「『企業』を必ずしも『文化』に当てはめることはできない」:ブラウンド・2・パーフェクション 創業者 ジュネイ・ブラウン氏

DIGIDAY

歴史的に見て、黒人の買い物客は美容やファッションなどのトレンドを生み出し、小売市場の一部を牽引してきた。ニールセンによると、その購買力は2024年までに1兆8000億ドル(約253兆2105億円)に達すると予測されており、影響力は今後も拡大すると予想されている。

この2年間、ブランドや広告主は黒人の買い物客に対応することに力を入れている。彼らは、2020年のジョージ・フロイド殺害事件後に企業として約束したことを実行し、よりインクルーシブになろうとしている。この分野で活躍しているのが、マーケティングエージェンシー、ブラウンド・2・パーフェクション(Browned 2 Perfection)の創業者、ジュネイ・ブラウン氏である。

ブラウン氏はニューヨーク市出身の30歳で、現在はアトランタに住んでいる。彼女はマーケティング分野で10年以上勤務経験があり、これまでソニー・ミュージック・エンターテイメント(Sony Music Entertainment)などでも働いてきた。彼女はこの業界において、マーケティングのビヨンセと呼ばれている。6年前に自身のエージェンシーを設立し、クリエイター、とくにマイノリティや女性、行政や人々のサービスなど注目が行き届いていないコミュニティの人々にリソースを提供している。

「これらのコミュニティはちゃんと彼らがやりたい計画を持っていたものの、それを実行するためのプラットフォームが足りていなかっただけだと気付いた」と彼女は述べ、白人のストレート(異性愛者)男性が支配するこの業界において、自身の使命を、これらのコミュニティが必要とする発信・成長の場を提供することとした。現在、彼女の会社はP&G南アフリカ(Procter and Gamble, South Africa)と共同で、ドロップド(Dropd)という南アフリカ所有のスタートアップ・アプリと提携してキャンペーンを行っている。

「これは明らかに、私たちのような独立系エージェンシーにとって、フォーチュン500の世界(いわゆる米国の超大手企業)に、そしてグローバルの市場へ本格的に参入する大きなチャンスだ」とブラウン氏は述べた。「私の背中には大きなバッテリーが搭載されている。ロケットのように飛び立つ準備はできている」。

米DIGIDAYはブラウン氏に取材し、黒人経営のエージェンシーの創設者としての経験と、2020年以降の社会正義運動のなかで、疎外された人々の声が発信される機会を作ることの意味について話を聞いた。

このインタビューは、読みやすさのために若干の編集を加えている。

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「マーケティングのビヨンセ」の通り名は何を意味するか

ビヨンセは単に素晴らしい人間であり、慈善家であり、芸術家であるだけでなく、今や形容詞として使われるレベルに達したと信じている。彼女は卓越性の代名詞で、「本物」や「努力」の代名詞でもある。彼女は自分の力で、自分のルールでプレーする状況を生み出した。彼女のように意見を出したり、働いたりする人は多くないと思う。

しかし、私はそれをし始めた。私たちの会社は黒人が所有しているだけでなく黒人が運営している。スタッフは全員黒人や褐色人種で、主に女性だ。その状態が6年間続いている。黒人は最も消費をする消費者層の一部である。

では、なぜ黒人の存在がマーケティング業界に影響力を持たないのか。私たちはもっとも聡明でクリエイティブな人々だ。しかし、多くの場合、(黒人が)業界に参入し、出世をしたり成長したりと、トップレベルに登るには非常に長い時間がかかる。

あなたは「自分が成功すると同時に、他の人も助ける」という信念があるようだ

キャリア的にも、私の育った環境の多くにおいても、その信念(自分が成功すると同時に他の人を助ける)が行われていた。伝統的な意味でのメンターを持ったことはなかった。

でも、仲間だった人、たまたま出会った人、仕事を見てくれた人、私が一生懸命働いている姿を見てくれた人がいて、彼らがその過程で助けてくれたことは間違いない。これまで(の成果、成長は)非常に人間関係に基づいていた。それは私にとって、すべてを変えるものだった。

ビジネスを始めてからの6年間で最も大きな学びは何か

黒人女性の創業者である私には分からないことがたくさんある。実際にやってみないと理解できなかったり、マスターできなかったりすることも。そういったことは自分で経験しなければならない。いくら本を読んでも、誰と話をしても、メンターが誰であろうと関係ない。(本や会話、メンターからの学びを通じて)いくつかの間違いを省くことができるかもしれない。

しかし、失敗をしなければ、おそらく学習も成長もしない。一区切りがつく度、四半期ごとに、改善しなければならない。フラストレーションをもたらすプロセスだが、毎回、何か新しいことを学ぶ。自分が作り上げたものを壊して、ゼロから作り上げるという作業だ。

一般的に黒人の経営者は、あるいは単純にスタートアップは、結果を出すために人々がお金を払っているため、カッコよく仕事をこなす、というようなことはあまりない。一夜にして完璧になるわけではないし、6年後になっても完璧ではない。最大の教訓は、今後も多くの教訓があるだろうということだ。私のスキルがどれほど上達しても、さらに上のレベルが存在するでしょう。それが人生だ。

大きな注目が集まる黒人文化とDE&Iは、この業界にとって何を意味するか

人々は、黒人をチームに加える必要があることを知る必要がある。もうひとつは、企業を常に文化に当てはめることはできないということを理解することだ。

[原文:‘A big battery in my back’: Why Junae Brown calls herself the Beyoncé of marketing

Kimeko McCoy(翻訳:塚本紺、編集:島田涼平)

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