【山田祥平のRe:config.sys】スマホとPCがピアー・ツー・ピアで連携

PC Watch

 スマホとPCは競合ではなく、協調の関係にある。どちらも、もう片方の使い勝手を高め、その役立ち度を支援する。そして、そこには両者を束ねる存在がある。それがクラウドだ……というのはどうにも勘違いらしい。

連携してできることいろいろ

 PC Watchの若杉編集長が、Windowsの「スマートフォン連携」を重宝していると聞いて、手元の環境にも試しに入れてみた。

 過去に経験していた当初のバージョンからは、ずいぶん進化していて、Galaxy以外のAndroidスマートフォンでも、かなり役に立つようになっているのは知っていたが、実際には試してみることなく、なんとなく放置していた。

 Galaxyではスマホの画面をPCに表示して、直接スマホを操作することができるが、ほかのAndroid機ではそれができないので、なんだかなあと思っていたからだ。

 名前がころころ変わってきたこの機能だが、Windows 11では今のところ「スマートフォン連携」というアプリ名に落ち着いている。PCでこのアプリを起動すると、Androidスマホに「Windowsにリンク」アプリを入れるように案内される。PCとスマホ両方のアプリを起動し、Windowsの画面でQRコードを表示させ、スマホでそのQRコードを読み取ると、両者がペアリングされる。

 以降は、

  1. スマホの各種通知のPC側での表示
  2. スマホ内の写真のPC側での表示とコピー
  3. PC側のマイクとスピーカーを使ったスマホ通話の発着信
  4. 過去にスマホで受け取ったメッセージへの返信を含むPCを使ったSMS(MMS)のやり取り
  5. スマホで再生中の音楽のPC側での表示と再生コントロール

といったことができるようになる。

PCの中の仮想スマホ

 ちなみに、Intelは同種のツールとして「Unison」を発表済みで、2023年にはEvoプラットフォーム準拠のPCに提供していくとされている。

 Windows純正の「スマートフォン連携」と違う大きなところは、iPhoneにも対応することだという。

 いずれにしても、これらの環境を使うことで、帰宅してもスマホはポケットの中やバッグの中に入れっぱなしでもよくなる。もちろん充電は必要だ。

 ただし、有効に活かすためには、常にPCでこのアプリを常駐させておく必要がある。つまり、PCは稼働中でなければならない。PCでの作業中にスマホというデバイスを手に取る必要をなくすための環境ということだ。いわばPCの中に出現する仮想スマホだ。

 ぼく自身の個人的な習慣としては、外出先から戻ったら、スマホはデスクの上に置く。次に出かけるまでほぼそのままだ。

 外出中、スマホは着信しても音を出さず、振動もしないように設定しているが、自宅に戻ったら音を出す。Pixelの「ルール」と呼ばれる機能を利用し、Wi-Fiネットワークや位置情報に応じて、デバイスの着信音やサイレントモードなどを設定することができるので、それを使っている。この機能を利用し、基本的には着信音が鳴らないようにしてあるが、自宅に戻ったときだけ着信音が鳴るようにする。

 通知については日常的に腕につけているスマートウォッチで気づく。メッセンジャー系のアプリではその内容も分かるし、簡単な返事もできる。

 ただ、まともな返事が必要な場合は、たいていPCに向かう。まともなキーボードが使えるなら、そちらを使った方がコミュニケーションの効率が高まるからだ。

 スマートウォッチは通話の着信も振動して知らせてくれるのだが、決して広くはない自宅なのに、トイレにでもこもろうものなら、仕事場に置いたスマホと時計の接続が切断されてしまい、着信に気がつくことができない。だからとりあえず音が鳴るようにしてあるわけだ。それこそ、接続が切れている間に届いたメッセージなどは読むのがずっと先になってしまう可能性もある。

 写真についてはAmazon PhotosやGoogleフォトなどに撮影済み写真が同期されるようにしてあるので、どのデバイスを使っていても最新のものを参照できる。だからスマホ内の写真を直接のぞけたところで特にうれしくない。

 また、スマホで再生できる音楽は、ほぼすべてパソコンでも再生できる。スマホからスマートスピーカーなどへのキャストも簡単だ。それに今は楽しむ音楽のほとんどがサブスクリプションサービスのもので、デバイスに依存せずに楽しめる。

 こうして考えると、ちょっと便利だと思うのは、通話の発着信とSMSのやり取りがPCでできることくらいだろうか。ただ、通話については、一人暮らしでもない限り、ハンドセットとしての平板スマホがあったほうがいいと思う場面も多い。

 それにこのアプリではマイクとスピーカーを独立して設定することができない。通信の既定値にしたデバイスも使われない。実に中途半端で不便だ。

 SMSについてはメッセンジャー系アプリと同様、まともなキーボードを使ってやり取りできたほうがいいのだが、何しろやり取りに、それなりに高額なカネがかかるというのがネックで、そもそもあまり使うことがない。まして、連続してSMSでチャットするようなことはありえない。

 ……といった状況なので、このアプリがそれほど便利だとは思えないのだ。PCを24時間365日ずっと稼働させている環境でもそう思うのだから、世の中の多くのPCが使うときだけ稼働させられている一般的な状況を考えると、このアプリの役割をなかなか思い浮かべることができない。

当面続くクラウド不要時代

 それでもデバイス間で情報をやり取りするときに、クラウドを介在するというのは、ものすごく敬遠されるものらしい。日常的にクラウドを使っていると、これほど便利なものはないと思う。

 複数のデバイスから利用するのが難しいLINEのようなクラウドアプリを行政がパブリックユーティリティとして使うなど、トラブルや機器故障、乗り換え時の利便性を考えれば言語道断だと思うし、滅びてしまえとまで思うのだが、一般の目線ではそうでもないようだ。

 だから、スマホで撮影した写真を簡単な方法でPCに取り込みたいというのは永遠のテーマであって、多くのエンドユーザーに切望されている機能ということらしい。だからこそ、MicrosoftやIntelがこうしたアプリに注力する。そうしなければ、PCはもう必要ないという流れになっていくことを危機感、強迫観念を持って怖れているのだろう。当面、そういう時代は続く。たぶんあと四半世紀くらいは……。

 個人的に学生時代から身近にあった盛り場としての渋谷や新宿は今、絶賛工事中で、その完成を心待ちにしているのだが、一通りの再開発完了にこぎつけるのはずいぶん先の話のようだ。

 渋谷は渋谷スクランブルスクエアの中央棟と西棟が開業予定の2027年頃にひとまず落ち着く。これはまだ現実的な未来だが、新宿にいたっては新宿駅直近地区土地区画整理事業の事業終了が2047年とされている。

 ただ、解体が始まっている小田急百貨店の跡に建設される超高層複合ビルは2029年完成の予定だ。隣接する京王百貨店の立て替えも発表され、JR東日本の本社ビル隣接の街区なども2028年開業が見込まれている。

 ほぼほぼ2030年頃には、いろいろと落ち着きそうだが、最終完成の2047年というのは本当に気が遠くなりそうな未来だ。来春18歳で東京に出てきた新大学生が43歳になるというのが25年という歳月だ。その時期を工事中のままで過ごすことになる。50年先、彼らにとって渋谷や新宿は青春を過ごした思い出の街として成立するのだろうかと、ちょっと心配にもなる。

 そんなわけで2022年が終わる。今年もご愛読いただきありがとうございました。2023年もよろしくお願いします。さて、次は、どんなおもしろいことがパソコンシーンに起こるのだろうか。いや、何を起こそうか。

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