国立大学法人東京大学大学院工学系研究科と山梨県富士山科学研究所は11月25日、富士山において災害対策・減災活用を想定したローカル5Gシステムと衛星インターネットアクセスサービスを接続する技術実証に成功したと発表した。
富士山は国内外から多くの観光客や登山者が訪れる一方、活火山であるため、噴火やそれに伴う落石などから被害を軽減し、安心、安全な観光を構築することが急務となっているという。
富士山5合目において、株式会社FLARE SYSTEMSが提供するローカル5Gシステムを活用し、ローカル5Gに接続した端末(スマートフォンやモバイルルーターなど)から衛星インターネットアクセスサービスを介してインターネット通信を行うことで、災害時における情報収集や、通信インフラを活用したコミュニケーションを可能にする技術実証を行い、これに成功した。
さらに、災害時に通信が必要な場所に展開できるよう、システム全体を自動車などのモビリティに独立して整備できることを確認した。
以上により、スマートフォンなどのローカル5G対応端末が、山岳・海洋など人口過疎地を含めた全国どこでも、災害時などにおいても通信可能な「ライフライン」を自治体・大学・地場産業など一般事業者が構築できる可能性を示したとしている。
今回の技術実証は、2021年6月3日に締結された東京大学大学院工学系研究科と山梨県の富士山の火山防災対策に関わる連携協定、およびNGCI(Next Generation Cyber Infrastructure:東京大学の次世代サイバーインフラ連携研究機構)の活動として実施された。両者は今後も、5G/Beyond5Gなど次世代通信インフラを活用しつつ、火山防災対策や地域課題解決に取り組んでいくとしている。