[ブックレビュー]「負けからのスタート」だったジョッキーが騎手大賞になるまで–「頂への挑戦」

CNET Japan

 競馬は壮大なビジネスだ。「ラン・ザ・ビジネス」といえば事業を営むという意味だが、文字通り「馬を走らせている騎手」は、この世界でどんな立ち位置にあるかご存じだろうか。

 まず、投資家にあたるのが馬主である。自分の馬をどの厩舎に預けるかを決め、預託料を支払う。社長にあたるのが厩舎の責任者である調教師だ。預かった馬の育成計画を立て、調教助手や厩務員といったスタッフをリードする。馬の運命もスタッフの生活も、調教師にかかっている。

 そしてジョッキーは事業責任者だ。馬の可能性を最大限に発揮し、レースで勝たせる責任を負う。彼らはなによりも結果が求められ、馬券を買う競馬ファンからの期待も一身に背負う。勝てば馬のおかげと言われる一方で、負ければジョッキーのせいにされ、心無い言葉を浴びせられることも珍しくない。

 こんな厳しい世界で2022年に最多勝、最高勝率、最多獲得賞金の三冠を達成し、史上4人目の「騎手大賞」を受賞して競馬史に名を刻んだのが、本書の著者である川田将雅氏だ。「勝者」までの道のりは平坦ではなく、むしろいつも“負けからのスタート”だった。そんな著者から紡ぎ出される言葉には、プロとしての覚悟を感じるものばかりだ。

 本書は、川田氏がトップに至るまでの選択と思考の変遷を綴った1冊である。著者の仕事への向き合い方は、ビジネスの現場で闘う人たちにも大いに参考になるはずだ。たとえ競馬に興味がなくとも、ぜひ本書を手に取ってほしい。ページを開けばきっと、心に刺さるひと言が目に飛び込んでくるだろう。

今回ご紹介した「頂への挑戦負け続けた末につかんだ『勝者』の思考法」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。

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