夜の宇都宮で流れ着いた、ドンキ地下のゲーセンの先の怪しげな餃子スポット → 初心者は全員ここで良いじゃん / 想定外だった現地民の食べ方

ロケットニュース24

先日、わりと無計画に記事の流れで東武宇都宮駅まで赴むく機会があった。そして到着するまでは、「人生初の宇都宮だし、有名どころの餃子でも食って帰りてぇな」とか思っていた。

到着したのは20時の少し前。宇都宮餃子の2トップ感がある「みんみん」と「正嗣」はとっくに売り切れ済み。夜が早いのか、商店街の飲食店も軒並み閉まっており、何も得られずフィニッシュ……的な感じで記事を締めくくった。

が、実はその辺で客待ちをしていたタクシーの運ちゃんから、もう初心者は全員ここでいいんじゃねぇかなというスポットを教えてもらい、餃子にありつくことができたのだ。

・ドンキの地下

それがこの「驚安の殿堂MEGAドン・キホーテ 宇都宮店」!


……


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……の地下にある「来らっせ」というお店。


実は当初、この店のことを死ぬほどいぶかしんでいた。勧められたままにフラフラとやってきたのはいいものの、ドンキの地下とか大丈夫なのか?

あくまで渋谷基準だが、夜にドンキの地下などと言われると正直ちょっと世紀末感に身構えざるを得ない

タクシーの運ちゃんが「来らっせがまだやってるから」「ドンキの地下」と、実に断片的な情報しかくれなかったのもある。

あと、到達するまでに微妙に寂れた地下のゲーセンを通過するというルートも不信感をアップさせた。『ロード オブ ヴァーミリオン IV』って、随分前にオンラインがサ終してなかったっけ?


また、今の時代、飲食店のリアルな評判を知るにはSNSだと思い、道すがら検索してもみたのだ。しかし、なぜか “「来らっせ」の餃子” に関する感想が一切出てこなかったのも不安にさせる要素だった。

「来らっせ」で他社の有名な餃子の何かしらを食べたとか出てくる。これはいかに? そんなことを考えていたら到着してしまった。まあ、とりあえず入ってみるか。


・色々集まってる

当初感じていた疑問は、入って説明を受けてすぐに解消された。「来らっせ」とは特定の餃子屋のことではなく、宇都宮餃子会が設けた、宇都宮の様々な餃子屋が複数出店するスペースのようなものだったのだ。


首都圏民的には、新横浜ラーメン博物館の飲食エリアの餃子バージョンと言った方がイメージしやすいかもしれない。1つの建物内に、複数の店舗がこじんまりと出店しまくっているあの感じ。

なるほど、そういうことか! 残念ながら期待していた「正嗣」は無かったが、もう片方の「みんみん」はある。あと「龍門」、「さつき」、「紅蘭」という店が営業していた。定休日だったが「めんめん」もあるらしい。


・みんみん

最優先は、やはり「みんみん」だ。この日は朝からなにも食わず、普通列車で浅草から東武宇都宮までやってきて空腹が極まっていた。

メニューを見ると、思っていたより安い。有名店になると、妙におごり高ぶった価格設定をする店などあるが、餃子6個で300円は庶民の味方だ!


当サイトで餃子と言えばGO羽鳥原田たかしだが、彼らは仄暗い新宿2丁目の怪しげなビルの密室にて、野郎2人で引きこもって冷凍餃子を焼いてばかりいる。

あの2人を出し抜き、「みんみん」のリアル店舗の出来立てを体験する機会を得てしまったぜ。これを見たら、きっと新宿2丁目で悔しがることだろう。

ということで、焼・揚・水をそれぞれ2人前ずつオーダー。これが「みんみん」の餃子コンプリートセットだ!!


