自宅の風呂がヘドロみたいになる入浴剤『風呂の水ぜんぶ抜く大作戦』』! 身を沈めた者に襲いかかるアリゲーターガーの悲哀

ロケットニュース24

誰しもが癒しを求める時代、スーパーやドラッグストアには多種多様な「バスボム」こと入浴剤が並ぶ。目的はもちろん美しい色や香り、ときには可愛らしい「おまけ」でバスタイムをゆったりと満喫するためだ。

ところが、あろうことか風呂がヘドロのようになる入浴剤を発見!


・『緊急SOS!風呂の水ぜんぶ抜く大作戦』(税込638円)

その商品とは、株式会社バンダイの『緊急SOS!風呂の水ぜんぶ抜く大作戦』だ。どこかでめちゃくちゃ聞いたことがある名前だが、それもそのはず。

「○年ぶりに池の底が!」とギャラリーがどよめいたり、貴重な生物を発見したり、たまに物議をかもしたりする、あのテレビ番組とのコラボだ。テレビのない筆者宅ではリアルタイムでは見られないが、人気番組だからもちろん内容は知っている。

なんとテレビ東京が監修し、「池のほとりの緑のかおり」かつ「あの池の色」の入浴剤だそう。全然くつろげなさそう。

開封すると泥団子のような……あるいは恐竜の卵のような物体が出てくる。「びっくらたまご ドラマチックお風呂シリーズ」というシリーズ商品だから、卵の形を踏襲しているんだな。

お世辞にもきれいな色とはいえないが、眺めていても仕方がない。さっそく風呂に投入してみよう。そりゃっ!


すると……


うわぁ…………


勢いよくバブルが弾け、ボコボコとうねる風呂の湯……! 抹茶色というかヨモギ色というかヘドロ色というか、とにかく暗緑色が一面に広がる。


油膜のように白い泡が浮くのも、やたらと臨場感がある。これはまさしくアオコが大発生した池じゃないか……!


その濁り具合は、沈めた自分の手が見えないほど……!


しかし匂いは意外にさわやかだ。「池のほとりの緑のかおり」というが、ドブ池ではなく公園の新緑のようなフレッシュな空気が感じられる。

全身で浸かってみると、見た目はちょっとアレだが、やはり風呂は心地いい。筆者は若干の海洋恐怖があるため、番組のような「底が見えない水」には入れないと思うが、自分の家なら問題ない。コレもう何個か入れてみたら、もっと楽しいんじゃないか?

……と思ったが「入浴中にもう1個追加するなど、用法用量を超えた使用をしないでください」と、どこからか見ているかのような、やたら具体的な注意書きがあった。行動を読まれているっ……!

追加の投入はできなかったが、身体は十分に温まった。さて、いつもならボタンひとつで簡単に排水ができるわけだが……

今日は「池の水」ごっこをしてみよう! 洗面器で1杯ずつ湯をかき出す。


少量を洗面器に入れただけなのに、うっすら緑色がわかるという着色力がすごい。


どんどん水を捨てていくぞ。汲んで汲んで


捨てて捨てて


「あとちょっと」になってからが長い! 洗面器を支える指もキツくなってきた。急速に襲いかかる湯冷め! 風呂でせっかく上昇した体温が失われていく。

途中、パイプの清掃機能で勝手に注水されたりするアクシデントを乗り越えながらも……


水底にキラキラと光る白い腹が見えてきた。一般的なミニチュアマスコットはぷかぷか浮いてくるのに、しっかり沈む素材なのが秀逸!

これは……ワニに似た巨大魚「アリゲーターガー」だ!! 日本在来の生態系を破壊する「特定外来生物」だ。

しかしフィギュアは結構カワイイ。黒光りするウロコなど着色面もよくできているし、安定感もあってフィギュアとしてはかなり仕上がりがいいと思う。

つぶらな瞳がキュートだ。自分の故郷にいたら「危険な外来生物」なんて呼ばれずに済んだのになぁ……。生きているだけで「生態系を壊す元凶だー!」「駆除だー!」と騒がれるが、人間によって持ち込まれたことを考えるとちょっと切ない。

コイツがなにをしたっていうんだ……。いや、在来の魚を容赦なく食い尽くし、すみかを奪い、食物連鎖のトップに立ったかもしれないけれども、本能に従っているだけだろう! 少なくとも「駆除してめでたし、めでたし」ではないな。


・全国の量販店で

商品は全国の量販店・ドラッグストア・玩具店・家電量販店の日用品売場・玩具売場などで取り扱い中。バンダイのサイトから取扱店舗の検索も可能だ。

リラックス効果があるかどうかは、はなはだ疑問だが、ヘドロの中から地球の未来に思いを馳せるのも有意義だ。

マスコットは「アリゲーターガー」「アフリカツメカエル」「ワニガメ」「カミツキガメ」「瓦&メダカ」の全5種。入浴時にはお尻で踏まないようにくれぐれも注意だ。レゴブロックを足で踏むのも痛いが、湯でふやけた軟らかい皮膚は劇的に敏感である。尻に走る痛みは、外来生物による人類へのささやかな復讐……かもしれない。


参考リンク:株式会社バンダイ店舗検索

執筆:冨樫さや

Photo:RocketNews24.

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