Spotify、Apple Music、YouTube Musicには大きな違いがある

GIZMODO

同じ音楽配信サービスとはいっても、知っておきたいことがあります。

Spotifyと、Apple MusicおよびYouTube Music。そんな音楽配信サービスですが、音楽の再生のしかたが根本的に違うのです。これはいずれかをすでにお使いの方でも、お気づきでないかもしれません。

音楽配信サービスもすっかり選択肢が増えました。ぱっと見たところではどれもよく似ています。何千万もの楽曲を配信、モバイル版とデスクトップ版のアプリがあって、オフラインで聴くオプションもある、などなどです。

どこに違いがあるのか一目瞭然とは限りませんが、三大サービスの間にはとりわけ大きな違いがひとつあります。それはサービスの使い方に関わることです(ビットレートの違いについては以前の記事で解説しました)。

Spotifyでの音楽再生方法

Spotify、Apple Music、YouTube Musicの3つは確かに知名度が高く人気もあって、どれも膨大な数の楽曲ライブラリと、便利な機能をいろいろと公開しています。

Spotify上の音楽は、さまざまなデバイスで操作できる
Image: Spotify

Spotifyのプレイリストは、実にさまざまなデバイスで再生できます。スマートフォンやタブレットはもちろん、スマートウォッチ、ノートパソコン、スマートスピーカー、カーステレオなど、あるいはテレビでだって再生できます。

Webアプリとデスクトップアプリもあるので、WindowsでもmacOSでも聴き方の選択肢は多種多様です。Spotifyのほとんどの機能も、各種デバイスで共通して使用できます。

ところが、これだけデバイスの選択肢がある反面、Spotifyで同時に再生できるプレイリストは1つだけです。

1つのプレイリストしか再生できないとどうなる?

Windowsコンピューターであるプレイリストを流すと、Android端末でも同じプレイリストが開きます。テレビ用アプリで一連の楽曲を聴いていると、Webアプリにも同じ楽曲が読み込まれます。そして、一方のデバイスでプレイリストを変えると、どのデバイスでも同じことが起こるのです。

あるデバイス上の再生を、別のデバイスでコントロールできるという側面もあります。それがSpotify Connectの機能です。

Macで再生し始めた曲を、iPhoneで停止・再生できたりします。これがとても重宝する場面は確かにあって、たとえば車で外出することになったときでも、それまでスマートフォンで楽しんでいた楽曲を、カーステレオで聞き続けることができるんです。

でも逆に、これが不便なこともあります。キッチンで設定するプレイリストと、書斎で設定するプレイリストを別々にしたいときです

部屋を移ったとき、数回クリックまたはタップするだけでプレイリストは切り替えられるのですが、移動したとき、プレイリストのどこまで再生したかは記憶されません。2種類のデバイスで同時に2つのプレイリストを使えるほうがずっと便利です。

対応策もなくはありません。一方のデバイスをオフラインモードにして、キャッシュした楽曲を再生すれば、これは同期されないので別のデバイスで別の楽曲を聴くことができます。

ただし、キャッシュで使うほうのデバイスはWebに接続しないままです。ファミリーアカウントを使う手もあって、これなら、一人ひとり別のプロフィールを設定できるので、別々に音楽を楽しめます。

ファミリーではない単独のアカウントを使っている限りは、Spotifyがインストールされているデバイスがすべて同期されるという仕様です。一長一短というところでしょう。

Apple MusicとYouTube Musicでの音楽再生

Image: YouTube Music YouTube Musicでは、タブごとに別々のプレイリストを同時に再生できる

Apple MusicとYouTube Musicも、さまざまなデバイスで使える点はSpotifyと変わりません。Appleは、Android版のApple Musicアプリも公開しています。

スマートスピーカーやテレビの各種プラットフォーム、車のダッシュボードなどさまざまな環境で多くのサポートがあり、どちらもWebブラウザー上でも使えます。Apple Musicの場合は、各種のデスクトップ版も用意されています。

Apple MusicとYouTube MusicがSpotifyと違う決定的な点は、デバイスごとに独立して音楽を再生できることです。

たとえば、Macであるアルバムの再生を設定し、iPhoneで別のアルバムを設定したりできます。YouTube Musicでは、複数のブラウザータブを同時に開いておいて、それぞれ別の曲を再生することまで可能です。

独立して音楽再生ができると便利なところ

独立して音楽を再生できる機能は、違うジャンルの音楽を次々と切り替えたい人にはとても便利です。

仕事中に、アップビートなポップスと壮大なインストゥルメンタルを切り替えたければ、両方を別々のブラウザータブで開いておくことができます。再生位置はタブごとに記憶されるので、最初からかけ直す必要もありません。

あまりうれしくないのは、部屋を移動したり、デバイスを変えたりするときです。アプリ間で再生が自動的に同期されないのはSpotifyと同じです。

同じ音楽をデバイス間でぱっと切り替えることは、AirPlayChromecastのしくみを使って可能ですが、スマートフォンでアプリを開くと、ノートパソコンで聴いていたアプリはすぐに停止します。

このように、音楽配信を管理する方法がまったく違うのですが、それぞれに長所がありますし、皆さんそれぞれ好みもあるでしょう。でも、配信サービスを比較するときにはあまり話題にならない点であり、皆さんが思っている以上に大きな違いがあるということです。