はじめてのドロップキック

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明日にドロップキック

生まれてからこのかたドロップキックをしたことがない。天下一武道会や暗黒武術会に出場したことのない人生を歩んできたからだ。 ただ、ドロップキックの迫力ある姿に憧れがある。 おれは今日、ドロップキックをすることにした。

「太っているわりに動けるんですね」と言われたい

「太っているわりに動けるんですね」と言われたいと思っている。動ける太った人を目指したいのだ。そんな告白をしたが運動には自信がない。でも、そんな自分を捨て去って、ドロップキックをする側の人間になるのだ。

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「熱中症になるかもしれないからしょっぱいものを買いましょう」と言って大量に買った蒲焼さん太郎を食べた。思っていた以上に固い。

ドロップキックのやり方

やりたい気持ちはあるが、ひとつもやり方がわからない。戦闘民族じゃないから。なので、YouTubeでやり方を検索する。

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 YouTubeでドロップキックのやり方を学ぶ。

はじめてのドロップキック

 調べると、助走をつけてから軸足で思いっきり踏み込んで、ジャンプして、ミサイルのように相手に向かって飛んでいく。 これをやってみよう。

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助走をつけて
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踏み込んで
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みんなには見えないかもしれないけど「くらえ!!」という気持ちで飛んでいる。
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? 

やりきった顔でこちらを見ているが全然やりきれてない。キックをしてないのだ。でも、自分としてはかなり飛んだ気がしているが気のせいでした。

2回目のドロップキック

もう一度やらせてください。いくぞ!!!

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??

実際に飛んでいるときは「うわ!すごい!!!高く飛んでいる気がする」と思っている。今、写真で見たらまだ我々が知らない儀式が始まったのかと思った。始まらないでほしい。

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頑張ったら格闘ゲームに出て来そうなキックが出た。ジャンプしてきた敵に有効です。
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ダウン。

アングルで解決させたい 

10分ほどやって思った。いまドロップキックをやるには色々と足りないと感じた。筋力とか股関節のやわらかさとか愛する故郷を燃やした因縁の相手に対する復讐心とか色々と足りない。

これはもう、撮影のアングルに頼るしかない。

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ラウンド2ファイ!

愛する故郷を燃やされた男は修行をした。最強になりたいわけではない。あいつよりも少しだけ強くなりたい、そんな気持ちで厳しい修行を行った。

そういうストーリーを思い浮かべながら読んで下さい。思い浮かべなくても大丈夫です。

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おれはお前を倒すために生きてきた…!
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この一撃で…
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全てを終わらす!!!
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かっこいいか言われたらかっこよくないけど飛んではいる。

やりましたよ、師匠。とうとう宿敵を倒すことができた。これで平和な暮らしを過ごすことができる。

ただ、撮影をしてくれた編集部の安藤さんからは「5㎝ぐらいしか飛んでなかった」と言われたが満足しているので大丈夫です。

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