煙に失敗したのではなく、一時的に吸ってしまっただけだということに気づけば、何がスリップの引き金になったのかの反省や、吸いたい衝動への対処に集中できるでしょう」と話しました。
SmokeMonの精度を確認するため、研究チームは19人の参加者にデバイスを装着させ、実験室と実環境の両方で合計115回にわたって喫煙してもらいました。その結果、SmokeMonは喫煙習慣の監視によく使われる既存の測定機である「CReSS pocket」と同等の精度を示し、参加者からのアンケートでも「人前で使っても気にならない」と良好だったとのこと。
CReSS pocketの外観写真が以下。使用するにはデバイスにタバコをセットしてから、反対側から延びるマウスピースから煙を吸い込まなければなりません。
喫煙を記録する手段としては、スマートウォッチで手の動きを測定する方式が考案されていますが、食事などの動作を喫煙と誤認識することが多いという課題がありました。また、ウェアラブルカメラで日常生活を録画する方式だと、プライバシーが問題になってきます。
一方、SmokeMonを使った参加者のほとんどは、日常生活や喫煙行動に支障がなく、自分や周囲の人に不快感を与えたりプライバシーを侵害したりする心配はないと答えました。ある参加者は研究チームに、「友だちがこれは何を記録しているのかと聞いてきましたが、音声や映像を記録するものではないと伝えると納得した様子でした」と話しています。
検証結果は有望なものでしたが、研究チームはまだデータが十分だと言えないことや、寒い環境下で使用した場合のパフォーマンスがまだ分からないことなど、研究にはいくつかの限界があることを論文に記しています。
また、ある喫煙外来の専門家は研究チームに対し、「このリアルタイム測定があれば、その人の喫煙習慣の程度を理解し、それに応じた治療をするのに大変役立ちます」とコメントしました。
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