居酒屋や飲食チェーンでよく見る「ちょい呑みセット」。一般的には “お得なセット” くらいに思われているかもしれないが、あれほど危険なものはない。
その危険性について、「餃子の王将」で見つけた “ちょい呑みセット” を例に説明しよう。なお、先日公開した「天下一品の700円得飲みセット」でも言ったが、以下は言い訳ではなく、失敗の原因と分析である。
・店舗限定だけどレアじゃない
最初に言っておくと、本記事で取り上げる「ちょい呑みセット」は店舗限定。ただ、セットに付いてくる料理自体は珍しくも何ともないから、レア感はほぼない。
私は高田馬場店で発見したが、似たようなセットを展開している店舗は多いかと思われる。
さて、私が見つけたセットは上のとおりで、生ビール、キムチ、餃子(1人前)に4つのジャストサイズメニューから1品選べて1122円。正直なところ「めっちゃお得」ではないが、ビールに合うものが多いってのがポイントだ。
たとえば、ジャストサイズメニューの「唐揚げ」。これを選択しようものなら、唐揚げと餃子がテーブルに運ばれてくるわけだが……
この最強2TOPを前にしてビール1杯でフィニッシュするなんてこと、一体誰が出来るのか?
さらに、その心理を見透かすかのように2杯目は安くなる的な表記が。
これは上手い! ビールに合いまくるラインナップと2杯目割引のコンビネーションは強すぎる。抵抗不可。誰だって勝てないだろ……と思いながら「すみません、生もう1杯」と店員さんに告げる。
・追加注文で気持ちに変化
すると、この時点で気持ちに変化が起きたから不思議だ。
当初は「なるべく安く収めよう」と思いながら飲み始めたはずなのに、「ちょい呑みセットを利用した時点で得してるんだから、あと何品か追加注文しても全然OKでしょ」的な心理になったのである。
なぜか。私にはまったく分からないが、「ぜんぶ王将が悪い」ということにしたい。
・死闘の様子
ただ、もちろん私だってやられっぱなしだったワケではない。バラバラになった意思をかきあつめ、必死に抵抗を試みた。そのときの状況がスマホに残っていたので、紹介しておこう。
ご覧のように、なんとかして心のサイドブレーキを引こうとした様子がうかがえる。しかしながら、私の健闘むなしく、レシートを確認すると……
会計はちょい呑みセット価格の約3倍になっていたのだ。
一体なにが起きたのか。前回の天一と同じ結果に落胆せずにはいられないが、冷静に原因を考えれば私がちょい呑みをナメていたってことになるかと思う。
・ちょい呑みは戦場
そもそも、店側からすれば「ちょい呑み」は勝負のセット。サービスすることで(単純計算ではお店が損をすることで)、それ以上の利益を狙うのだから、いわば “肉を切らせて骨を断つ” 的な行為である。
一方、客はなるべく安く済ませたいと思うはず。つまるところ、“ちょい呑みセット” は店と客との「心理的な鍔迫(つばぜ)り合い」が頻繁に行われる舞台なのだ。
そのような戦場にノコノコやってきた私が返り討ちにされるのは仕方がないこと。ただ最後に言わせてもらうと、返り討ちにされても全体的に満足していたら私の勝ちである。
また、「このセットは得か損か」という視点ではなく、「お店の人も上手いことやるね〜」という大らかな気持ちで楽しめたら、それはもう大勝利。よって、私は試合に負けたが勝負には勝ったと思っている。
……このような結論で、よろしいでしょうか? 現場からは以上です。
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.