3年ぶりの幕張メッセ開催、「オンラインで興味を持った展示をリアル会場で」
CEATEC 2022が、いよいよ開幕する。
10月18日から21日に、3年ぶりの幕張メッセ会場でのリアル展示が行われるほか、その期間を挟むように、10月1日から10月31日までオンライン会場での展示や各種コンファレンス、セミナーが開催される。CEATECのハイブリッド開催は今回が初めてとなる。
幕張メッセ会場およびオンライン会場は、いずれも登録入場制となっており、入場料は無料。主催は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、共催は一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)。開催趣旨は、「経済発展と社会課題の解決を両立するSociety 5.0の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、共創によって未来を描く」としている。
CEATEC 2022には、530以上の企業/団体の出展が予定されており、そのうち初出展が250以上、オンライン会場だけで出展する企業は約20になる。リアルでの開催が行われた2019年のCEATEC 2019の出展社数は787、初出展が304で、来場者数は14万4491人だった。
CEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、「3年ぶりの幕張メッセでの開催となり、私自身もワクワクしている。ぜひ幕張メッセ会場で、長い時間、会場に滞在してもらいたい。また、オンライン展示やオンラインによるコンファレンスも用意している。オンライン展示にはリッチなコンテンツが多数用意されている。10月1日からオープンするオンライン会場を見て、興味があるものをピックアップしてもらい、18日からは幕張メッセの会場で、実際の展示を見てもらいたい」と抱負を述べた。
目玉の「パートナーズパーク」はSociety 5.0を体現する「共創エリア」
CEATEC 2022の目玉のひとつが、初めて設置された「パートナーズパーク」(幕張メッセ会場)である。
独自テーマを設定し、あらゆる産業や業種のパートナーとともに、Society 5.0の未来社会を体現する「共創エリア」と位置づけており、「デジタル田園都市」をテーマに、パートナー各社が技術や製品、サービスを展示するとともに、トークセッションなども行われる。
パートナーズパークでは、複数のテーマにあわせて、共創している企業が出典する。テーマを挙げると、アマゾンウェブサービスジャパンによる「持続可能な社会をAWSのクラウドで」、LIXILの「スマートホーム市場を牽引するデバイスLife Assist2」、北良の「WHOLE EARTH CUBE インフラ搭載型次世代居住空間」、レスターエレクトロニクスの「スマート機器、データ連携、パートナー共創でスマートシティを実現」、Metaを中心に20社以上が参加する「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」、電気自動車普及協会(APEV)による「国際学生”社会的EV”デザインコンテスト2022 審査&表彰式」。これらに関わる企業だけで、合計153社に達するという。
主催者であるJEITAもパートナーズパークに出展。JEITA半導体部会による「JEITA半導体フォーラム2022」、JEITAスマートホーム部会による「デジタル田園都市におけるスマートホーム」、ALANコンソーシアムによる「最先端の水中光技術のデモを通して、快適になる水中世界を体感」が行われる。
鹿野氏はパートナーズパークについて、「すでに共創を実現している企業に出展してもらい、共創の結果を見てもらう場にしている。来場者には、テーマをもとにブースを探してもらうことができる。岸田内閣の1丁目1番地であるデジタル田園都市国家構想を全体のテーマに掲げており、政府の方針に則るとともに、地方のDX化もサポートしたいと考えている。また、METAVERSE EXPO JAPAN 2022では、展示会のなかでの展示会という新たな取り組みにも挑戦することになる」などと述べた。
「次世代学生向け企画」では未来を担う人材を手厚くサポート
次世代学生向け企画では、Society 5.0の実現に向けた最新技術や、今後の未来展望を学ぶことができる複数のプログラムを、幕張メッセとオンラインの両方で実施。デジタル人材の育成につなげるという。半導体などの未来社会の理解に役立つ展示や公開授業を行うほか、数理やデータサイエンス、AI教育などをテーマとしたオンラインコンテンツを配信。さらに、個人や企業が未来をどう捉えるかといったテーマで、アート、デザイン、エシカル、サステイナブルの視点からオンラインで討議する場も、初めて用意する。
CEATEC JAPAN 2019の幕張メッセ会場には、3000人以上の学生が来場していたという。「総合展示会でこれだけ多くの学生が来場する例はない。学生にCEATECに来場して、見てもらい、デジタルに興味を持ってもらいたい。半導体産業に対する関心も高めたい。理系の学生だけでなく、多くの学生に興味を持ってもらいたいと考えている。企業の若い社員との会話ができるようにしているほか、会場には専用スタジオを設置し、オンラインによるブースツアーも予定している。全国の学生が参加できるようにしている。将来の日本を担う人材になってほしいという主催者の思いを込めた企画である」と、鹿野氏は、学生向け企画の位置づけを語った。
CEATEC AWARDではデジタル大臣賞を新設
10月17日には、虎ノ門ヒルズフォーラムで関連イベント「CEATEC 2022 ANNEX TOKYO」を開催する。
「グリーン×デジタル」をテーマにしたスペシャルセッションや、参加者招待制でのデジタル田園都市国家構想セッションなどが行われる。富士通の時田隆仁社長、アマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄社長、広島県の湯﨑英彦知事などがスピーカーとして登壇する予定だ。
また、CEATEC 2022 ANNEX TOKYOでの基調講演として、米マイクロソフトのサステナビリティサイエンスリードのトレヴァー・ドゥ氏による「気候変動による惨事を回避するためにマイクロソフトが果たす役割」と、味の素の代表執行役副社長兼CIOによる「味の素グループのパーパス経営-事業モデル変革による成長戦略」が行われる。
さらに、同会場では、オープニングセレモニーも開催され、CEATEC AWARDの大臣賞の表彰も行われる。CEATEC AWARDでは、総務大臣大臣賞、経済産業大臣賞に加えて、今年からデジタル大臣賞が新設されている。部門賞としては、トータルソリューション部門、キーテクノロジー部門、スマート×インダストリー部門、スタートアップ&ユニバーシティ部門、パートナーズパーク部門も用意されている。
鹿野氏は、これまでのCEATECを振り返り、開催への思いを語った。「CEATEC JAPANは、2000年にエレクトロニクスショーとCOM JAPANが統合してスタートした。その後、エレクトロニクス産業、IT産業の変遷とともに、CEATECも変化してきた。2016年には、IT・エレクトロニクスの総合展から脱却し、CPS/IoT の総合展示会という新たなコンセプトを打ち出し、2017年にはSociety 5.0の実現を目指す展示会という方向性を明確にした。その結果、IT・エレクトロニクス業界を超えて、多くの産業界からの出展が増えた。2020年、2021年は完全オンライン開催となったが、今年は3年ぶりの幕張メッセでの開催を行い、CEATECとしては初めてのハイブリッド開催にも取り組むことになる」。
続けて、コロナ禍により、企業の展示会に対する考え方が変化している中で、CEATEC 2022の手応えを語った。出展社数はCEATEC 2019の7割程度だが、世界中の展示会を見ると、出展社数が半減したり、3割程度に留まっている例もあるという。「この環境下で7割という実績は、多くの企業や団体に参加してもらっているという感覚である。また、出展を見送った企業のなかには、CEATECが以前のように活気があふれる展示会に戻ることができるのかを見てたいというケースもある。主催者としては、2022年の実績を見せ、来年以降の参加につなげたい」。