特急「かもめ」に乗ってみた → どう見てもカモメじゃねぇ! / 新幹線開通後に特急が滅ぶ肥前鹿島~長崎間はどんな感じなのか?

ロケットニュース24

2022年の秋に開業が予定されている西九州新幹線。名称は「かもめ」。しかし2021年の夏に仕事でたまたま九州に行った際、肥前山口から長崎までの特急電車の切符を買ったのだが、それも「かもめ」だった。特急かもめ

「かもめ」って新幹線と名前被ってんじゃん。九州民はそんなにカモメが好きなのか? ジョナサン ガチ勢かよ。と思ったら、新幹線の開業後は改名され「リレーかもめ」になるそうだ。

そして、この時に乗ったルートを走る特急は、新幹線の開業と共に滅びるらしい。じゃあ、あの乗車体験は将来的に失われるわけか。新幹線の開業が近づく今、どんな感じだったかレポートしてみることに。

・特急はなくなる

詳しくはJR九州が発表したプレスリリースをご覧頂きたいのだが、今回紹介するルートのうち、肥前浜から長崎間は非電化になるらしい。非電化ということは、今走っているような特急はなくなるということ

JR九州の発表した「運行体型イメージ」でも、特急が走るのは肥前鹿島までであるように描かれている。隣の肥前浜~長崎間は独自に動力を所持している気動車やハイブリッド車の運行しか図示されていない。


新幹線の開業後は、こちらのルートの乗車体験も従来とは全く違ったものになるのだろう。さて、前置きはこの辺にして、そろそろ本編を開始しよう。


・2021年6月

ということで、皆さんこんにちは。今日は2021年6月16日。そう、これは新鳥栖から武雄温泉間を特急「みどり」に乗った記事の続きだ! ということで、今回も本記事内で紹介される車両内外の様子は、全て2021年6月時点でのもの。その辺よろしくな!

さて、武雄温泉を散策した筆者は再び特急「みどり」に乗り込み、来たルートをそのまま肥前山口駅まで戻ることに。こんどはここから特急「かもめ」に乗り込み、有明海沿いを通って諫早を通過し、長崎に向かうわけだ。


「かもめ」ってどんなのかなぁ。Wikipediaを見ると、白くてシャープなヤツなヤツらしい。新幹線の一歩手前みたいな形状だ。けっこう格好いいぞ! 乗るの楽しみだなぁ。深く考えず普通席を買ってしまったが、グリーン車にしても良かったかもなぁ。


そんなことを考えながら「かもめ」を待っていると、やってきたのがこちら。


全然違ぇのきたな。お前「かもめ」なのか? 時刻表的には間違いないし、アナウンスでも「かもめ25号」と言っている。しかし白とは真逆の真っ黒だ。カモメ要素ゼロじゃないか。

車体側面のマークだって、絶対カモメじゃないだろ。このマークの感じはどちらかというとツバm……いや、よそう


本人が「かもめ」と言い張っているのだ。そこは尊重したい。きっと色々あるのだろう。しかし乗り込んでみたら……



_人人人人人_
> TSUBAME <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄


TUBAMEぇぇえええ!!! 死ぬほどツバメじゃないか! 俺の思いやりの心を返せよ!! 調べてみると、こいつは「黒いかもめ」などと呼ばれているらしい。闇堕ちでもしたのだろうか。

車掌さんに聞いてみると、ググって出てきた白い「かもめ」は885系という高性能な車両を使用したもの。しかし筆者が乗っているこいつは787系だそう。元々は「つばめ」だったものの、それなりに昔に特急「かもめ」に投入されたとか。車内外のツバメ感はそういう経歴だからか。

まあ、乗り心地は悪くないし許そう。しかも、こいつには豪華なグリーン個室があるのだという。途中でトイレに行く際に見かけてスマホで撮ったのだが、恐らくこれがそのグリーン個室だろう。

ちょうど空室となっていたので、マジでこっちにすれば良かった。その辺のグリーン車とは格が違う。これだけで記事1本余裕なレベル。惜しいことをした。


・長崎まで

このまま長崎まで乗り続けるのだが、「黒いつばめ」は前のシートまでのスペースがそこそこ広い。大のおっさんでも足を前に投げ出せる。

特急「みどり」の時もそうだったが、今回も車内がガラ空きだった。誰もいないので、隣の座席の床にスーツケース並のサイズのリュックを置かせてもらったが、それでも余裕があるほど。


ちなみに肥前山口から長崎までの所要時間は1時間10分。肥前山口から長崎までに停車するのは、肥前鹿島、諫早、浦上のみだそう。海沿いを走るため、天気さえ良ければ眺めは比較的良いのだろう。残念ながら筆者が乗った時は永遠に雨で微妙だった。


長崎に到着した時の感想は、「やっと着いたか」というもの。


Google Mapを見た感じ、距離的には武雄温泉から長崎までの西九州新幹線が走るルートと似たようなものな気がするが、あちらは30分で着く。正直なところ、特急「かもめ」で行く肥前山口~長崎間の1時間10分は、ちょっと退屈な感じ。

武雄温泉(肥前山口~武雄温泉間は10~20分程度)まで行きさえすれば、そこからたった30分で長崎に着けるというのはデカい気がする。ネトフリでアニメを1話見たら終わりだものな。

先の記事では「佐賀にとって新鳥栖~武雄温泉間の新幹線はデメリットが多そう」という趣旨の見解を述べたが、それはそれとして、西九州新幹線の誕生による諫早や長崎までの移動の便の向上は、なかなかのモノだと思う

また、九州で最大級の温泉地である嬉野温泉も、これまで鉄道ではアクセスできない場所だった。しかし開業後は新幹線で行けるようになる。このメリットは観光的に素晴らしいとも思う。

当初は実に中途半端な走り方をするものだと思ったが、実際に乗ってみたら、現段階で開業予定な西九州新幹線のルートは割とイイ感じなまとまり方なのでは無いかという気がしてきた。

しかし肥前浜~諫早間のエリアに住む人にとって、新幹線の開業と共に行われる区間の非電化と、それに伴うダイヤ変更の結果がどうなるのか……というのは何とも言えない。なお、特急が走らなくなることについては特に何もないと思う。もともと停車しないしな。

佐賀新聞によると、2022年4月26日からは現地で「ダイヤ案」が掲示されているそう。なので、地元利用客の意見を良く取り入れて上手くまとまることを願うばかりだ。現地の人はちゃんと意見を伝えた方が良いだろう。

あと、諫早~長崎間の移動にも気になる変化が。現状では片道980円出して特急「かもめ」に乗り20分で行く方法と、480円出して「かもめ」じゃない電車で40分前後かけるかの2択があるようだ。しかし、新幹線の開業後は「かもめ」がなくなる。

JR九州のプレスリリースによると、 諫早~長崎間を新幹線で移動した場合にかかる費用は1350円(予定)で、諫早~長崎間の所要時間は9分。この通りになれば、「かもめ」の半分の時間で行けるかわりに、370円高くなるもよう。個人的にはアリな感じだが、諫早民はどうなのだろう。

参考リンク:JR九州[1][2](PDF)、Wikipedia佐賀新聞
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Google Map

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