1. CES 2023:注目はソニーホンダのEVプロトタイプ
米国ラスベガスで「CES 2023」が開催された。ウィズコロナのなか、ようやく通常の運営形態に戻り、会場での展示も本格化した(PC Watch)。
主催団体Consumer Technology Association(全米民生技術協会)のサーチ担当副社長を務めるSteve Koenig氏は「エンタープライズ・テクノロジーは、イノベーションを推進し、不況から脱却するのに役立つだろう。パンデミック後の世界で不足する熟練労働者などに対処するために、ロボティクス、AI、メタバースに目を向けることになるだろう」と今後の動向を見込んでいる(The Bridge)。
そのようななか、注目はソニーホンダのEV(電気自動車)である「AFEELA」だろう(CNET Japan)。「人とモビリティの新たな関係を創るというSHMのビジョンを表現したプロトタイプも初披露。発表したプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半から量産車の先行受注を開始し、同年中に発売するという。2026年春、北米から出荷を開始する予定」としている。象徴的なのは「AFEELAのフロント部分に設置されたMedia Barにはさまざまな情報を表示し、クルマが意思を持った形で周囲の人に対して表現を行うことになる。Media Barは、パートナーやクリエイターのコミュニティなどともに活用方法を検討していくという。また、ソニーが持つセキュリティ技術と、ホンダが持つ安全技術を組み合わせ、さらに車内外の45個のカメラおよびセンサーで、安心安全を実現している」というところか(CNET Japan)。
また、ソニーは誰でも宇宙を撮影できる衛星「EYE」の打ち上げ成功も発表した。「専用のシミュレータを通じて、地上から遠隔操作することが可能で、宇宙空間から撮影された静止画や動画を取得可能。EYEによる撮影体験は、一般向けサービスとして2023年春頃に展開を予定」という計画だ。
それ以外のテーマでは、裸眼3D対応有機ELディスプレイ搭載PC、ヘッドセットなどの表示デバイスについて、IT系メディアが取り上げている。新たなコンテンツ表示装置としての進化を遂げようとしていることを感じる。
ニュースソース
- 通常に戻ったCES 2023。世界各地から3,200社を集めて開催[PC Watch]
- CES 2023: 主催責任者Steve Koenig氏が語った、今年の注目テックトレンド[The Bridge]
- ソニー、CESでEVのプロトタイプ発表–吉田CEO「限界に挑戦し続け、感動を創り出す」[CNET Japan]
- ソニーホンダ、新ブランド「AFEELA」発表–車両前方に「Media Bar」[CNET Japan]
- NVIDIAとFoxconnが提携を発表、自動運転の車両プラットフォームの開発へ[ケータイWatch]
- ソニー、誰でも宇宙を撮影できる衛星「EYE」打上げ成功[Impress Watch]
- ASUS、裸眼3D対応有機EL採用の16型3.2Kクリエイターノート[PC Watch]
- GPUや重力センサー搭載の13.3型電子ペーパー[PC Watch]
- レノボ、2画面ノートPC「Yoga Book 9i」「ThinkBook Plus Twist」を発表[CNET Japan]
- 表はOLED、裏はカラーE Ink。ツイストデザインの「ThinkBook Plus Twist」[PC Watch]
- CES 2023に登場した興味深いロボットたち[ZDnet Japan]
- HTC、さまざまな用途に利用できる超軽量ヘッドセット「VIVE XR Elite」を発表[CNET Japan]
- シャープがスマートフォン接続型VR用ヘッドマウントディスプレイのプロトタイプを開発、「CES 2023」に出展[ケータイWatch]
- TCLが「量子ドット」新型テレビ CESで発表、輝度2倍に[日本経済新聞]
- サムスン、「CES 2023」で折りたたみとスライドを組み合わせたディスプレイ[ケータイWatch]
- ThinkPadスマホ「ThinkPhone」発表、「ThinkPad」と高度に連携[ケータイWatch]
- サムスン、CES 2023で「Matter」規格準拠のスマートホームハブ「SmartThings Station」を発表[ケータイWatch]
- 自宅のトイレに設置するだけで自動で尿検査できるセンサー「U-Scan」[CNET Japan]
2. 「ChatGPT」は検索の常識を変えるのか
AIチャットボット「ChatGPT」に関する話題が増加している。
ChatGPTを開発した人工知能企業OpenAIは、同社の企業価値を290億ドル(約3.9兆円)と評価する株式売買の交渉をしていることがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によって報じられている(Forbes JAPAN)。ロイターは「オープンAIの2022年の収益はわずか8000万ドル程度であり、290億ドルという評価額は、同社の将来の能力を非常に強気に評価したもの」と指摘し、「オープンAIは、投資家に対し、2024年までに年間売上高を10億ドルに引き上げる」とも伝えている。
