8日の13時過ぎに、12月の満月の瞬間がやってくる。ということで、前日の7日の深夜~未明と8日の深夜の両方で、ほぼ満月の状態である月を観測することができるだろう。
また、8日は火星が “衝” と呼ばれる状態になり、満月のそばで輝く予定。満月と火星の両方を観測する絶好のチャンスだ!
・コールドムーン
ネイティブアメリカンによる12月の満月の呼称は「コールドムーン」。北米最古級の暦系メディアThe Old Farmer’s Almanacによると、この呼称はモホーク族によるものだそう。
ネイティブアメリカンたちは、それぞれの時期に合わせた名前を満月につけることで、季節を把握するためのカレンダー代わりとしていた。コールドムーンはその名前の通り、冬の厳しい寒さを表現したものだそう。
その他の呼び方としては、チェロキー族などによるスノームーンというわかりやすいもののほか、クリー族によるExploding Trees Moon(樹木爆発ムーン)なる、なんだかスゴそうなものも。
これは寒くなると木が爆発することに由来している。どういうことかというと、寒くなると樹木内部の水分は凍り、体積が増す。それによって樹木が裂けるのだが、その際に激しい爆発音がするのだ。
日本語でも凍裂という言葉があり、北海道などで観測することができる。コールドやスノーな気分じゃない方は、エクスプローディングをどうぞ。
・火星
8日の夜から9日の未明にかけては、満月の右手あたりに輝く赤い星も目を引くことだろう。これが、ちょうど衝を迎えた火星。
衝とは、観測ポイントから見て、対象となる星が太陽の正反対にあることを言う。我々の観測ポイントは基本的に地球なので、要は “太陽 – 地球 – 火星” の並びで一直線になっているということ。
おおいぬ座のシリウスやオリオン座のベテルギウスなど、冬の夜空の定番の1等星たちよりも眩しく光るはずだ。天体望遠鏡などで火星表面の模様を観測したり、撮影するいい機会となるだろう。
望遠鏡を用いて火星を観測する場合は、空気の揺らぎが厄介となる。望遠鏡がブレてんのか? と思うくらいユラユラと揺れて見えることもあると思う。揺らぎが収まる瞬間を待って、根気よく眺め続けるのが重要だ。
・天気は
最後は各地の天気を見てみよう。気象庁によると、沖縄を除く東北より南の太平洋側はおおむね晴れるもよう。晴れのち曇りとなっている場所が多いのが少し気になるが、満月と火星なら多少の雲は問題ないはず。
広い範囲で観測チャンスに恵まれそうだ。ただし、天気を問わず夜中の冷え込みは厳しくなりそうなので、防寒対策は万全に。望遠鏡を持ち出す方は、手袋も準備した方が良いだろう。ギンギンに冷えた鏡筒や三脚に直接触れるのはつらいと思うので。
参考リンク:国立天文台、気象庁、The Old Farmer’s Almanac
執筆&Photo:江川資具
ScreenShot:気象庁