カタールW杯での日本の快進撃を受け、サッカーにこれまでなじみのなかった「にわかファン」が急増している。
しかし、次の代表戦はしばらくない。代表DF長友佑都は敗戦の弁で「日本サッカーの発展のためにも、Jリーグをもっと盛り上げていかないといけない」と課題を語り、日本国民にJリーグの応援を要望した。問題意識を共有するサポーターの間では、熱が冷めないうちとばかりに勧誘活動が広がっている。
元日本代表「にわかファンも大事」
格上のドイツ、スペインを破るも、あと一歩でベスト8入りを逃した日本。クロアチア戦を中継したインターネットテレビ「ABEMA」の視聴数は、深夜にもかかわらず2000万を叩き出した。
盛り上がりを受け、「にわかサッカーファン」も増えたとみられる。国際政治学者の三浦瑠麗さんは6日にツイッターで「(社内で)みんなサッカーの話しかしてない。日本中に熱烈な『にわかファン』を作ったってすごいことだよね」と森保ジャパンの功績をたたえた。
過去のスポーツの国際試合でも、にわかファンは注目された。19年ラグビーW杯ではラグビーが社会現象となり、「にわかファン」が流行語になった。閉幕から約2か月後の国内トップリーグ第2節は、観客数が3万7000人と過去最高を記録した。
元日本代表の城彰二氏はW杯直前の22年9月、自身のユーチューブチャンネルで、昔よりもコアなサッカーファンが増えた一方、サッカー界の華やかさがなくなりライト層が極端に減ったと指摘した。「にわかファンも大事」と、元日本代表MF・本田圭佑氏のようなスター選手を輩出するなどして新規開拓する重要性を訴えていた。
J1川崎フロンターレなどで活躍した鄭大世氏は7月、「生半可な気持ちで豊スタ(豊田スタジアム)に来るのはやめてもらいたい」などとするネットの書き込みに反応し、「経営的観点からはライト層がチケット収入を支えてくれてます。熱狂的なコア層がライト層を攻撃するのはエンタメ共通の悩み。娯楽が溢れてる中、サッカーに興味を持って現場に足を運んでくれる事に感謝。サッカーを愛する者同士手を取り合いたいですね」とツイートした。
代表DFの長友はクロアチア戦後、「日本サッカーは確実に成長していると感じています。Jリーグでプレーしている選手たちもいますし、ここにいる選手はJリーグで育って、海外でプレーしている選手たちです」と代表メンバーを紹介し、「日本サッカーの発展のためにも、Jリーグをもっと盛り上げていかないといけない」と危機感を口にした。
そのためにもファン人口の拡大は不可欠で、「皆さんのお住まいの地域にJリーグのチームがあると思う。選手たちは勝利のために、1プレーのために努力しているのでぜひ応援してもらいたい」と呼びかけた。