「ユーザーフレンドリーな マーケットプレイス で独自性を極める」:eテーラー アタリーのK・バーン氏とA・シュルマン氏

DIGIDAY

eコマース市場は活況を呈してはいるが、スコットランド拠点のeテーラー、アタリー(Atterley)は差別化を図っている。同社を率いるのは、元ナスティギャル(Nasty Gal)の共同CEOであるケリー・バーン氏と、イギリス版ヴォーグの編集長を務めた経歴を持つ最高トレンド責任者のアレクサンドラ・シュルマン氏をはじめとする強力なチームだ。

バーン氏とシュルマン氏のリーダーシップの下、アタリーは、米Glossyポッドキャストの最新エピソードでのバーン氏の言葉を借りると、「世界中のブティックをサポートするマーケットプレイス、そして独立ショッピングの精神におけるチャンピオン」という同社のビジネスモデルを評価する購入者のあいだでリーチを拡大している。

今年、アタリーは米国の消費者基盤を拡大することに尽力している。両者によると、現時点で同社にとって、米国は2番目に大きくもっとも速く成長している市場だという。両者は消費者にユニークなオンラインショッピング体験を提供する同社の能力を意識しながら、ブランド認知度を高めることにフォーカスしている。

「アタリーの真の強みは低価格帯であるが、ハイストリート以上であり、他国では知られていないブランドを提供していること。米国では、当社が扱っている製品の多くは当社以外では見つけられないエキサイティングで新しいブランドであると確信している」とシュルマン氏。

以下、ポッドキャストで語られた内容を読みやすさのために編集を加えて紹介する。

長期的なパートナーシップの構築

バーン氏:「(小売業者の多くにとって、パンデミック真っ只中の大問題は)店舗にある製品を実際にどのように販売するのかということだった。アタリーはその問題解決のためのライフラインだった。パンデミックのあいだ、当社チームは世界中の多くのブティックと非常に強固な関係を築いて、ブティックらに別の小売方法を考えるように促した。ブティックの多くは、パンデミックを経てより洗練された自社eコマースを行っている」。

差別化のポイント

シュルマン氏:「アタリーはファーフェッチ(Farfetch)とは異なる。ある意味、親しい関係を築いている村のようなコミュニティであり、非常にユーザフレンドリーだ。アタリーを使ってみればとても魅力的なことがわかる。手間はなく、快適に利用することが可能だ」。

バーン氏:「ブティックの舞台裏にいる人々にスポットライトを当てるために多くの作業をしている。具体的には、うまくいっている機能、我々が察知しているトレンド、パートナーが気づき、当社がサポートできる部分、新規ブランドの可視性を高められる部分などについて、パートナーらと毎日話し合っている。デパートでは入手しにくいような新規ブランド、雑誌やウェブサイトを探し回らなければ見つけられないような新規ブランドを知ってもらえること、これはアタリーの最大のセールスポイントのひとつだろう。我々はすべてを1カ所にまとめ、顧客に対して訴求をしている。あるブランドが好きな人に同じ価格帯で似たようなブランドを紹介することができる」。

メンズウェアの戦略

シュルマン氏:「実際、アタリーでは男性の購入客の割合がかなり高く、また増加している。私自身これは当社の大きな成長分野だと感じている。男性はeコマースが好きで、その利便性を気に入っているようだ。トップファッションに傾倒している男性をのぞいて、ほとんどの男性は自分が着たいものを見つけたら何度も同じものを購入する。これはアタリーではとても簡単に実現できることだ。男性は女性ほどトレンドには関心がないので、男性のオーディエンスとつながるという点ではそれほど関連性は高くない」。

バーン氏:「男性向けの最大のマーケティングチャネルはおそらく当社のCRMメール戦略だ。男性は『これがドレスの一覧です』というような情報には興味がない。彼らは自分の好きなブランドを知っており、定番ブランドを利用し続けるので、我々はパーソナライゼーションに努めている。当社の観点からはメンズウェア向けのメールのパーソナライゼーションは非常に重要だ」。

米国市場の機会

バーン氏:「世界的に、そして特に米国でブランド認知度を高めることと、デジタル面、つまり効率的なマーケティングに注力している。また、費用対効果の高いチャネルでリターンを促進することも重要だ。今年は米国でのカスタマーエクスペリエンスに焦点を当てたい。米国は当社にとって2番目に大きな市場であり、米国の顧客に最高のエクスペリエンスを提供したいと思っている。当社は米国専用のショッピングサイトや、市場でのより良いロジスティクスオプションなどについて検討している。

また商品の返品の場合には、配送業者を確実に手配して米国の顧客が簡単に返品できるようにしたい。さらに、言語面で米国の顧客の共感を呼べるような言いまわしを使うようにもしている。米国市場に精通して、当サイトに来る顧客すべてに気に入ったものを見つけてもらい、簡単に決済できるようにしている。我々は米国での高成長を目指している。それには顧客体験とブランド認知度が重要だ」。

[原文:Atterley’s Kelly Byrne and Alexandra Shulman on building a ‘more user-friendly’ fashion marketplace

TATIANA PILE(翻訳:ぬえよしこ、編集:猿渡さとみ)

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