妙高市テレワーク研修交流施設「MYOKO BASE CAMP」(新潟県妙高市大字関川2228番1)が7月16日、グランドオープンする。同日、オープニングイベントが行われ、妙高に関わりのある“越境人材(インタープレナー)”らが登壇するセミナーを開催。なぜ妙高に越境人材が集まるのか、妙高市における関係人口創出・拡大の取り組みなどが語られる予定だ。その模様はZoomウェビナーでもライブ配信され、Peatixで聴講申し込み(無料)を受け付けている。
国内初の“Zoomと連携した公共施設”。コワーキングスペースなどに「Zoom Rooms」対応デバイス設置
MYOKO BASE CAMPは、新潟県妙高市が開設した施設で、国立公園地内の妙高高原・いもり池そばに立地。木造2階建て・延床面積388㎡の建物内には、30分100円から利用できるできるコワーキングスペース、月額制のシェアオフィススペースと個室ワークスペース、時間貸しの会議スペースなど、テレワークが快適に行える環境が整っている。利用には、同施設の公式サイトから事前予約が必要だが、コワーキングスペースは空きがあれば当日利用も可能。複合機やロッカー、貸し出し用のWebカメラやスピーカーフォンなどの備品も用意されている。
MYOKO BASE CAMPの特徴は、Web会議サービスを手掛けるZoomと連携してデザインされた国内初の公共施設だということ。「Powered by Zoom」認定施設としてそのロゴプレートも掲げている。妙高市は昨年、Zoomの日本法人であるZVC JAPAN株式会社らと地域DXのための連携協定を締結しており、MYOKO BASE CAMPの開設もその一環。
具体的には、Zoomの監修の下、デスクやワークチェアを選定。また、「Zoom Rooms」専用デバイスのオールインワンタッチパネルディスプレイ「DTEN」(55インチ)をシェアオフィススペースおよび会議スペースに設置しており、ドキュメント共有やホワイトボード機能などを活用してWeb会議を効率的に行えるようにしている。コミュニティスペースにも同様に、Zoom Roomsに対応したディスプレイが設置される。
なお、同施設のネットワーク環境は、上り/下り最大1Gbpsのベストエフォート回線で、館内のWi-FiはWPA2-PSK(AES)に対応。また、1カ月以上の利用者は有線LANポートも利用できる。
観光客なども利用できる無料のコミュニティスペースもあり、カフェも営業。また、MYOKO BASE CAMPの運営・管理を行なう一般社団法人妙高ツーリズムマネジメントが、チェアリングやサウナなどのアクティビティも提供する予定だという。
なぜ“越境人材”が妙高に集まるのか?その理由に迫るセミナーをオンライン配信
MYOKO BASE CAMPのオープニングイベントとして13時30分から開催する「妙高発・新価値創造セミナー」には、官民連携で関係人口の創出・拡大プロジェクトに取り組む妙高市に関わりのあるキーパーソンらが登壇。働く場所・組織を超えてリソースを提供できる“越境人材(インタープレナー)”をテーマに、基調講演とパネルディスカッションが行なわれる。その模様はZoomウェビナーで無料でオンライン聴講可能だ。
妙高市が取り組む、関係人口の創出・拡大プロジェクトとは
妙高市がMYOKO BASE CAMPのような施設を整備し、越境人材(インタープレナー)をキーワードとして積極的に情報発信するのは、地域の課題解決や関係人口の創出・拡大のために、同市が官民連携で各種プロジェクトに取り組んでいることが背景にある。
まず、ワーケーション事業として推進する「妙高ワーケーション」は、個人の余暇や観光などが主眼のワーケーションではなく、企業の人材育成のための“研修型ワーケーション”“ラーニング型ワーケーション”に軸足を置き、都市部の企業などに向けて訴求しているのが特徴。一般社団法人妙高市グリーン・ツーリズム推進協議会が2020年6月に「妙高ワーケーションセンター」を立ち上げ、受け入れ体制を強化。企業向けのワーケーションプログラムをコーディネートしている。
地方課題解決型官民連携プラットフォーム「みょうこうミライ会議」は、地域住民と行政に加え、都市部の企業が参画し、新たな知見やノウハウを活用した施策立案を進めていくプロジェクトとして2020年度から展開。これまでに日本マイクロソフト、ダイハツ工業、スズキ自動車、ワーナーミュージック、面白法人カヤック、共同通信などの企業が参画したという。
2022年度に実施中の地方創生人材活用事業「100DIVE」は、地域資源を活用した“100のローカルビジネス”を立ち上げ、関係人口の創出につなげるプロジェクトだ。特徴は、そうしたビジネスを“計画”ではなく“人”を起点として実現していくというやり方。地域の課題解決をビジネスにしたい人材を募集し、推進チームを組成して計画を作成。資金調達、事業立ち上げまでをサポートしていくという。参加者は、都市部で働きながら、地域や事業創出への意識の高い層をリクルーティングするとしている。
今回グランドオープンしたMYOKO BASE CAMPも、こうした取り組みの一環。ワーケーションなどの受け入れ拠点とすべく、妙高市が約1億5000万円かけて整備した。すでに「妙高ワーケーション」などの取り組みを展開しており、民間の宿泊施設も多数ある妙高高原エリアだが、これまでは中心的な役割を果たす施設がなかったのが課題だったのだという。
同市では、MYOKO BASE CAMPの開設により、都市部の企業やフリーランス、起業を考えている人などの新たな人の流入を加速させて関係人口を創出し、地域課題の解決やローカルビジネスの創出など、新たな価値の創造を目指したいとしている。
なお、グランドオープンの7月16日は、MYOKO BASE CAMPが入館無料となり、自由に見学が可能だ(開館時間は8~20時)。10時からは、妙高市の入村明市長、ZVC JAPANの佐賀文宣社長らも出席して記念式典/テープカットが行なわれる。また、地産地消・フードロス削減など持続可能な食環境に取り組む飲食店や量り売りマーケットなどの販売ブースも出店する。