ミスを繰り返したロボットが人間の信頼を取り戻すことができる回数には限りがあるとの研究結果

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仏の顔も三度」という言葉があるように、どんなに温厚な人でも失敗を繰り返す人物に対しては信頼感が失われるとされています。ミシガン大学のコナー・エスターウッド氏らの研究チームは、ミスを繰り返したロボットは人間の信頼を取り戻すことが難しいという研究結果を報告しました。

Three Strikes and you are out!: The impacts of multiple human–robot trust violations and repairs on robot trustworthiness – ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.chb.2023.107658

How robots can regain the trust of humans after making mistakes
https://techxplore.com/news/2023-02-robots-regain-humans.html

エスターウッド氏らの研究では、240人の実験参加者がバーチャル空間の中でロボットと共同で作業を行うことが求められ、それぞれ2つのディスプレイと3つのボタンが置かれたテーブルの後ろに配置されました。ディスプレイにはロボットと参加者のチームの現在のスコアや箱の処理速度、ロボットが提示する箱を評価するためのシリアルナンバーが表示されたとのこと。


各チームの得点は、正しい箱がベルトコンベアーに置かれるたびに1点増え、誤った箱を置くと1点減りました。ロボットが間違った箱を選んでしまい、参加者が間違いであることを指摘した場合、ディスプレイ上にその箱が不正解であることが示されますが、得点の増減はありません。


研究チームはロボットの行動による信頼喪失の悪影響を修復・緩和を検証するために、実験ではロボットが時折ミスを犯して参加者の信頼を失うようにプログラミングされ、ミスを犯した後にはロボットが謝罪や否定、説明、再発防止の約束といった4つの信頼を修復する行動の中から1つが参加者に対して行われました。

実験の結果、ロボットによる3回目のミスの後では、どの信頼を修復する行動も参加者の信頼感やロボットに対する誠実性を完全に修復することはできませんでした。

また、ロボットによる謝罪や説明、再発防止の約束は一定の効果を示した一方で、否定は一貫して信頼の修復に効果がありませんでした。

エスターウッド氏は「ロボットがこうしたミスを犯した後に信頼をよりよく修復できるよう、ロボットの研究者はより効果的な信頼を修復する方法を開発する必要があります」と述べています。また「ロボットは信頼修復の前に、基本的なタスクを事前に習得している必要があります。習得していない場合、ロボットは人間の信頼を回復できない可能性があります」と述べました。

また、エスターウッド氏は「信頼を完全に修復できる回数にも限度があります」と話して、今回の研究結果はロボットと人間だけでなく人間同士でも当てはまると指摘しました。

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