ビューティインフルエンサーの台頭をもたらしたプラットフォームの元祖であるYouTubeは、ビューティを起爆剤としてショッピングリンク機能の強化を図っている。
ライブストリームショッピング機能の拡大
YouTubeが6月にTikTokに似たショート機能におけるショッパブルリンク機能を発表したとき、頼りにしたカテゴリーはビューティだった。YouTubeは多くのプラットフォームで利用可能になっているソーシャルショッピング革命に進出、6月に開催されたYouTubeビューティフェスティバル(Beauty Festival)でこの拡大中のライブストリームショッピング機能を初めて披露した。
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「ショッピングは巨大なホワイトスペースだ」と述べているのは、YouTubeのファッション・ビューティパートナーシップ責任者、デレク・ブラスバーグ氏だ。「ビューティはYouTubeショッピングの最大のカテゴリーのひとつであり、成長し続けることが期待できる」。
この機能をブランドに利用してもらうために、YouTubeは広告・PR会社のパブリシス(Publicis)とコンサルタント会社のトークショップ(TalkShoppe)との調査を発表した。それによると、YouTube視聴者の70%がYouTubeで見たことからそのブランドの製品を購入したと回答している。
共同ライブストリーミング機能でオーディエンスを2倍に
YouTubeのショッピングパートナーシップのマネージングディレクター、ブリジット・ドーラン氏はビューティクリエイターが「最初からずっと」YouTubeを利用しているという事実を強調する。
「YouTubeでは、ビューティのクリエーターやブランド、視聴者にとってショッピングが重要な要素であると捉えている」と同氏は述べている。「ショッピング全般のカテゴリーとしてビューティが上位にランクされることを期待している。なので、我々はビューティとテクノロジーでショッピング機能のパイロットを始めたのだ」。
YouTubeは多くのソーシャルプラットフォームと同様に、パンデミックの際にショッピング機能を強化し、2020年6月にショッパブル広告を追加、そして2021年7月には厳選されたインフルエンサーによるパイロットプログラムを通じてライブストリームショッピングを追加した。また、最近では2人のインフルエンサーが共同でライブストリームを行える機能も発表している。それぞれのアカウントでホストしてオーディエンスを2倍にすることができるわけだ。また、インフルエンサーが共同ライブストリームのプロモーションリンクを事前に共有できる機能も提供している。
新機能を活用したグロシエの例
グロシエ(Glossier)は、ビューティフェスティバルでYouTubeのショッピング新機能を利用した。グロシエは、フェスティバル期間中のライブストリームショピングとYouTubeショートで新しいNo.1アイライナーペンシルを独占販売した。この製品は事前に100人のインフルエンサーに配布された。
グロシエのグローバルマーケティング担当シニアバイスプレジデント、クレオ・マック氏は次のように述べている。「YouTubeによってビューティ製品の発見が促された。我々はYouTubeのビジョンとパワーとリーチがそれを継続してくれると信じている。コミュニティファーストの強力なアプローチによってライブストリームショッピングは発展を続けるだろう」。
「ショッパブルライブストリームは次世代のホームショッピングだ。ここ米国ではまだ初期段階だが、アジアでのソーシャルショッピングの成功を考えると飛躍的な可能性を秘めていると思う」と述べているのは、ジャッキー・アイナ氏のブランド、フォーエバームード(Forvr Mood)のプレジデント、エイシャ・ココ氏だ。フォーエバームードはYouTubeビューティーフェスティバルに参加していた。
ライブストリームショッピング機能の拡大
YouTubeは、インスタグラムのリール機能やSnapchatのスポットライト機能とともに、TikTokスタイルの短い動画の自社バージョンを制作しているテック大手の1社である。また、同社は、インスタグラムやTikTok、ピンタレストなどライブストリームショッピングを提供するほかのプラットフォームの流れや、ショッピングにフォーカスしたスタートアップの流れに加わっている。スタートアップには、ビューティに特化したプラットフォームのスーパーグレート(Supergreat)やフリップ(Flip)、トークショップライブ(TalkShopLive)、ショップLITライブ(Shop LIT Live)、ポップショップライブ(PopShop Live)、ネットワーク(NTWRK)などがある。
パトリック・スター氏は、自分のブランド、ワン/サイズ(One/Size)を宣伝するイベントでブラスバーグ氏とのライブストリームショッピングビデオに参加したが、インスタグラムやTikTokでもライブストリームショッピングに関与している。スター氏はこの機能を「インタラクティブで没入型の魅力的な購入方法」だと説明している。
オラプレックス(Olaplex)は、インフルエンサーのマイ・ファム氏を起用したライブストリームでビューティフェスティバルに参加。同社CEOのジュイ・ウォン氏によると、オラプレックスは「主にエンゲージメントと教育とコンバージョンのために」YouTubeを利用しているという。また、YouTubeショートを「探索」しているところでもあるという。「しかし、当社はYouTubeのロングフォーマットの成功にも引き続きフォーカスする」。
[原文:YouTube relies on beauty to bolster shoppable livestream and short video features]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)