まずは焼き餃子からいこう。


食べてみると、皮がそこそこ柔らかく、厚みのあるタイプだと発覚。にんにくはそんなに入っていないのか主張控えめ。単体でどうのというより、何と合わせても合いそうな塩梅だ。

そして、セットで出てきた特製のラー油がうめぇ。餃子本体の主張が控えめなのは、このラー油とセットで “みんみんの焼餃子” が完成するから……かもしれない。


続いて揚餃子。


すげぇバリッバリだ! だが、トゲのあるバリバリ感ではない。しっかりと抵抗しつつも、ほど良いところで身をゆだねてくる感じ。すでに内心ではデレまくった状態のツンデレキャラみたいな。


・そうやるんか?

最後は水餃子。なんやこれ、お湯がすげぇ入ってんぞ。スープ的なモノかと思ったが、マジでただの無味なお湯である。


とりあえず、普通にレンゲでとって醤油などつけて食べるスタイルでいったところ、まあ、けっこう普通


焼餃子と揚餃子は、私が週3くらいで食べている埼玉の餃子界のエース「ぎょうざの満州」の焼餃子に匹敵するクオリティだと思うが、水餃子はその域に達していない。

やっぱ大量のお湯が邪魔なんよ……と、そこで他のテーブルのおじさんが妙なことをしているのに気づいた。

出てきたお湯たっぷりの器に、そのまま醤油や酢をドバドバとブチ込んでいるのだ! しかも、けっこう思い切った量である。

過激派かな? と思ったが、別に奇をてらったDQN的ムーヴとは思えない。気の弱そうな疲れ果てた一介のサラリーマンっぽいおじさんだ。おそらく地元民だろう。

もしや、ダイレクトに調味料をブチ込んで食うのが宇都宮のスタイルなのでは……? このまま食っても正直言って微妙なままだ。であれば、未知の可能性に賭けるしかない。

器にダイレクトアタックするので、失敗したら全てが終わる。保険をかけて餃子をいくつか避難させたのちに試したところ……


_人人人人人_
> うめぇ <
 ̄Y^Y^Y^Y^ ̄



完全にこれが正しいスタイルだと確信させる仕上がり! 自分の好みの味になるまで調味料を豪快にお湯にブチ込んで、そうしてできたスープごとチュルンといくとクールにキマる!!

郷に入ってはなんとやらだ。現地民のムーヴを真似するのは正解だった。どこでもこんなに大量のお湯と共に提供されるのかは知らない。

だが、少なくとも「みんみん」の水餃子は、大量のお湯に調味料をダイレクトアタックさせ、そのスープごと食う方が美味いと思う。

そんな感じでエンジョイできたのだが、実は閉店ギリギリだったこともあり、15分くらいで全てを食べきって退店したため、出来たてを食べられたのは「みんみん」のみ。

本当はもっと時間をかけてゆっくり他も楽しみたかったが仕方ない。何にせよ、「来らっせ」は宇都宮餃子の初心者にとって、最高のスポットだと感じた。

そりゃあまあ「〇〇こそが最強!!」みたいな主張も多数あるのだろうが、ぶっちゃけそれは厄介ムーヴだと思うのだ。

これはあらゆる飲食物に当てはまる真理だが、初心者というのは、そもそも自分の好みを把握できていない

例えば酒なんかもそう。ウィスキー初心者は、自分で思っている以上に自分の好みを知らない。

そこに、例えば私が「アードベッグ10年こそが最強!!」みたいな厄介ムーヴをかましても、秒でウィスキー嫌いを増やすのがオチ。

初心者にはまず、手軽に様々なものを一度に試せる場が必要なのだ。酒であれば優れたバーテンダーなんかは飲み比べを提案し、感想を聞きながら誘導してくれたりする。

宇都宮餃子の場合は、「来らっせ」こそが丁度いい食べ比べの場として、これ以上なく機能すると思われる。

マジで初心者はとりあえずみんなここに行けば良いんじゃないかなって。好みを把握したら、後はその傾向に沿って突き詰めていけばいいと思うし。

参考リンク:宇都宮餃子協会
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

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