去る2月3日~6日、キャンピングカーの祭典「ジャパンキャンピングカーショー2023」が幕張メッセで行われた。
フェアやショーはこの後も全国各地で行われるのだが、もっとも規模が大きく、各社がニューモデルを投入する “晴れ舞台” がこのJCCSだ。
NEWSの小山慶一郎さんがキャンピングカーアワードを受賞したり、研ナオコさんが “お忍び” で来訪したりと、今年も話題は豊富。そんな中、筆者が会場で「なんだこれは!?」と思った珍品をご紹介したい。
・クルマでサウナ!?
まずはこちらのクルマ。軽トラにキャビンを載せた、トラックキャンパーの模様。
外観はおしゃれなキッチンカーのようで、窓が大きく開いているのだが、内部に見えるのは……
サウナだー!!!!
なんと、100V電源があればどこでもサウナが楽しめるサウナカーだ。定員は4名。3時間継続使用可能で、外気温20度の場合、約50分で80度まで室温が上がるという。
壁にかけられた時計や温湿度計までサウナ仕様! 4.5KWのサウナヒーターとサウナストーンが設置され、ロウリュ機能付き。
クルマだという事実を頭から追いやれば、日本でも見かけるようになってきた家庭用個室サウナと見まごうばかり。内装はサウナ専用材使用、ビルダー独自の完全断熱加工を施している。
制作したのは「かーいんてりあ高橋」で、キャンピングカー界隈では有名なビルダーだ。
「誕生日に欲しい」という方のため、価格についてもご紹介。もしベースとなるトラックをすでに持っているなら、キャビン本体が税込2,145,000円。ベース車両を含める場合は、選ぶ車両によって価格が異なるが、税込3,162,500円前後だ。
サウナブームもついにここまで来たか。日本全国、好きな場所でサウナが楽しめるとあれば安い?
ただし、汗だくになるまで耐えてから「外気浴じゃぁ!」と裸で車外に出るときは、くれぐれも周囲に注意して欲しい。逮捕されても知らない。
・いつでもどこでも露天風呂
会場内には「プレス&インフルエンサーラウンジ」というコーナーが設けられていた。
YouTuberやインスタグラマーなどインフルエンサーとして活躍するキャンパーのクルマを展示し、タイミングが合えばご本人とも交流できるというエリア。
最近では芸能人がキャンピングカーを購入し、その過程を自ら発信するコンテンツも見かける。プロ・アマ関係なく誰もが発信者になれて、しかもそれが絶大な影響力をもつSNS時代をヒシヒシと感じる。
このコーナーでひときわ目を引いたのが、「ゆ」という暖簾のかかったクルマだ。周囲のポップには「バンコン銭湯」「秘湯の風呂エース」など、聞き慣れない言葉が並ぶ。
※バンコンとは、ハイエースなどのバンをベースにしたキャンピングカーのこと
車両後部、四角く切り抜かれた凹み。まさかここが……!?
天井高を確保するため、車両後部を掘り下げる加工はもともとキャンピングカーのデザインに存在する。
なにを隠そう、筆者のクルマもそう。床としてそのまま人が立ったり、あるいは単に収納として使う人が多かったと思う。ところがここを風呂桶として湯を張る……だと!?
持ち主はさぞかし奇抜な人……と思ったら、こちらYouTubeチャンネル「きらTV」を運営する「きら」さんのクルマだという。ハイエースをDIYする動画が人気を集める。
ちなみに国産のキャンピングカーのほとんどは、湯が出るようにはなっていない。温泉スタンド&薪ストーブで湧かしたり、投げ込みヒーター(工事現場などで、水を張った容器に入れて湯を沸かす電気機器)を使ったりしているそう。
リアゲートを開ければ、たちまちオープンエアの露天風呂!
これ、駐車場所によっては最高かもしれない。深さ的に「半身浴」くらいにしかならないし、冬には寒そうだがロマンがある。足湯にしてもよい。
入浴したら、そのまま車内でゴロリ。旅先で買った食材や地酒なんかを開けたら至福のときだ。ただしこちらも「駐車場所に注意!」だな。
・世紀末キャンプ
『ゆるキャン△』ブームのおかげで、アニメ・漫画といった一見インドアなコンテンツと、アウトドアレジャーのコラボレーションも珍しくなくなった。
可愛いなぁなどと思いながら、キャラクターアウトドアグッズブランド「AOZORAGEAR」のブースを見ていたら……異様なものを見つけた。
「北斗の拳 世紀末キャンプ」のコーナー……! 北斗4兄弟が焚き火を囲んでキャンプをしている。なんだこのシュールな絵は。絶対会話なさそう……。
まぁ、焚き火というのは「無言でも気詰まりにならない魔法の舞台装置」ではある。対面するのではなく、みんなが焚き火の方向を見ることも緊張感が緩和されて社会心理学的にいいぞ。
商品の一部をご紹介しよう。やたらと渋いケンシロウのシェラカップ。ラオウバージョンもある。なにを飲むにも、こちらまで眉間に力が入ってしまいそうだ。
公式サイトでは「もはや次の一口が我らの最後のキャンプ飯となるだろう」「我がキャンプ飯に一片の悔い無し!!」というセリフとともに紹介されていた。
上の商品は「ジャギのツールケース」。キッチンツールをコンパクトに収納&持ち運びできるアイテムだ。「どんな物を使おうが美味ければいい!それがキャンプだ!!」と、のたまっている。そりゃそうだけれども。
ちょっとマニアックな「タガネ岩山両斬波」(岩石や金属などを割る道具で、薪割りにも使える)なんてアイテムもあったぞ。
・ブラブラするだけでも楽しいイベント
筆者はついつい「奇抜なもの」「奇妙なもの」に目を奪われてしまうが、会場全体としては、欧州の定番ベース車両「フィアット・デュカト」の国内取り扱いなどが王道の話題だった。
デュカトは高級車の部類に入るが、実用的なクルマやビギナー向けのスタンダードなクルマ、若い人でも手の届くクルマもたくさん展示されている。会場は見渡す限りキャンピングカーだ。その光景は圧巻のひとこと!
クルマだけでなくアウトドアレジャーに関連する各種コンセプトゾーンや、子ども向けのコーナーもある。来年も(おそらく)開催されるので、少しでも興味のある方は、ふらっと散歩のつもりで遊びに行ってみて欲しい。めちゃくちゃ楽しいぞ。
参考リンク:ジャパンキャンピングカーショー2023、AOZORAGEAR、きらTV
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
©武論尊・原哲夫/コアミックス 1983, 版権許諾証GX-702