株式会社マネーフォワードは8月24日、請求書の受領とデータ化に特化したサービス「マネーフォワード クラウドインボイス」の提供を開始した。紙やメールなど異なる形式の請求書を一括で受領し、オンラインで一括管理できるようにするもの。改正電子帳簿保存法に対応しているほか、2023年10月に開始されるインボイス制度にも対応予定。中堅・エンタープライズ企業向けとなっており、料金は要問い合わせ。
取引先から郵送されてくる紙の請求書は、指定の住所で代理受領・スキャン代行し、AI-OCRでの即時データ化およびオペレーターによる人力補正により高い精度でデータ化する。メール添付の請求書については、専用メールアドレスに送付することでデータを自動的に取り込む機能を9月にリリース予定。さらに2022年中には、取引先企業がクラウドインボイスに請求書をアップロードするための機能もリリース予定だ。
電子帳簿保存法では、郵送など紙で送られてくる請求書をスキャンなどしてデータ化して保存する際の「スキャナ保存要件」と、メールやウェブサービスなどデータで送られてくる請求書を保存する際の「電子取引要件」があるが、クラウドインボイスでは、これら2つの要件いずれにも対応。タイムスタンプの付与、解像度・階調の自動チェック、検索要件のデータ化により、電子帳簿保存法に則った保存が可能だとしている。
インボイス制度への対応は、同制度がスタートする2023年10月からを予定している。同制度では、適格請求書(インボイス)を受領した際に、適格請求書発行事業者の登録番号を確認し、消費税区分を把握する必要があるが、クラウドインボイスでは、国税庁のAPIと連携することで自動で適格請求書発行事業者かを判別し、仕入税額控除の対象か否かを判定できるようにする。
マネーフォワードが提供する請求書受理領域のサービスとしては「マネーフォワード クラウド債務支払」があるが、同サービスは請求書の受理・データ化だけでなく、承認ワークフローや支払処理、仕訳までカバーする。これに対してクラウドインボイスは、請求書の受理・データ化に特化しているという点で違いがある。そのため、企業がすでに運用している基幹システムに対して、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応で求められる請求書の受領・管理機能を、クラウドインボイスによって後付け導入することも想定。クラウドインボイスの外部公開用のAPIも用意し、企業の基幹システムとの連携も行えるようにする。