米テキサスの野火の件数が3倍に。干ばつなのに花火やるからだぞ

GIZMODO

花火はいいけど、火花はだめ。

7月4日の月曜日は、アメリカの独立記念日でした。パンデミックが始まってから、独立記念日の大きなイベントが度々中止になったのですが、今年はテキサス州のほとんどの地域で、週末から月曜日にかけてパンデミック前と同規模のイベントが行なわれました。ここダラスでも、2年連続中止になった花火イベントが帰ってきて大盛り上がり。でも、テキサスは今酷暑で干ばつの最中。帰ってくるタイミングが寅さん並みに悪い。

禁止されてても花火やりまくり

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Video: Kenji P. Miyajima

この熱波の中で人が集まるイベントを本気でやってるのか見に行こうとしたんですが、折り悪く車が故障してしまいました。仕方なく近所をうろついてみたんですが、家から徒歩3分のスーパーの駐車場まで行ったあたりで四方八方から聞こえてくる花火の音。1カ所や2カ所じゃなく、絶え間なくどこかから聞こえてきます。独立記念日を楽しみにしていた人たちが、個人的にやっているようでした。

干ばつがひどくなってきて、熱波が続いて雨も降ってなくて、空気も乾燥しまくっているのに、どうして花火やるかな。パンデミックとは違う意味でめちゃめちゃ危ないやん。

そもそも、ダラスはいつどんなときも市内での打ち上げ花火は禁止です。通報されて警察に見つかると、最高で2,000ドル(27万円)の罰金です。市内では花火の売買も禁止されているので、みんなわざわざ遠くに花火を買いにでかけているってことに。

なんでみんなこんなに堂々と法律違反してるんだ? 打ち上げ花火なんて隠れてこっそりできないのに。罰金上等ってこと? 潔すぎるのか、何も考えていないのか…。

許可を得てやった花火イベントはえらいことに

どうしても風情を味わいたいなら法律に反してまでショボい花火を上げて満足していないで、フォートワースで開催された「北テキサス最大規模の花火」(と豪語。真偽は不明)のようなイベントに足を運べばいいんですよ。地域の水道を管理している団体が主催、テレビ局や企業などが協賛して毎年やっています。罰金も取られないし、まちがって火事になるリスクも避けられるってもんです。

と、思っていたんですが。

数千人の観客が集まって、メインの花火イベントがトリニティー・リバーの河川敷で始まったときの映像です。9分あたりからご覧ください。

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Image: FOX 4 Dallas-Fort Worth / YouTube

ホイットニー・ヒューストンが1991年のスーパーボウルで魅せた伝説の国歌斉唱に乗って花火の打ち上げがスタート。最後の盛り上がるパートで、よく見ると地面が燃えてる気が。ブルース・スプリングスティーンの「Born in the USA」が流れる中で火は広がり、ケイティ・ペリーの「Fireworks」やブルーノ・マーズの「Uptown Funk」あたりではさらに広がって、仕掛け花火と言い張れないレベルに。そして動画の16分過ぎに中断。その後、花火の中止が決定、お開きに。

主催者によると、花火を上げる前に河川敷には水をまいたんだけどとのこと。そんなのあっという間に乾くに決まってんじゃん。干ばつの意味わかってんのかな…。「花火だけにパッと散りましたね」と皮肉も言いたくなります。

野火も多発、消防当局が「火はやめろ」と言っていたのに

Image: NBC DFW

ダラス市と同じく、フォートワース市でも花火は禁止されています。なのに、どうしても花火を上げずにはいられない人がたくさんいるみたいで、市内で野火が発生しまくりで消防局は火消しどころか火の車。もう意味がわかりません。

独立記念日当日にフォートワース消防局に寄せられた野火の通報が多かったため、当局は「とても乾燥して強風も吹いており、大変危険な状況です。ひとつの火花で手がつけられなくなります」と、注意というか「いい加減にしてくれ」という心の叫びのような呼びかけをしていました。

最終的に、7月4日が終わった時点で、フォートワース消防局が受けた野火の通報件数は、前年の77件より126件も多いなんと203件! 去年のほぼ3倍日付が変わってからの分も含めると、250件を超えたそうです。「Happy Birthday, America!」と言って祝うアメリカ人にとって、独立記念日はバースデーパーティーで、花火はクラッカーと同じ。パーティーに欠かせないものだっていうのはわかるんです。愛する国の誕生日を派手に祝いたい。わかるんです。でも、それでもやっぱり、時と場合をちゃんとわきまえてほしいと思います。家族や友人と過ごすことなく、防げるはずの火を消すために走り回らされた消防士と警察のみなさんは、怒り心頭で頭から火花が散っていたかも。

発生件数増加の原因は、干ばつか

この花火イベント、去年は何事もなく終わっているんです。フォートワース市での野火発生件数も、約3分の1くらいですみました。77件でも多いだろ、とは思いますが…。じゃあ、どうして今年はこんなに野火が多かったのかというと、深刻化してきた干ばつと、最近の熱波によって空気が非常に乾燥していたことが影響したんでしょう。

酷暑22_02_2021干ばつ地図
Image: U.S. Drought Monitor(米干ばつモニター)
酷暑22_02_2022干ばつ地図
Image: U.S. Drought Monitor(米干ばつモニター)

これらの地図は、テキサス州の干ばつ状況を表しています。上が2021年の6月末時点で、下が今年の6月末時点です。もう一目瞭然ですよね。フォートワース市が属するタラント郡の95%が厳しい干ばつ(D2 Severe Drought)下にあったそうです。

こんな時に花火を上げて盛り上がっている場合じゃないんです。自治体が大規模なイベントをやったり許可したりしちゃったら、朝から独立記念日で盛り上がってアルコールも入った人たちがヒャッハー! ってなるのもしょうがないような気もします。

とはいえ、住宅地で花火を打ち上げたら屋根の上に落ちて、枯葉に燃え移って燃える可能性だってあるでしょう。今のように極端に乾燥していたり風が強かったりするときに火遊びをしちゃいけないって、そんなに難しいことじゃないはずだと思うんですが。自治体が毅然(きぜん)とした措置を取らないと、干ばつのたびに同じことが起こる気しかしないんだけど…。

そういえば、僕はこれをリス先輩の記事で予言していたんですよね。

「ダラスで山火事。花火が原因か」なんて記事、書かせんといてよ!

って。でも、予知能力なんてなくても、こんなわかりやすい行動パターンだったら悲しいけど予想できちゃいますよね。そして、あと半年で新年の花火がやってきます。「ダラスで野火。新年を祝う花火が原因か」なんて記事、書かせんといてよ!

Reference: Fair Park Dallas, Culture Map Dallas, Dallas Morning News, NBC DFW, Fort Worth’s Fourth, FOX 4 Dallas-Fort Worth / YouTube, City of Fort Worth, Fort Worth Fire Department / Twitter (1, 2), CBS DFW, Forth Worth Star-Telegram, KERA News

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