従来の3D印刷による金属構造は最小約100ミクロンで構成されていましたが、カリフォルニア工科大学のマックス・サッコーネ氏らの研究チームが金属構造を約40ミクロンで作成する新たな金属成型技術を発表しました。
Additive manufacturing of micro-architected metals via hydrogel infusion | Nature
https://doi.org/10.1038/s41586-022-05433-2
New Process Allows 3-D Printing of Microscale Metallic Parts | www.caltech.edu
https://www.caltech.edu/about/news/new-process-allows-3-d-printing-of-microscale-metallic-parts
積層造形ともよばれる金属の3D印刷は、従来の鋳造やインクジェット成型などの金属成型方法では製造できない構造を作成でき、2枚の紙の厚さに相当する最小約100ミクロンのスケールで構造を生成できます。
しかし、3D金属印刷のプロセスでは金属の熱伝導率の高さから、印刷の可能なスケールが低下するとされています。
そこで、カリフォルニア工科大学のマックス・サッコーネ氏らの研究チームは、金属を直接3Dプリントする従来の方式と異なり、ハイドロゲルを3Dプリントし、ハイドロゲルを足場として利用する「ハイドロゲル注入積層造形プロセス(HIAM)」を開発し、2022年10月20日に発表しました。
水に溶けない性質を持つハイドロゲルはソフトコンタクトレンズなどに用いられ、低出力の紫外線を照射すると化学反応により硬化する特性を持ちます。このプロセスを繰り返すことで目的の微細な形状を形成することができます。
次に、ハイドロゲルに水に溶解した金属塩を注入し、金属イオンをハイドロゲルに浸透させます。その後、ハイドロゲルを焼却することで、構造全体が収縮し、金属の構造がより小さくなります。研究チームは、人間の髪の毛の幅の半分未満である約40ミクロンのスケールで金属を3Dプリントすることができると報告しています。
また、HIAMではプロセスのわずかな調整でさまざまな金属を処理することができるとされ、研究チームは開発中に銅やニッケル、銀などのさまざまな金属合金から作られた3Dプリントの構造を作成しています。
HIAMでの金属の成型は、車産業や航空宇宙産業、生物医学デバイスに寄与する可能性があるとされており、カリフォルニア工科大学のジュリア・グリア氏は、「前例のない精度で、従来の方法よりもはるかに環境に優しい方法で金属材料を作成することができます」と述べています。
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