国税庁をかたったフィッシングメールが増えており、国税庁も不審なメールやメッセージが出回っているとして注意喚起の文書を公開しています。8月23日には、フィッシング対策協議会も緊急情報を公開し、注意を呼び掛けています。
筆者のところにも届いたフィッシングメールには以下のように書かれていました。
電子税が必要です。
あなたの所得税(または延滞金(法律により計算した客勛について、これまで自主的に納付されるよう催促してきましたが、まだ納付されておりません。
もし最終期限までに 納付がないときは、税法のきめるところにより、不動産、自動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの債権などの差押処分に着手致します。納税確認番号:****31
滯納金合計:10119円
納付期限: 2022/9/3
最終期限: 2022/9/4 (支払期日の延長不可)お支払へ→
税金を滞納しており、支払わないと不動産や自動車を差し押さえるというのです。そして、なんとこのフィッシングメールは9月4日に送付されたですが、延長不可の最終期限が9月4日となっており、即支払うように催促されるのです。
なお、メールの件名は「税務署からのお知らせ【●申告に関するお知らせ】」でしたが、「未払い税金のお知らせ」や「【督促状】滞納した税金がございます」「【国税庁】差押最終通知」といった件名も報告されているので注意してください。
筆者のところに届いたメールのリンク先はすでに無効になっていたのですが、フィッシング対策協議会によると、国税庁を装ったフィッシングサイトの画面が表示されるようです。そして、「差押最終通知」として4万円の支払いを要求しており、メールアドレスと電話番号、名前、支払い方法の選択を求められます。4種類の支払い方法が提示されているものの、クレジットカードとコンビニ払い、ネットバンキングの3つは取り消し線が引かれて選択できません。選べるのは「電子マネー(Vプリカ発行コード)」のみです。
次の画面では、セブンイレブンのマルチコピー機で「Vプリカ」を発行する手順が書いており、続けて、発行されたチケットの写真をアップロードするように求められるのです。Vプリカの画像をアップロードすると、「お支払いが完了しました」と表示されます。
Androidスマートフォンでフィッシングメールのリンクを開いた場合、不正アプリのインストール画面に誘導されることもあるようです。Google Playではマルウェアチェックを行っていますが、それ以外の場所からアプリをインストールするのは基本的に避けた方がよいでしょう。
この手のネット詐欺を回避するには、まず事例を知ることが重要です。国税庁をかたったメールがあり、Vプリカで支払わせようとする、と知っているだけで引っ掛かる可能性が激減します。
今回のフィッシングメールに関しては、よく見れば不審な点が多く、詐欺に気が付くこともできます。文面には中国語のフォントが使われており、そもそも件名からして文字化けしていました。また、「客勛」という見慣れない単語もありますし、リンクをクリックして開いたページも国税庁のURLではないなど、怪しいポイントだらけです。国税庁でも「国税の納付を求める旨や、差押えの執行を予告する旨のショートメッセージやメールも送信しておりません」と注意を呼び掛けています。
電子マネーをコンビニで購入するように要求し、番号が記載されたチケットなどの写真をメールさせるというのもネット詐欺の代表的な手法です。きちんとした組織がこのような方法で支払わせることはありません。「税金の未納」や「差し押さえ」といった説明だけを見て焦らず冷静に対処しましょう。高齢のご両親などがネット詐欺の被害に遭わないように、ぜひこの記事の情報を共有してあげてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
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参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと