ご縁がありますようにと、神仏に祈った経験は誰しもあると思うが、縁を切れますようにと願ったことは、あまりないのではないだろうか。
よくない縁を断ち切るためのパワースポットは、日本各地に存在している。その中でも有名なのが、群馬県にある縁切寺「満徳寺」。
そこでは悪縁を切り、良縁を結ぶ “祈願トイレ” なるものが密かに人気になっている。どうやら、願いを書いたお札(ふだ)を霊験あらたかなトイレに流すらしいのだ。えっ……お札をトイレに!? ふふ、おもしろい。なんだかいろいろとスッキリできそうじゃないか。
・江戸幕府公認の由緒正しき縁切寺
というわけで、やってきたのが群馬県太田市にある「縁切寺満徳寺資料館」。
……あれ、資料館? お寺の中に例のトイレがあるのでは? ……実は、縁切寺として名を馳せた「満徳寺」はとっくの昔に廃寺。祈願トイレなるものは、その跡地に建てられた資料館の中にあるようだ。
ちなみに資料館の隣では、見事に復元された満徳寺を見学できるぞ。江戸時代、ここは女性がDV夫から逃れるために駆け込んだ避難所だったらしい。幕府公認の由緒正しき縁切寺で、いまでいう家庭裁判所の役割も担っていたようだ。なんとまあ、昔からDVシェルターがあったとは驚いた。
・祈願トイレのある資料館へ
さてさてそれでは、用を足すため……もとい悪縁を断ち切るため、いざ入館。
受付にて入館料200円を支払う。プラス200円で縁切・縁結用のお札を購入可能。これに願いを書き入れて専用トイレに流すのか……興味深いな。
おっ! 館内けっこうキレイ。この資料館では、先ほどチラッと紹介した満徳寺の歴史や当時の庶民の離婚事情なども学ぶことができる。
……一通り見学し終えたところで、いよいよ “トイレ” に行ってみよう。あっ、その前にお札におまじないをしないと!
……
……よし、書き終わった!
・摩訶不思議なトイレ
堂々たる祈願トイレの入り口。なんだかカッコイイ。二手に分かれているが、男性用・女性用というわけではなく、どちらも同じような空間が広がっているとのこと。それじゃあ、筆者は右手側のトイレで祈願してみよっと。ワクワクしながら覗いてみると……
ッ!!
スタイリッシュ!!
な、なんだこのトイレ……めっちゃオシャレ。旅館の中庭っぽいし、和式便器が2つもあってシュール。
白い便器が縁切用で、黒い便器が縁結用か。ふむふむ、なるほど。流す順番に気をつけなくては。
えーっと、まずは白(縁切札)からだな。ドキドキするぜ。これで独身ともおさらば……か。
こんな感じに浸して……祈る。
そして……
流す!
……あばよ。
……うん、なんとなくスッキリした。レバーを押した後は達成感があって気持ちいいな。縁切札が吸い込まれていく様は見ていておもしろい。
さぁーて、最後は黒(縁結札)だ。さっきのおまじないで悪縁は断ち切れているはず! きっといい出会いがあるに違いない!
ていねいにセットして……祈る。
どうか……どうか……
よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!
吸い込まれる前に水圧でビリビリ破れていくのを目にしてしまったが、多分大丈夫だろう。……これにて縁切り・縁結びの儀式は終了!
ほんのりと不思議なパワーがみなぎってくるようだぜ。ふふ……やってみてよかった。このお札とトイレ、なかなかいいもんだな。人に見られる心配がないから、赤裸々なことを書いても安心。ストレス解消にもオススメだと思う。
はじめは、縁切寺って怖そうだなと思っていたけれど、全然そんなことはなかった。むしろ、おもしろい。祈願トイレはもちろんのこと、縁切寺が駆け込み寺とも呼ばれていたり、DVシェルターなどの役割を担っていたり、いろいろと学べたのは感慨深かったなぁ。
この「縁切寺満徳寺資料館」、機会があれば1度足を運んでみてほしい。きっとステキな縁に巡りあえるはずだ。
・今回ご紹介した施設の詳細データ
名称 太田市立縁切寺満徳寺資料館
住所 群馬県太田市徳川町385-1
時間 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休日 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日) / 年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)
料金 大人200円 / 団体(20名以上)160円 / 中学生以下無料
執筆:古沢崇道
Photo:RocketNews24.