そのようななか、マイクロソフトはOpenAIに約1.3兆円の出資を検討しているのではないかと報じられている(CNET Japan)。
一方、「ニューヨーク市教育局は、管轄する学校組織のオンライン端末およびインターネットネットワークにおける『ChatGPT』へのアクセスを禁止した」と現地メディアが報じている(CNET Japan)。「疑問に対する回答を迅速かつ簡単に得ることができるかもしれないが、学問や人生で成功を収めるために不可欠となる、クリティカルシンキングや問題解決のスキル育成にはつながらない」というのがその理由だ。
また、「『ChatGPT』の派生サービス(Variant of ChatGPT)を『Visual Studio Code』などのIDEに統合し、開発中のコードについて『この関数のテストコードはどこ?』などと対話できる『qqbot』が登場しました」という記事も興味深い(ITmedia)。
セキュリティ上の懸念としては「不正なコードの生成に利用しようとする動きが既に確認されてもいる」とCheck Pointが調査の結果を公表した(ZDnet Japan)。
想定内のこととはいえ、健全な技術の発展はいつも難しい問題が含まれる。
ニュースソース
- ChatGPTの「オープンAI」が評価額290億ドルで株式公開買い付け[Forbes JAPAN]
- マイクロソフト、「ChatGPT」のOpenAIに約1.3兆円の出資を検討か[CNET Japan]
- 「ChatGPT」、マルウェア作成に悪用される–Check Point調査[ZDnet Japan]
- IDEにChatGPTを統合 「この関数のテストコードはどこ?」「○○を実装するならどう書けばいい?」など、AIでコードと対話できる「qqbot」登場[ITmedia]
- ニューヨーク市、学校での「ChatGPT」利用を禁止[CNET Japan]
3. 「Twitter Blue」日本でも開始。だが、ツッコミも…
イーロン・マスク氏がオーナーになって以降、混乱が続くツイッター社だが、日本でも「Twitter Blue」が開始された(CNET Japan)。月額980円(iOSアプリから申し込んだ場合は月額1380円)のサブスクリプション。得られる特典としては「アカウント名に青いチェックマークを追加できるようになる。また、ツイートの内容を投稿後に書き換えたり、最大で長さ60分、ファイルサイズ2GBまでの動画をウェブからアップロードできるようになる」ということ。ただ、有料なのに「広告表示数が“半分”になる仕様」だということに対して、ユーザーからはツッコミの声が相次いでいると報じられている(ITmedia)。Twitterからの個人情報漏えい疑惑や、機能改変が続くなかでこのサブスクリプションプランが受け入れられるかどうかは、ユーザーがTwitterにどれだけ意欲を維持し続けられるかという心理変化とも関係がありそう。
ニュースソース
- 「Twitter Blue」日本でも始動–月980円でツイート編集や青バッジなど提供[CNET Japan]
- Twitter Blueが来た! どんな機能がある? 登録して試してみた[ITmedia]
- 「課金しても広告半分」 Twitter Blueにツッコミ相次ぐ 月額980円で完全非表示にはできず[ITmedia]
4. 「YouTubeショート」での広告による収益化がスタート
YouTubeは、2月1日からショート動画「YouTubeショート」のクリエイターが広告収益の分配を受けられるようになると発表した(ITmedia)。
「YouTubeショートは、2020年9月に提供が始まったTikTokのような最長60秒のショート動画」で、今後はショート動画の合間に広告が挿入されることになる。すでに多くのユーチューバーもショート動画を扱っていて、動画本体への導入はもとより、「タイパ」重視のコンテンツも多く作成されている。今後、さらにショート動画は活況となり、コンテンツフォーマットとして定着するだろう。
ニュースソース
- YouTubeショート、広告による収益化が2月1日にスタート[ITmedia]
5. AIナレーションによるオーディオブック登場
米国アップル社は電子書籍アプリの「Apple Books」で、AIナレーションによるオーディオブックを開始した(CNET Japan)。米国ではオーディオブックの成長が著しく、AAP(米国出版社協会)による2022年9月の調査では一般書分野において8.2%のシェアを占めるに至っている。なお、テキスト型電子書籍は9.4%と両者は同じような規模になっている。
そのようななか、オーディオブックを作成するにはナレーターなどによる読み上げを行わなければならず、時間的・経済的なコストがかかっていた。テキストから自動的に音声が生成できるならそうしたコストを大幅に軽減できることから、「小規模または独立系の出版社が電子書籍をオーディオ形式に変換するための、より安価で利用しやすい選択肢」と位置付けている。
日本でもAIナレーションの技術、そしてクオリティは上がってきているので、今後、導入される可能性がある。
ニュースソース
- 「Apple Books」、AIナレーションによるオーディオブックの配信を開始[CNET Japan]