【もうすぐ閉店】「ムーミンカフェ」で受けたちょっとした優しさに泣きそうになった話

ロケットニュース24

東京に2店舗を展開する「ムーミンカフェ」が2023年2月末日までに全店閉店することが発表された。

2003年に東京ドームシティ ラクーアに1号店をオープンした「ムーミンカフェ」はコラボカフェのさきがけともいえるお店。ムーミンたちの大きなぬいぐるみが飾ってあって、北欧風のパンやスープが食べられる「ムーミン」ファンにはたまらないお店だった。

私も何度かラクーア店を訪れたことがあるのだが、7〜8年ほど前に忘れられない出来事があった。さよならとありがとうの思いを込めて書き記しておきたい。


・徹夜明けでムーミンカフェへ…

当時、徹夜はあたり前のブラックな編集プロダクションに勤めていた私。ちょうどその時も徹夜で仕事をしたあとラクーアのサウナで仮眠をとって、ひどく荒んだ気持ちで朝を迎えたのを覚えている。

当時のことを思い出すと、忙しいし怒鳴られるし社会保険もつけてもらえないしで、心は完全に灰色だったと思う。

そんな荒んだ気持ちと空腹を癒やすために「ムーミンカフェ」でモーニングを食べることにしたのだった。

人気店なので、モーニングのスタートと同時に、ムーミンカフェの席は半分ほど埋まってしまった。どの席も家族連れや友達同士で楽しそう。ここは遊園地のあるラクーア。みんな非日常を楽しむために着飾ってムーミンカフェ名物の大きなぬいぐるみを席に置いて、写真を撮っている。羨ましい……。

かたや私は徹夜明けのどスッピンで、疲れ切った格好をしている……。癒やされにきたはずが、かえって惨めな気持ちになってしまい、私は来たことを少しだけ後悔していた。


・思いがけないサプライズ

すると、一人ぼっちで来ている私を気遣ってか、店員さんが「スティンキーも相席いいですか?」と大きなぬいぐるみを抱えて私の席にやってきてくれた。思いがけないサプライズ。

これだけでも嬉しかったのに、店員さんはかわるがわるたくさんのムーミン谷の仲間たちのぬいぐるみを私の席に連れてきてくれた。

隣でいたずら好きのスティンキーがニヤリと笑い、向かいにはムーミンのご先祖さまもやってきた。

そして次にやってきたのは、大きなスノークのお嬢さんとテーブルの上には小さなスナフキン……!

一人ぼっちだったはずの私は、ムーミン谷の仲間たちに囲まれて朝ごはんを食べていた。

ムーミン谷の仲間たちに囲まれて朝食をとるなんて、ムーミンファンからすれば夢のような出来事である。羨ましそうに見つめる他のお客さんたちの視線がちょっと痛くて、照れくさかったけれど、店員さんたちの心遣いがうれしかった。


店員さんにしてみれば、ただひとりで来ているお客さんを気遣ってくれただけかもしれない。だけど、その気遣いが、荒んでいた私の心を温かく癒やしてくれたのは言うまでもない。

あれは本当に自分がムーミン谷へと迷い込み、ムーミンママの作る美味しい料理を仲間たちと一緒に囲んでいるような時間だった。今でもあの優しい時間を思い出すと、心が温かくなる。


・今後のムーミン事業は別会社に

今回の閉店は、本国とのライセンスが切れたことによるもの。ちなみに、現在のムーミンカフェを運営していたのは株式会社ベネリック。スタジオジブリのキャラクターショップ「どんぐり共和国」などを運営する会社でもある。キャラクター愛にあふれた優しい世界観を作り出していたように思う。

2023年3月からは新たな企業がムーミンのショップやカフェを展開するという。思えば「ムーミン」シリーズには季節の変化とともにムーミン谷を旅立つ者たちの姿が幾度も描かれる。出会いと別れは「ムーミン」の世界の大切なテーマとも言えるだろう。


思い出深いムーミンカフェが閉店してしまう寂しさもあるが、新しいムーミンショップにも期待したいと思う。

あのとき、ひとりの私を気遣ってくれたスタッフのみなさん、素敵な思い出をありがとうございました! いちファンとして、この優しさが次のムーミンカフェにも引き継がれることを願います。


参考リンク:ムーミンカフェ
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

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