ここまでの条件を考慮し、2022年夏の時点での注目の製品をピックアップしてみよう。
HDDの注目モデル―IronWolf
一方、2022年夏時点でのHDDのお勧めは、Seagateの「IronWolf」だ。同社のラインアップの中ではNAS向けとして位置付けられているモデルで、160を超える厳しい品質テストをクリアした製品となっている上(詳しくはこちらを参照)、データを保護するための数々の機能が搭載されている。
IronWolfシリーズのメリットとして、まず挙げられるのが、「IHM(IronWolf Health Management)」と呼ばれるHDDの監視機能だ。HDDの監視機能としてはS.M.A.R.T.が有名だが、IHMは、さらに詳細な数百ものパラメーターをHDDから取得し、分析可能となっていて、HDDの健康状態を確実に見抜くことができる。
これにより、データ損失の危険をいち早く検知してユーザーに知らせ、実際にHDDの故障が発生する前に、交換などの対処をすることができるようになる。例えば、異常な温度、HDDの物理的な接続の不具合、NASへの衝撃、設置場所が不安定な場合の振動などが検知できる。
さらに、IronWolfシリーズならではのメリットと言えるのが「Rescueデータ復旧サービス」だ。これにより、3年の間に無料で1回、データ復旧のサービスを受けることができる。万が一のトラブルでも、大切な写真や文書などが失われる可能性を低くできるわけだ。
また、振動を検知するRVセンサーを搭載しており、複数HDDの搭載で共振などが比較的発生しやすいNASでも安定した動作を実現。写真データなどのランダムリード、ライトでの安定したパフォーマンスも実現できる。
なお、IHMの機能は、HDDの分析情報をNAS側がきちんと受けられないと意味がない。QNAPではSeagateと協力し、筐体設計を行っていて、今回レビューしているTS-433もIronWolfのIHMやRescueデータ復旧サービスに対応しているので、これらの機能をNASの管理画面から簡単に利用できる。
ローカルのNASでも、クラウドサービス並みの信頼性を手軽に手に入れられるというわけだ。