全長170km・高さ500mの鏡張り巨大空間に900万人を詰め込む未来都市計画「THE LINE」をサウジアラビア皇太子が発表

GIGAZINE
2022年08月04日 07時00分
動画



現地時間の2022年7月26日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が紅海沿岸に建設予定の未来都市「THE LINE」のデザインを発表しました。THE LINEはサウジアラビアのスマートシティ計画「NEOM」の一環であり、高さ500m・幅200m・全長170kmというライン状の鏡張り建造物の中で、900万人もの人々が健康的かつ持続可能な生活を送れるとのことです。

كيف يهدف خط نيوم إلى تحقيق الانسجام بين التنمية الحضرية والحفاظ على الطبيعة في المملكة العربية السعودية | Khaleej Talks
https://khaleejtalks.com/politics/38002.html

THE LINE
https://www.neom.com/ja-jp/regions/theline

Saudi Arabia The Line: Designs unveiled for one-building city as part of the Neom project – CNN Style
https://edition.cnn.com/style/article/saudi-arabia-the-line-city-scli-intl/index.html

記事作成時点では世界人口の約56%が都市に住んでいるため、都市の持続可能性と公共福祉は各国政府にとって重要な課題となっています。都市が抱えるさまざまな問題を解決するため、サウジアラビア政府は革命的なスマートシティ構想である「NEOM」と、その先駆的な建造物である「THE LINE」を通じて、これまでの概念を覆す都市空間の定義を試みているとのこと。

7月26日にサルマン皇太子が発表したTHE LINEの計画やデザインについて説明する動画が、YouTubeで公開されています。

NEOM | What is THE LINE? – YouTube
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人間は長らく、自然を無視した汚染された都市の中で生きてきました。


平面上に広がっていた都市を高密度で統合し……


まるで1本の線のような都市を作ろうというのが、THE LINEの基本構想です。THE LINEは高さ500m・幅200m・全長170kmという規模で建造され、わずか34平方kmの面積に900万人もの人々が暮らせるとのこと。都市面積を減らして居住密度を向上させることによってインフラの設置面積を削減し、これまでにないほど効率的に都市を機能させられるとTHE LINEは主張しています。


2枚の壁に囲まれた3次元空間の都市では……


生活に必要なさまざまな施設までわずか徒歩5分以内で到達することができます。車の交通を減らすことで二酸化炭素排出量の削減につながるとされています。


また、都市内部には高速リニアも開通しており、端から端まで20分で移動できるとのこと。


人々の時間と労力を節約するため、AIの活用による自律的なサービス提供を目指しています。


外壁は鏡張りであり……


自然換気システムを利用して、内部は1年中やや暖かい程度の気候に保たれるとのこと。


THE LINE内部で必要とされるエネルギーと水は100%再生可能。


約8万人が居住できるモジュールが相互に連結した構造になっています。


すぐに周辺の自然にアクセスできる点も魅力です。


サウジアラビア北西部という立地はその他の国々へのアクセスにも便利で、世界人口の40%に空路を使って6時間以内にアクセスできるそうです。


THE LINEの内部は複数の階層が重なった構造になっており、各階層では約2分歩くだけで自然と触れ合えるとのこと。


垂直式の都市では先進テクノロジーを利用した計画物流やモジュラー型建設で効率性が高められ、高い密度で人々が住むことで豊かな体験とビジネスチャンスが生み出されると主張しています。


サルマン皇太子は公式サイトへの声名で、「THE LINEは今日の都会暮らしをする人間が直面する課題に取り組み、新たな暮らし方に光を当てていきます。世界各地の都市が直面する暮らしやすさの問題や環境危機を無視することはできません。NEOMはこうした課題に対処する最前線に立ち、新たな、想像力豊かなソリューションを提供していきます。NEOMは設計、光学、建設の優秀な人材によるチームを率いて、上に向かうビルというアイデアを現実にします」と述べています。

海外メディアのCNNは、批評家の中にはTHE LINEの実現可能性に疑念を投げかける声が上がっているほか、都市そのものを「ディストピア的」と表現する人々もいると指摘。また、サウジアラビアでは強権的な政府によって厳しい死刑制度が維持されていることや、2018年に反体制派のジャーナリストだったジャマル・カショギ氏が暗殺されたこと、外国人労働者が搾取的な環境で労働させられていることなどの問題を挙げています。

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