「持続可能性だけでなく、 再生 の必要性。時代を先取りし、コスメの革命を目指す」:ラッシュ 共同創設者ロウェナ・バード氏

DIGIDAY

1989年、ビューティブランド、ラッシュ(Lush)の共同創業者6人が作ったバスボムは象徴的な製品だった。以来、同社は前進し続けている。

ラッシュはエシカルなビューティブランドとして1995年に正式に設立、現在では世界中に1000店近い店舗を構え、うち210店が米国にある。D2Cサイトとラッシュの実店舗でバス・スキン・ヘア製品が販売されている。今日ビューティブランドが卸売販売に対するニーズを抱えているなか、ラッシュは独立性を維持し、独自のアジェンダを設定している。

共同創設者のひとりであるロウェナ・バード氏は、Glossyビューティポッドキャストの最新エピソードで、「我々はコスメの革命を起こして、皆にもそれに参加してもらえるように試みている」と述べている。

ラッシュは当初から常にミニマリズムとアクティビズムを支持してきた。早い段階において、わずかな予算で、共同創業者たちは余分なパッケージを最小限に抑えることを決定した。これは今日まで維持されているラッシュのDNAの一部である。現在、ラッシュの製品の60%近くがパッケージなしで販売されており、これらは「ネイキッド(naked)」と呼ばれている。

同社の革命的なアジェンダは社会的平等のためのキャンペーンにも及んでいる。ラッシュは消費者向けの社会的平等の教育の一形態として店内キャンペーンを行っている。その例には、2015年の「ゲイはOK(Gay is OK)」という英国にフォーカスしたキャンペーンがある。2015年、ラッシュは限定版のラブソープ(Love Soap)を発売する際に小売店を広告塔として使った。売り上げの100%がLGBTQ+コミュニティを支援するラブファンド(Love Fund)に送られ、当時40万ドル(約5430万円)近くが集まった。今年5月、この限定版石けんが復活して、フロリダ州の「ゲイと言ってはいけない(Don’t Say Gay)」法案を消費者に知ってもらうために使われた。

2021年、調査により若者に対するソーシャルメディアの有害性が判明したあと、ラッシュはソーシャルメディアに対しても大胆な態度を示した。ラッシュは世界レベルでインスタグラム、TikTok、Snapchat、Facebookを離れた。同社のインスタグラムページにアクセスすると「ほかのところへ行って(Be somewhere else)」というフレーズになる9投稿が表示される。これは売上とブランド認知度にネガティブな影響があるが、バード氏は「銀行の残高ではなく倫理に目を向けて、何をすべきかを考えなければならない」と述べている。

創業以来常に時代を先取りしてきたラッシュだが、それは変わることなく、革新的な計画がいくつも進行中である。同社はパッケージの削減や鮮度を保つために自己保存できる製品の開発を継続して、カーボンポジティブ企業になることを目指している。

以下、対談の内容をわかりやすく若干編集して紹介する。

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速度よりも品質重視

「(ビューティは)シリアスで科学っぽくなくてはならないわけではない。科学的っぽくないほうが好ましい。科学的な成分が使われている場合、効果が解明されているほど長期間は使われていないので皮膚への長期的な影響はわからない。ラッシュの製品の優れた点は、試行錯誤を経て肌や髪、心身への効果が判明している成分を使用しているところだ。地元の農家や世界中の生産者、優れた規範を設定している人々から素材を調達している。なので、製品に使われている成分の品質を正確に知っている。これは我々にとって非常に重要だ。我々はファストコスメではない。品質を意味している」。

再生の必要性

「当社にとって持続可能性だけでは十分ではない。再生的でなければ。自分が協働する人々や地球、環境、動物、人々のために物事を良くしていかなければならない。そうすれば、ヤシのプランテーションを維持したり、再生的になって、森林を生かしたり、やせた土壌にパーマカルチャーをもたらしたり、土地を再生して作物が育つ肥沃な場所にすることができる。簡単ではないが可能なコースだ。そして、これこそが我々が取るべき唯一のコースである」。

意義のあるマーケティング

「我々は実施するキャンペーンを厳選している。我々が行っているものには、特に英国では、思っているような形で人々の注意を引くことができないかもしれないもの、表面化しないかもしれないものがある。8年前、英国で「Gay is OK」キャンペーンを実施した。フロリダ州の「ゲイと言ってはいけない」法案について知ったとき、これについて消費者に知ってもらうために(英国のキャンペーンで使った)あの石鹸を再び使うときが来たと思った。重要なのは、読者を惹きつけるためにタブロイド紙が取り上げる面ではなく、その反対側の視点を与えることだ。そのためにはショッキングでなければならない。我々はこの石けんを作りオンラインで販売した。オンラインは米国全土で、そしてフロリダでは店舗でも。オンラインではすぐ売り切れた。石けんからの全資金は、関係ある家族が自分たちにどのような影響が及ぶのかを理解するための支援に使われる」。

[原文:‘We’re trying to create a cosmetic revolution’: Lush’s Rowena Bird on being ahead of the curve

REBECCA RUSSO(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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