「放送権利のため映像はお伝えできません」――。2022年9月20日にNHK総合で放送された「キャッチ!世界のトップニュース」の中で、英エリザベス女王の国葬を報じた海外メディアのニュースが伝えられた際、このような表示とともに実際のニュース映像が流れないシーンが断続的に発生した。
突然の出来事に、ネット上の視聴者からは「はじめて見た」「なんじゃそれ」など驚きの声が聞かれた。一体何が起きていたのか、NHKに事情を聞いた。
「同じ番組の再放送での使用が制限」
「キャッチ!世界のトップニュース」は、世界各国のメディアが報じた映像ニュースを日本語で解説する報道番組。16年1月からNHK・BS1で放送を開始し、現在は毎週月曜~金曜朝8時に初回放送、朝11時に再放送がある。22年3月からは、ロシアのウクライナ侵攻を受け、朝10時台にNHK総合でも再放送するようになった。
9月20日の放送では、前日に行われたエリザベス女王の国葬に関する海外メディアの報道が伝えられた。
英放送局・BBCのニュースが取り上げられた際、チャールズ国王が国葬会場のウエストミンスター寺院へ向かおうとするシーンで突如映像が途切れ、「放送権利のため映像はお伝えできません」との表示が40秒ほど流れた。その後、実際のニュース映像に戻ったが、折られた侍従長の杖が女王の棺の上に載せられるシーンで再び「映像はお伝えできません」と表示された。この間、日本語による翻訳音声は流れていた。
続けて伝えられた仏放送局2(ドゥー)のニュースでは、各国の首脳や国王が国葬に訪れたことを報じたニュースの中で、2分近く上記の表示が続いた。また、番組終盤では米ABCニュースによる英国女王国葬のニュースが取り上げられたが、ここでも「放送権利のため映像はお伝えできません」の表示が断続的に3回繰り返された。
ツイッター上では「はじめて見た」「放送権利の為、映像はありませんって…なんじゃそれ」「なぜ音声はOKで映像はNG…?」「他に方法はなかったのかな」などの声が寄せられた。
一体何が起きていたのか。NHK広報局の担当者は9月21日、J-CASTニュースの取材に「エリザベス女王の国葬の映像は、一部、同じ番組の再放送での使用が制限されていた」と説明。その上で「20日の総合テレビとBS1の再放送では、該当する映像を使用せず、『放送権利のため映像はお伝えできません』という表示を出しました」とした。