ステフ・シェップがZ世代向けフレグランスブランド、スニフとコラボし「スガナミ」をリリースした理由

DIGIDAY

ステファニー・スガナミ・シェパード氏(インスタフォロワー数180万人のステフ・シェップ @steph_shep)については、キム・カーダシアンとのつながりでご存じの方もいるかもしれない。シェパード氏はカーダシアンの元アシスタントだ。しかし近年、同氏は自らの力で成功を手にし、さまざまな肩書を持つ著名人として知られている。

2019年、シェパード氏はNPOのフューチャー・アース(Future Earth)を設立した。38万3000人のインスタフォロワーに気候危機に関する情報を提供する「気候クラブ」だ。さらに2022年4月には生分解性ボディウォッシュで知られるボディケアブランド、プラス(Plus)のチーフインパクトオフィサーに就任した。そんなシェパード氏が最新のプロジェクト、Z世代向けのフレグランスブランド、スニフ(Snif)とコラボレーションした製品で、ビューティ界のど真ん中に打って出る。とはいえこのプロジェクトも、期せずしてカーダシアンとつながっているようだ。スニフの共同創業者であるフィル・リポルテラ氏は、カーダシアン家の親友として知られるサイモン・ハック氏の配偶者なのだ。フレグランスの名前は「スガナミ(Suganami)」で、シェパード氏の日本語の苗字にちなんでいるという。

スニフの共同創業者であるブライアン・エドワーズ氏は、今回のプロジェクトが同社にとって4番目のコラボレーションだと説明したうえで、次のように述べた。「当社の素晴らしい点のひとつは、大好きな人びとやブランドとクールなコラボレーションを実現できることだ」。

どの瞬間を香りとして表現したいかを明確にわかっていたシェパード氏にとって、スニフとの「スガナミ」開発プロセスはスムーズなものだったようだ。「20代半ば、パリ・コレクションにしょっちゅう行っていたあの頃、大勢の仲間たちに囲まれていた当時にフォーカスしたいと考えた。いまみたいに、何でもかんでもソーシャルメディアではなかった頃に。あの頃はもっと自由に動き、物事を掘り下げ、夜遊びができた。いまよりも気ままで、屈託のないエネルギーにあふれていた。宝物みたいな時間だった」。

では、インスタグラム以前の時代とは一体どのような香りだったのだろうか。「煙、遊び仲間の男性たち、お気に入りのお店の匂い」とシェパード氏は説明し、「アーシーな、シックで洗練されていながら、大地を身近に感じられるような」香りをめざしたと付け加えた。スニフのホームページでは、ジェンダーレスな製品だと紹介し、次のように香りを説明している。「アンゼリカの種子(グリーン系でスパイシー)、コリアンダー、アイリス、バラ、サイプレス、ミルラ(温かみがありアーシー)、アンバー、シダーウッド、クリーミーなムスク」。

スニフにとって、シェパード氏とのコラボは同ブランドのサステナビリティイニシアチブを新たな次元へと引き上げる助けにもなったようだ。「コラボレーションではいつも初めての試みに挑戦している。『スガナミ』の場合、ステファニー(シェパード氏)と一緒にサステナビリティをさらに追求し、100%生分解性のパッケージを採用したほか、ほかのどのフレグランスとも違う素晴らしい香りをデザインできた」とエドワーズ氏は語っている。

では、シェパード氏にとってのフレグランスとは? 「美容のルーチンの一環として愛用している。フレグランスは身支度の仕上げ、完璧なおしゃれのために誰もが最後に使うものだ」。

シェパード氏はエルメス(Hermès)のオーデメルヴェイユディオール(Dior)のジャドール、マイケル・マイケル・コースなど、人生の前章を彩り、慣れ親しんできたフレグランスをいまも愛用しているという。「私の人生は、フレグランスとともに振り返ることができる。よく使っていたフレグランスをかぐと、『ああ、あの頃だわ』と思う。時には香りを楽しんで、『不思議、20歳に戻ったみたい』と思ったりもする」と同氏は笑った。

シェパード氏が揺るぎない環境保護主義者であることを考えれば、世界にまたひとつ新製品をもたらすのは矛盾しているように見えるかもしれない。だが同氏は、サステナビリティの完璧なお手本になれる人間などいないとわかっているようだ。

「この4年間、サステナビリティについて毎日考えてきた。もちろん、もっともサステナブルなアプローチは、新製品を作らないこと、買い物を減らすこと。『サステナブルに暮らすための最良のヒントを誰かにあげるとしたら? 』とよく訊かれるが、『買い物を控えなさい』と答えている。私たちはまさに過剰消費と大量消費の時代に生きていて、社会もそれに支配されている。誰もが新製品を必要とし、私もその風潮にすっかり染まっている。完璧なサステナビリティを体現しているふりをするつもりなどないし、現にそのような人間ではない。解決策やより良い代替品を精一杯すすめているだけだ」。

その一方で同氏は、「創造性を抑えつけ、イノベーションを否定し、芸術を生まず、互いの暮らしに役立つ製品や人びとを心地よくする製品を生み出さない」ような世界は誰も望んでいないと指摘し、「そうしたこともやっぱり大切だから」と説明した。

シェパード氏は、気候危機について学ぶなかで、消費者が不当に責任を負わされている現実を知るようになったともいう。「リサイクルがよい例だ。リサイクルは消費者の責任だと言われる。でも、なぜ企業の半分は、何年間もごみ埋め立て地に捨てておくしかないような製品を作るのをやめないのか? 責任の所在を見直す必要がある。気候危機に影響をおよぼしている企業も、気候危機のために尽力している企業も少数だからだ」。

シェパード氏が自身のブランド立ち上げに踏み切らないのは、こうした疑問も背景にあるようだ。「サステナブルを理念に掲げるブランドとのコラボレーションを優先し、そうしたブランドとひとつになって、いつでも代弁する立場でいるよう努めている。それなら、自分のブランドを立ち上げる必要もない」。

[原文:Steph Shep teams up with Snif for first fragrance, Suganami

(翻訳:SI Japan、編集: 山岸祐加子 )

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