インプレスに入社し、PC Watchの編集部で働くことになった2022年。リモートワークがメインでありつつも定期的に出社する機会はあり、2021年以前のフルリモートもとい引きこもり状態に比べれば、外出することが多くなった。
カメラ、特にフィルムカメラを趣味とする筆者にとって、外出の増加は撮影の機会を増やした。都心のオフィスまでの通勤路は被写体に困らず、道中で銀塩フィルムの購入も可能で、まさに無限にシャッターが切れてしまう環境。出社が始まった当初は見境なく撮影していたのだが、撮影数の増加に加えて銀塩フィルムの価格高騰により、夏が始まる前にはランニングコストが生活に支障を及ぼすレベルまで大きくなってしまった。
今後もフィルムの価格は上がり、かつ入手も困難になってくることを考えると今までのような撮影は困難となるということで、今年は普段のカメラ撮影の「デジタル化」を図った。結果、ある程度フィルムカメラを使っている気分を味わえる構成となったので紹介する。
リコー「GR III」
まずはフィルムカメラの代わりになるカメラとして、リコーの「GR III」を購入。本機は「最強のスナップシューター」などと称されるAPS-Cのコンパクトデジタルカメラ。このカメラの良いところは実にたくさんあるのだが、筆者が特に良いと感じるのは高機動力と単焦点の2点だ。
まず、高機動力についてだが、本機は電源ボタンを押してからの起動時間が約0.8秒という高速起動を実現しており、また「フルプレススナップ」といった速写機能も備えているため、撮りたいと思ってから撮影が終わるまでほぼ時間がかからない。筆者の主なカメラの使用用途は、通勤中のストリートスナップだ。あくまで通勤のついでなため、撮影のために立ち止まるということは退勤時でない限り許されない。そうした使い方において、この高機動力は非常に相性が良い。
次に単焦点だが、これは筆者が主に単焦点のコンパクトフィルムカメラ「OLYMPUS 35 DC」を使っていたからということもあるのだが、カメラで構図を決める際にズーム機能がないため自分自身が移動したりするときにフィルムカメラっぽさを感じて気持ちが良いのである。単焦点レンズの良さはほかにもあるのだが、筆者的には単焦点の良さはそこである。
購入してから今に至るまで、外出時に財布は忘れてもこのカメラだけは常に持ち歩いていた。そのくらいにはこのカメラに魅せられている。2022年に買って最も良かったものを挙げるなら間違いなくこの製品だろう。
富士フイルム「instax mini Link 2」
GR III導入から少し経ち、まだフィルムカメラ気分が足りないと感じた筆者は、足りない原因は撮影後に現像していないことや撮影済みフィルムのような物理的な排出物がないからだと思い、考えた結果、富士フイルムのスマートフォン用チェキプリンタ「instax mini Link 2」を購入した。
本製品はスマートフォン内(または富士フイルムの対応カメラ内)の画像をチェキとしてプリントできるプリンタ。カメラ一体型のチェキとは違いプリントする写真を選ぶことができるほか、専用アプリでプリント前に画像のトリミングや加工も可能なため、チェキフィルムを無駄に消費せず好みのチェキを生成できる。
本製品により、GR IIIで撮影したお気に入りの画像をチェキという物理的な写真にすぐ現像できるようになり、毎月多いときで数万円かかっていたフィルムおよび現像代などのランニングコストを数百円程度まで下げることに成功した。GR IIIが最も買って良かったものであるなら、instax mini Link 2は2022年で最も家計を救った製品だろう。
とはいえ、フィルムカメラはやめられない
筆者の普段のカメラ撮影スタイルはGR IIIとinstax mini Link 2により大きく変わった。とはいえ、フィルムカメラをまったく撮らなくなったわけではなく、休日の散歩ではフィルムカメラをよく持ち歩いている。その理由は、どうしてもフィルムカメラでしか撮れない写真があるということを「デジタル化」を通して実感したからだ。「フィルムカメラ欲求」のようなものはある程度満たせど、そうした1枚を求めてしまう筆者は、今後も財布と相談しつつフィルムカメラを併用していく運命にあるのだろう。
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