巨人・小林誠司の活躍にベンチは大盛り上がりだった。
2022年9月7日のDeNA戦(東京ドーム)に「8番・捕手」でスタメン出場すると、2点リードの4回1死一、二塁で浜口遥大のチェンジアップを振り抜き、左翼フェンス直撃の適時二塁打。守備面でも2年目右腕、山崎伊織投手を好リードで引っ張った。チームは18-3で大勝。7回4安打1失点の快投で5勝目をマークした山崎は「(小林)誠司さんと試合前から入念にしっかり打ち合わせを一緒にして凄い引っ張ってくれたなと思います。ありがとうございます、誠司さん」と感謝を口にした。
「配球に工夫を感じましたね」
「DeNA打線は最後まで的を絞れなかったですね。山崎はシュートのイメージが強いですが、小林はカットボール、フォークを巧みに使っていた。配球に工夫を感じましたね。山崎の新たな良さを引き出していた。テンポよく投げていたのも、打線が爆発する要因だったと思います」(スポーツ紙デスク)
今季28試合目のスタメン出場と出場機会に恵まれない小林だが、打者心理を見透かした配球術はさすがだ。強打者相手にも内角を臆せず要求する。打率.143と打撃が課題だが、他球団の首脳陣は「小林のリードと強肩で失点をどれだけ防いでいるか。もっと評価されてもいい選手だと思いますけどね」と語る。
一方で正捕手の座をつかみきれないのが、大城卓三だ。今季はチーム最多の89試合で先発マスクをかぶるが、配球面で野球評論家から批判の声が少なくない。自慢の打撃でも打率.252、11本塁打と圧倒的な数字を残しているわけではない。
19年に原辰徳監督が就任以降は小林が年々出場機会を減らし、大城が正捕手格として稼働してきた。ただ、Bクラスに低迷している現状で大城の評価が揺らいでいることは確かだ。小林は33歳とベテランの域に足を踏み入れる世代になり、大城も29歳と若手と言える年齢ではない。互いにプライドもあるだろう。CS進出に向け、巨人の正捕手争いも注目される。(中町顕吾)