データクリーンルーム のマッチ率、いかに高めるか:「成功が必然になる転換点を迎えている」

DIGIDAY

サードパーティCookieなしでデータを拡張する持続可能な方法を探しているパブリッシャーは、いくつかの朗報を耳にしているかもしれない──データクリーンルームのおかげで。

もっと具体的に言うと、データクリーンルームのマッチ率だ。通常、データクリーンルームのマッチ率は特に騒ぐほどのものではない。データクリーンルームのマッチ率はかなり低く、ときには不正確なこともある。正確にマッチするデータセットを前提とする技術としては、あまり良い事例とは言えない。もちろん、マッチ率を上げる方法はある。

しかし、よく言えばやりがいがあり、悪く言えば非現実的だ。そして、そのマッチ率を高める方法を模索することで、そのデータはクリーンになる。

パートナーシップに寄せられる期待

プロハスカ・コンサルティング(Prohaska Consulting)で北米のデータおよびアイデンティティ戦略責任者を務めるケビン・バウアー氏は「結局のところ、マッチ率の最大化につながらないクリーンルームを持つことは、健康的な生活に反発しているにもかかわらず、ジムの会員になるようなものだ」と話す。「いったい何をしたいのだろう?」。

そのため、データクリーンルームのインフォサム(InfoSum)が最近結んだパートナーシップにかなりの期待が寄せられているのは予想外かもしれない。インフォサムは現在、IPG傘下のデータ管理企業アクシオム(Acxiom)と提携しているが、それはむしろ、データセット間のマッチ率を高めるために設立された事業の一部「マッチ・マルチプライヤー(Match Multiplier)」と提携したと言うべきかもしれない。

わかりやすく言うと、提携の内容は次の通りだ。アクシオムの「マッチ・マルチプライヤー」データは、アクシオムが所有、管理するインフォサムのクリーンルームに置かれている。

1対1のマッチングで達成できるマッチ率を高めたい広告主やメディアオーナーは、3方向からのマッチングでクリーンルームを利用すれば、クリーンルームがそのすべてを橋渡ししてくれる。このマッチングはクリーンルーム内で行われ、その基礎となるデータが関係者に公開されたり、共有されたりすることはない。

マッチ率が高まれば、広告幹部の関心も高まるはずだ。そして、このパートナーシップはマッチ率を大幅に高める可能性を秘めている。インフォサムによれば、顧客のテストでは、2つ以上のデータセット間のマッチ率が40%上昇しているという。

広告主に支持されるクリーンルームは

マッチ率は使われるデータセットによって上下するが、マッチ率がわずかに上昇するだけでも、(理論上は)広告主とパブリッシャーの双方に重大な影響を与える。さらに、マッチ率の上昇は、データクリーンルームを活用するために苦労を強いられるマーケターの負担も軽減する。

実際、これらの技術でターゲティングを成功させるには、マッチ率の低さを克服するため、しばしば大きなデータセットが必要になる。しかし、ほとんどのマーケターは自分でオーディエンスを定義したことがなく、当然ながら、メディアのライフサイクルを通じてパフォーマンスなどを追跡したこともない。

インフォサムの会長兼CEO、ブライアン・レッサー氏は「広告主の関心が高まることは間違いなく、実際、すでに高まっている」と話す。「市場で大きなパートナーシップを締結するたび、データクリーンルームの成功が必然になる転換点を迎えている。現在、パブリッシャーは待ちの姿勢で、計画を決定する前に、大手ブランドがどのデータクリーンルームを選択するかを見ているところだ」。

つまり、パブリッシャーは、もっとも多くの広告主から支持を得ているデータクリーンルームを支持することになる。そして、広告主は、マッチ率がもっとも高いデータクリーンルームを支持する。ホスティングサービス企業ファンダム(Fandom)で、プログラマティック売上、業務、データパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるリンカーン・ガン氏は次のように説明している。

「特定のクライアントが特定のベンダーと特定の取引を行うため、結果として、私たちは彼らのニーズに応えられるよう努力しなければならない。あるブランドがあるデータクリーンルームを使い、別のブランドが別のクリーンルームを使っているとしたら、これらのプラットフォーム同士が必ずしも相互に連携しているわけではないため、私たちはどこに注目し、どこにリソースを集中させるかを決めなければならない」。

このようなパートナーシップが、データクリーンルームの問題を解決する特効薬になると期待してはいけない。相互運用性についてはまだ大きな混乱があり、すべてのIDが同じになっているわけではない。ブランド、パブリッシャー、ソフトウェアプロバイダーごとにアイデンティティやオーディエンスの定義が微妙に異なるため、ビジネスプランニングと技術に関する課題が生じ、ブランドにとっては、矛盾があるように感じられるのだ。

[原文:‘Multiplier effect’: Lower match rates in data clean rooms are being given a much-needed boost

Seb Joseph(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:分島翔平)

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