昨今、再加熱している格闘技ブーム。今年6月に東京ドームに開催されて300万円の入場券が話題となった「THE MATCH 2022」が、その人気を証明している。
そして、国内最大の格闘技団体の「RIZIN」をはじめ、立ち技最強を決める「K-1」や「RIZE」などの大会では、目玉のカードが発表されるたびに話題を博している。
そんな中、2022年10月30日(日)に立ち技ルール、総合格闘技ルールだけに縛られない、世界中の武術・武道が試合で交流するイベントが行なわれた。
その名も『敬天愛人』。そのイベントの内容が一般的な格闘技とは一線を画した、まさに漫画「ドラゴンボール」の作中で開催されていた「天下一武道会」と呼ぶにふさわしい大会だったので、その様子をレポートしよう。
・常識を覆す格闘道イベント
まず『敬天愛人』という格闘道イベントの内容について説明しよう。このイベントは2018年から開催されていて、過去にプロ大会が1回、アマチュア大会が2回行なわれている。
今回のイベントは3回目のアマチュア大会にあたるもので、大会の正式名称は『第3回敬天愛人練武大会』。今回は東京都内にある「中央区立総合スポーツセンター」で開催された。
出場する選手は空手や柔道、合気道などの日本ではお馴染みな武道から、「ジークンドー」などの中国武術、ロシアの軍隊格闘技「システマ」、ブラジルの足技格闘技「カポエイラ」などをバックボーンにしている人までさまざま。
まさに世界中の武道・武術で鍛錬を重ねている猛者達が一同に集う、「現代の天下一武道会」と名乗るにふさわしいイベントだ。
試合は原則、どの試合も1分間で行なわれる。試合なので審判はいるものの、1本勝ち以外での勝敗の判定は、なんと観客に委ねられる。その方法だが、まず裏表で紅白がベースに作られているペラ用紙が入場時に渡される。
そして判定に もつれ込んだ場合、観客がその用紙を赤か白で挙げて、その数で勝敗が決まるというもの。
それでも勝敗がつかない場合は、観客で来ている子供達に委ねられ、さらにそれでも決まらない場合は、審判団の旗の数で勝敗を決するといった流れだ。
・主催は元UFCファイター
この『敬天愛人』の主催者は、世界最大の格闘技団体「UFC」の大会出場経験もあり、現在は ”誰でも何歳からでも強くなれる” をコンセプトにした道場『誰ツヨDOJOy』を主宰する、武術格闘家の菊野克紀さんだ。
この『敬天愛人』は、菊野さんが掲げる ”親が子供に見せたい格闘道” というコンセプトのもと、身体、精神の強さに加えて、護身も想定した実践的なルールで行なわれる。そのルールの数は、なんと全部で14種類!
例えば、顔面突きの有り無しのようなオーソドックスなものから……
フェイスガードなどの防具着用ありで「頭突き、目突き、金的ありの寸止めルール」という、素手同士と言えども高い技術レベルが要求されるものもある。
また、素手同士だけではなく「短刀vs素手」という、路上のトラブルを想定したものや……
「棒vs素手」なんていうものも。
そして「短刀vs鞄」という、サラリーマンが襲われる(?)ケースを想定したものや……
さらには1対1ではなく、3対3の集団戦など……
まさに実戦を想定した多種多様なルールでエンターテイメント性も追求された、唯一無二の格闘道イベントと言えよう。
・YouTubeで話題の達人たちも集結
そして、この『敬天愛人』の会場には、今をときめくYouTubeで話題の武道・武術の達人の方々が集結していた。
私(耕平)個人も全員チャンネル登録しているくらいのファンなので、本来ならば一人一人紹介していきたいところだが……かなり長くなりそうなので、今回は気持ちを抑えて割愛させていただく。
ただ武道・武術ファンなら同調していただけるであろう、同じ場所に集結することすらあり得ないくらいの豪華メンバーだ。
そんな達人の方々が、来場していた子供たちと集団戦で対決するコーナーもあり、まさに ”親が子供に見せたい格闘道” にふさわしい、ほっこりとした場面だった。
・今後、大人気イベントになる可能性も?
そして全試合が終了し、各試合の勝者や特別賞やMVPなどの表彰式が行なわれた。
そんなわけで大盛況に終わった『敬天愛人』だが、当初は前売り券と当日券の販売予定だった。しかし、あまりの人気で金額を値上げしたにも関わらず、前売り券が1日で完売してしまったことで当日券の販売が急遽、中止となったくらいの人気を博している。
ちなみに各試合の模様は、今後YouTubeチャンネル『敬天愛人』に随時アップされる予定だ。そして今回、会場にいた達人たちのYouTubeチャンネルなどでも紹介され、SNSでも話題を呼ぶことが予想される。
まだ第4回のアマチュア大会が開催されるかどうかは未定だが、次回の開催があるとしたら、また速攻で入場券が売り切れる可能性は十分にある。私も次回開催があるようであれば、もしかしたら今度は選手としてエントリーしたい……思わせるくらい魅力的な大会だった。
もし、あなたが武道や武術に興味があるようなら、足を運んで損は無いイベントなので、今後もこの大会の動向を要チェックすることをオススメするぞ!
参考リンク:格闘道イベント『敬天愛人』 、YouTubeチャンネル『敬天愛人』
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.