梅干し製造問屋・梅樹園(和歌山県日高郡)のツイッター担当者が業界の窮状を説明し、大きな注目を集めている。梅農家が作った梅干しは行き場のない状態にあり、このままでは多くの梅干し屋が廃業する可能性があるという。
一体どういうことか。J-CASTニュース編集部は2023年1月11日、梅樹園の代表取締役・生田富哉さんに取材した。
ピーク時から約4割減…低迷する梅干し消費
梅樹園は1911年、梅づくりが盛んな和歌山県のみなべ・田辺地域で創業した。同社のツイッター担当者は23年1月10日、梅干し業界の置かれた状況を次のように発信した。
「令和元年から令和3年の梅干しの年間消費量は、1世帯当たり約663gです。多くの方が663gと聞いてもピンとこないと思うので、もう少し分かりやすく説明すると、弊社の梅干し倉庫はパンクしており、梅農家さんが作った梅干しの多くは行き場のない状態です。またこの状態が続くようであれば、弊社も含め多くの梅干し屋さんが廃業することになります」
この投稿は約877万回表示され、約2万3000件のリツイート、約5万5000件の「いいね」が寄せられる大きな反響があった。
取材に対し梅樹園の生田さんは、今すぐに倒産する可能性があるわけではないと前置きしたうえで、余剰な梅が発生した理由について次のように説明する。
総務省の家計調査を参照すると、1世帯当たりの梅干しの年間購入数量(二人以上の世帯)は約20年前をピークに減少傾向にある。02年には1053グラムだったが、21年には658グラムに激減した。生田さんは、若年層の梅干し離れ、人々の白米離れ、物価上昇による買い控えなどを理由に挙げる。さらに2年前からの凶作も尾を引いている。