改憲は成功体験の共有から始めよ – 石破茂

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 石破 茂 です。

 自民党の「憲法改正推進本部」が「憲法改正実現本部」に改組となり、21日火曜日に総裁以下の党幹部が全員出席して初会合が開催されました。

 党内では極めて少数意見なのかもしれませんが、私は憲法改正の発議に必要な衆参両院のそれぞれ三分の二、出来ればそれ以上の、多くの政党が賛成できる条文から改正論議の俎上に乗せるべきだと考えています。

 自民党が野党の時に侃々諤々の大議論を行ってまとめ上げて党議決定し、政権奪還選挙の時に掲げた「平成24年改正草案」は、「4項目のイメージ案」にとって代わられてしまい、「イメージ案で上書きされた」ことにより過去のものとされつつあるようですが(もっとも、党議決定を経たのか、24年草案を上書きしたとするとその他の項目はどういう扱いなのか、などは正式には決められていないと認識しています)、24年草案の改正項目の中に野党も賛成できると思われるものがいくつも含まれています。

 例えば、現行憲法第53条は「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定めます。

しかし期限が定められていないために、要求があっても内閣は「近いうちに」などと言って召集を決定しないままに引き延ばし、やっと招集したらほとんど審議もしないままに衆議院を解散してしまうなどということが過去何度かあったと記憶しますが、これは憲法の趣旨を没却したものに他なりません。

これにつき、自民党の憲法改正草案は「要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」と定めています。当時、自民党内には少数会派による乱用を懸念する意見もありましたが、少数の権利を尊重することもまた民主主義に必要ではないかとの意見が多く、このように決まりました。本当に自由闊達な議論がそこにはありました。

 そもそも第53条で「四分の一以上の要求」としたことに確たる根拠があるわけではありませんので、これを例えば「三分の一」など、ハードルを上げるべきだとの議論も当然ありうるでしょうが、議会制民主主義はどうしても行政府が立法府に対して優位となりがちですので、立法府の行政府に対する監視権能を高めるためにも与野党の一致点を見出すことが必要でしょう。

]  「お試し改憲」という言葉は安っぽくてあまり好きではありませんが、憲法改正は本当に出来るのだという成功体験を国民が共有することから始めるべきだと私は強く思います。

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