Google が米40州とデータプライバシー訴訟で和解:ただし、位置追跡は今後も当局の監視対象か

DIGIDAY

Googleと多数の州のあいだでプライバシーをめぐる画期的な和解が成立したが、業界がますます詳細な調査にさらされるなか、今後も位置追跡には監視の目が注がれ、恐らく法廷闘争が増えるだろうとの声もある。

Googleと40州の司法長官は11月14日、同社にとって法廷闘争での過去最大の支払い額となる3億9200万ドル(約550億円)での和解を発表した。また同時に各州は、データ収集方法開示へのさらなる変更も求めている。オレゴン州とネブラスカ州が主導した訴訟は、2014~2020年の疑惑の活動に基づくもので、アプリの機能をオフにしてもユーザーの動きを追跡した容疑も対象となっている。訴状によると、Googleは消費者を欺き、消費者保護法に違反してデータから利益を上げたとされる。

Googleは2023年に、ユーザーの位置の追跡方法やそのデータの利用方法について、さらなる開示を求められる。同社が開示を義務づけられる情報は、収集した情報の種類や情報源、正確な位置情報かどうか、ユーザーがパーソナライズド広告の要因となるデータをどの程度防ぐことができるのか、データを削除したい場合はどうすればよいのかなどが含まれる。

Googleは、和解に関する声明で、プラットフォームをすでに修正済みで、この件は「以前の製品ポリシー」に基づいていると述べた。だが、ニュージャージー州のマシュー・プラトキン司法長官は、今回の和解が「企業に責任を持たせるという明白なメッセージ」を送るものだと語った。オレゴン州では、エレン・ローゼンブラム司法長官が、データプライバシーは同州にとって依然として「最優先課題」であり、データの管理権限を消費者にもっと与えるために、タスクフォースが2023年の立法議会で新法案を提出すると述べた。

ローゼンブラム司法長官は、声明で次のように述べている。「Googleは何年も、ユーザーのプライバシーより利益を優先してきた。狡猾で人を欺いている。消費者は、Googleで位置追跡機能をオフにしたつもりだったが、同社は密かに、消費者の動きを記録し、広告主のためにその情報を利用し続けた」。

法廷闘争に直面する各社

Googleが2022年に直面した位置関連訴訟は、これだけではない。10月には、ユーザーを欺いて位置データを入手して利益を得たとしてアリゾナ州から提訴され、8500万ドル(約120億円)を支払うことで和解している

今回の和解金は、Googleがプライバシーをめぐる申し立てに関連して支払ったなかでは最高額だが、ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)事件に関連するプライバシー侵害をめぐって、2019年にFacebookが連邦取引委員会(FTC)と50億ドル(約7100億円)で和解した時の支払額よりまだ少ない。

Googleだけでなく、ウェザー・チャンネル(The Weather Channel)やデータブローカーのコチャバ(Kochava)など、他社もこれまでに、位置関連の法廷闘争に直面しており、位置追跡が広告主にどのような影響を及ぼすかについても、疑問を投げかけられている。

連邦法改正には期待なし

位置情報企業グラビーアナリティクス(Gravy Analytics)の最高プライバシー責任者、ジェイソン・サルファティ氏は、位置や生体認証に関連する機密データが増えているため、規制当局が法を改正して、その両方の収集方法に対処することが、いっそう重要になっていると語る。だが同氏は、今夏にある程度進展はあったものの、機能不全に陥った議会で新たなプライバシーに関する連邦法が成立することはないだろうし、今後2年間も成立しないだろうと考えている。

米国の新たな連邦法がなくても、連邦政府機関は、企業による位置データの収集方法を調査する計画について、ますます声高になってきている。8月には、連邦通信委員会(FCC)が、携帯電話会社が現在の規制を順守しているかどうか調査する計画だと述べた。一方、FTCは、現行法に基づく法執行を追求する一方で、独自のルールを改定する計画があることを表明している。

法改正にはなかなか至らないが、テック企業はある意味で、ほかの業界より、自力で変化を遂げるのが速い、とサルファティ氏は話す(同氏は、「最後まで戦って負けた」タバコ業界について言及した)。

「ここでは、朗報に注意を注ぐべきだ。解決が必要な問題があるとGoogle自体が理解しているのが、その朗報だ。推測の域を出ないものの、和解の文言から、Googleが実際の和解案や司法長官たちが依拠している事実の申し立てから切り離してこの問題を解決したと考えることは十分可能だと思う。おかげで、信じられないほどすっきりした気分だ」とサルファティ氏は言う。

和解成立が意味するもの

ほかの企業や業界団体も最近、変化を遂げてきた。たとえば、6月には、ネットワーク・アドバタイジング・イニシアチブ(Network Advertising Initiative:以下、NAI)が、位置追跡の新基準を発表し、フォースクウェア(Foursquare)やキュービック(Cuebiq)、プリサイスリー(Precisely)の一部門プレース・アイキュー(PlaceIQ)などの企業が、その基準を採用した。

「このような和解が成立した場合は、多いに注意を引く」とNAIの公共政策担当バイスプレジデント、デビッド・デリュック氏は話す。「いろいろな意味で、ほかの業界にとっては、規制当局が注目し本気で気に掛けていること、自分たちが責任を負う必要があるわかることは良いことだと思う」。

テキサス大学ダラス校のコンピューター科学教授、ムラト・カンタルシオグル氏によると、今回の和解は、企業がすべての部門やアプリでプライバシーの問題と慣行を調整する必要性も示しているという。

ハーバード大学データプライバシー研究所の客員研究員でもある同氏は、「これは、行っていると主張していることと、実際に行っていることが一致しなければならないという非常に強いメッセージを送っている。様々な動機がある大企業は、データプライバシーで主張している内容について、うまく調整できないかもしれない。(中略)追跡はそんなに簡単なものではないはずだ」と語った。

[原文:Location tracking continues to face scrutiny after Google’s latest data privacy settlement

Marty Swant(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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